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旅の記憶(エッセイ)

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これまでの一人海外旅のエッセイです。実際の旅の順とは関係なく、基本的に一話読み切り。今は2005年のオーストラリア一周の旅を時系列で書いています。(古い情報も含まれますので実際に… もっと読む
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2023年10月の記事一覧

【旅の記憶】いきなりのオーバーブッキング(Sydney 1)

「ご搭乗の便にオーバーブッキングが出ております。  こちらで一泊分のホテルをご用意いたしますので  明日の便に振り替えていただくことは可能でしょうか。」 私はその日、知り合いの誰一人いないオーストラリアへ3ヵ月の一人旅に出る高揚と不安に包まれて関空にいた。 私は旅慣れているとはまったく言えない身で(それは今も同じだ)、 カウンターの女性のきびきびした言葉の意味するところが、まずもってよくわからなかった。 オーバーブッキングなるものが存在することは知っていたが、 それが私の

【旅の記憶 オーストラリア編】89通りの長い一日(prologue)

その日、私はシドニー近郊の町にある一軒家のダイニングで、 空から降ってくるものを唖然として見ていた。 それらは大きいものでは大人の拳大の大きさがあり、不透明な白い色をしていた。 目の前の中庭は芝生に覆われていたが、あっという間にそれらに覆いつくされ、緑色だった地面は白一色に変わった。 それは私が3ヵ月のオーストラリア一周一人旅をスタートさせて2日目の夕方に起きた、突然の雹の襲来だった。 さすがに地元でも滅多にない現象だったようで、翌日の新聞にはこのことが一面に写真入りで掲載