2021年9月24日(金) ザリガニの鳴くところ
佑陽 相変わらず、オーディオブックでの読書を続けてますけど、ようやく『ザリガニの鳴くところ』ってやつを聴き終えました。この本はアメリカで大ヒットしたものらしくて、とても評判のいい話題作だったので、気になってたんです。
――はい、どういった話なんでしょうか?
佑陽 作者はディーリア・オーエンズさんって人らしいですね。いま調べました。69歳だか70歳で発表したこの小説がデビュー作ということです。動物行動学の専門家で、その専門知識も作中に活かされているんですが……。う~ん。とにかく長い話なので、伝えるのが大変です。湿地の少女と呼ばれるカイヤという女の子が主人公で、幼少期の1952年からスタートして少しずつ成長していく過程が描かれます。酒飲みで暴力的な父親で、家族もみんな出て行っちゃって、幼い自分だけがその父親の元に取り残されて……みたいな境遇の中をどうにか生きていく姿が精緻に語られます。湿地に住んでて、貧しいながら、生態系豊かな自然の中で、生物を深く観察したりしながら成長していくんです。一方、その途中で、1969年に起きたチェイスという人物の死亡事件を捜査するパートが交互に出てきます。何年の出来事なのかわかるように、章のタイトルに西暦が記載されてるんです。だから、最初のうちは小さな女の子が必死で生きている姿と、それとは関係ない遠い未来の話が交互に出てくるという印象なんですけど、だんだん、カイヤのパートの年数がその事件の年に近づいてくると、どうもカイヤと事件には深い関わりがあるらしいって匂いが濃くなってくるんです。このあたりの構成の面白さは、この小説のウリでしょうね。
――面白そうですね。
佑陽 面白かったですよ。これから読む人に、僕から見所を一つ。
――なんでしょう?
佑陽 生計を立てるために幼い少女のカイヤが貝をとって売るシーンには思わず「カイヤだけに? 貝屋!?」と叫ばずにはいられませんよ! 最大の見所です。
――たぶん、本当の見所はそこじゃないでしょうね……。
佑陽 さまぁ~ずの三村さんもTwitterで紹介してたし、話題の本です。でも、僕はどうも、のめり込めなかったですね。何の事前情報もないまま、この本売れてるらしいってことで購入して聴き始めたんですけど、そのせいもあって、終始自分の頭が後手に回ってる気分でした。つまり、自分が物語に積極的に関わろうとしないまま終わってしまった感じになっちゃいました。昔のアメリカの話だし、僕とはあまりに住む世界が違う感じがして、入り込むというより、お客様として遠くから見ているような気分でした。物語の世界に身を投じる気分で、入り込む努力をすれば、もっと面白かったのかもしれないです。この作品に関しては、あらすじとか、目次とか、ちょっと事前情報を入れてから読んだ方が楽しめると思います。
※編注 『ザリガニの鳴くところ』の主人公正しくは「カイア」でした。オーディオブックで聴いていたために起こった勘違いです。
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