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旅の記憶(エッセイ)

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これまでの一人海外旅のエッセイです。実際の旅の順とは関係なく、基本的に一話読み切り。今は2005年のオーストラリア一周の旅を時系列で書いています。(古い情報も含まれますので実際に…
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2023年4月の記事一覧

【旅の記憶】とにもかくにもボンジョルノ(もしくは10単語ほどで行くイタリア)

フィレンツェに来てから、まだアルノ川を眺めていないじゃないか、と気づいて 細い通りをぶらぶら西へ歩いていると、雑貨店を見つけた。 ボンジョルノ!と元気よく店内へ入ってみる。 店員の女性は私と同じぐらい元気よく挨拶してくれたあと、頃合いを見計らって 「えーっとイタリア語でいいかしら?英語の方がいい?」と尋ねてくれた。 これはとても親切で嬉しい尋ねられ方である。 相手を慮ってくれているのがよくわかるし、こちらも気兼ねなく 「英語でお願いします!」と言えるのだから(2択なら、という

【旅の記憶】午前3時のシャルル・ド・ゴール

早朝3時のパリ、シャルル・ド・ゴール空港は閑散としていた。 フィレンツェ行きの飛行機は10時まで出ない。それまでの時間、私はただただ待機するしかないのだった。 少なくとも空港内のカフェなり何なりが開くまでは。 一体何時間かかって私は移動を完了するのだろう。 昨日の日本時間の午後早くに家の最寄りの駅を出てから、丸一日が経過しようとしていた。 いや、もちろん初めからこんな長時間トランジット(乗り継ぎ)を予定していたわけではない。 伊丹→成田→パリ→フィレンツェと、さくさくさくと

【旅の記憶】体力勝負、ヴェッキオ宮殿

フィレンツェのウフィッツィ美術館に行った日の夕方、今度はお隣のヴェッキオ宮殿にも行ってみた。 ミュージアムだけなら10ユーロ、塔とプラスなら14ユーロ。ここで塔に登るつもりはなかったのだが、4ユーロの違いならと塔付きにする。 「じゃあ、先に塔に上がってね」と言われた意味がよくわからなかったのだが、 後から思うに塔の方が先に閉まるか、日が暮れて暗くなったら景色が楽しめないと思ってくれたのか、どちらかだろう。 しかしこれが・・・心の準備をまったくしていなかったので、とにかくしんど