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さよならバンドアパート

観てきました。突如降って湧いた謎の美女に、目指していればいつか叶うよ、困難を跳ね除けようとした時点で半分跳ね除けたようなもんだよ、自分の足で立って歩いてご飯を食べていくんだよ、そういう言葉を貰いながら、自分ってどうなりたいんだっけとバンドを組み上京してメジャーデビューしていくお話。メジャーデビューして大きな会場でライブできるようになったのはいいものの、事務所からはサザンを目指せと言われ、そうじゃなくてバンドアパートの様になるのが目標なんだと対立し、折角乗った波から降りてしまう。そう言った葛藤が描かれていて、そうなりますよねぇとバンドマンの苦悩に共感してしまう。音楽業界の裏方の人間は嫌なヤツに描かれる事が多いようだが、みんな夢に呪われてなんとか業界にしがみつき、権威を目の前にして心を折られたり嫉妬とかもあってなんとなくそうなってしまうのもわかる気がする。夢を追う人を応援したい、叶うはずのない夢が少しずつ実現していく一部になりたいということであったり、その舞台としてライブハウスがあって、入れ替わり立ち替わり若者達が集っては散り集まっては消えてゆく。とても胸が締め付けられ、同時に熱くなるようだ。

心の中井はとても感銘を受けたが、理性の中井は非合理的な営みだなと静観してしまっている。

でも主人公が本当に地に堕ちた時に手を差し伸べてくれたのは、彼が夢を追っている姿に力を貰ったという、とある人物だった。非合理的とかそういう事ではなく、弱った人の心を救い、背中を押し、前を向け、生きろという。そういう存在がバンドマンなのだ。

土砂降りの新宿で小さな傘に身を隠しながら歩いていて、中井設計は自信がないのか過剰演出なのかもしれないと思った。だから何かアクションを起こすにも準備が大変だ。夢を追う姿をもっとわかりやすくアピールした方が、要はバンドマンですよーってカタチにした方が応援しやすいのかもしれないなんて邪念を持つ(おもんな)。
と同時に持ってる技全て使って全力でやるって、他の演者より過剰になるくらいやる、そういうことなのではとも思う。なんで器用に生まれてきてしまったのだとたまに自分を呪うが、世の中の謎を解き明かすキーパーソンとしてそれくらいの能力は必要なのだと思う。サービス精神は旺盛だけれども、コストが高いのであまり稼働しない、なんというかネオジオングって言ったらカッコ良すぎるけどガンタンクみたいな重量系のマシンみたいな。徒党を組むよりデカい怪物で蹴散らす的な感じでぶっ潰していきたい。マジ殺す。
自信がないってのも確かにある、でもそれは性格的に心配性なだけで、誰だってウケる時もあればスベる時もある。がんばれ!手を抜くな!

さよならバンドアパート、シネマート新宿にて絶賛公開中。

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