【旅の記憶 オーストラリア編】89通りの長い一日(prologue)
その日、私はシドニー近郊の町にある一軒家のダイニングで、
空から降ってくるものを唖然として見ていた。
それらは大きいものでは大人の拳大の大きさがあり、不透明な白い色をしていた。
目の前の中庭は芝生に覆われていたが、あっという間にそれらに覆いつくされ、緑色だった地面は白一色に変わった。
それは私が3ヵ月のオーストラリア一周一人旅をスタートさせて2日目の夕方に起きた、突然の雹の襲来だった。
さすがに地元でも滅多にない現象だったようで、翌日の新聞にはこのことが一面に写真入りで掲載