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国債暴落の先行し指標としての為替レート(2015年の記事)


こに消えた、国債暴落のオオカミ少年 編集委員 滝田洋一

http://www.nikkei.com/markets/column/globaloutlook.aspx?g=DGXMZO8463360020032015000000



2015/3/22 6:00

これだけ財政収支が悪化し、日銀の国債の購入もこんなにすごく、春闘の賃上げ回答も大きいにもかかわらず、なかなか国債暴落やインフレという方向には向かいません。この要因の一つとして為替レートについて気づいたことをまとめます。

歴史的な事実(戦後直後の日本や戦間期のドイツ等)を鑑みると供給が過小になることが絶対条件でしょう。仮に、グローバル化が進んでおらず、閉鎖経済に近い場合、国内の生産能力の逼迫のみで十分インフレになりえます。オイルショックの時期はそういった状況に近かったと思います。

難しいのは、開放経済で、現在のように世界的に供給過剰気味の場合です。この場合、輸入によって、インフレが抑えられるという効果があります。実は現在はこの効果が非常に大きく、言われているような100%に近いような大幅なインフレはなかなか起こりにくい大きな要因の一つだと考えられます。

そのため、インフレが発生するには輸入での供給のボトルネックのカバーが出来ない状況になることが不可欠で、そのためには、財政ファイナンス等への信頼がなくなることによる円安の発生の方が先になると考えられます。国内の供給が逼迫し、円安による輸入インフレが並行して初めて真性インフレが始まるでしょう。(ただし、現在の円安の水準ではなく、もっと大きな円安です。例えば1ドル200円や300円 2023年3月23日注)。

ここで、話が複雑なのは、為替レートの円安は日本の通貨への信頼が揺らぐことで起こります。実際にインフレになれば、それに比例した円安はほぼ同時進行で起こります、ここで問題にしているのは、きっかけとなる円安のことです。また、現在も円安ですが、真性インフレをもたらすほどではないでしょう。原油価格の下落で相殺されるほどですから。問題は、日本の対外純資産の多さの影響で、真性インフレをもたらすほどの通貨への不信はなかなか起こりにくいということです。

これが揺らぐには、対外純資産が残高で大幅に減り、財政ファイナンスを海外資金に頼るようになるほどでないといけないでしょう。これは結構時間がかかりそうです。なお、現在も円安はジリジリ進んでいますが、これがそのまま加速的に進んでいけばそれはシグナルの一つです。ただ、現状だと原油価格の低下もあり、輸入インフレの効果が発現されるにはまだまだだという印象です。

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