山中他界観 in 朝熊岳金剛證寺
12月9日に伊勢に到着してから、早くも一週間以上。
少し息抜きとばかりに伊勢シーパラダイスへ行き、お隣の鳥羽市の神島へも足を運びました。
(神島については、船酔いと発見が凄まじかったので、
また後でゆっくりと記事を書こうと思います。)
一昨日と昨日は内宮外宮へ。
パートナーである石田諒と、摂社を含め伊勢を縦横無尽に走り回っています。
こちらは、内宮の摂社である、神前神社に向かう石段です。
引きこもりの筋肉が限界です。
今の時期、テイカカズラの大きな綿毛が山道に落ちていることがあります。
12月にタネを落とすなんて、ちょっと不思議ですね。
林の中に、白い塊がふわっと落ちている様子は大変に神秘的です。
少し石段の脇を覗きながら、石段を登ってみてください。
いざ、卒塔婆の供養林へ
そんなわけで、今日は朝熊岳にある金剛證寺の奥之院をお伝えします。
朝熊岳金剛證寺は、伊勢神宮の鬼門を守る寺であり、神仏習合の思想が強く表れているお寺です。
♪ お伊勢参らば朝熊をかけよ、朝熊かけねば片参り
と、伊勢音頭の中にも登場するこのお寺。
実は本殿より先の奥の院には、供養のための巨大な卒塔婆が立ち並ぶ、
“あちら”の世界が広がっています。
大から小まで、ずらりと立ち並ぶ卒塔婆。
圧巻です。
手前にいるのが私本人(だいたい153cm)なのですが、
写真におさめるとスケールのデカさがより伝わってくると思います。
最長の卒塔婆で約8メートルもあるようで、小さなものでも背丈以上はあります。
卒塔婆自体もよく見る薄い板ではなく、もはや柱と表現してよい造形です。
卒塔婆の供養林と呼ばれるこの道は、古代から続く「山中他界観」の考え方を引き継ぐものです。
他界観とは、
霊魂は私たちをおいて、全くの別の世界へといってしまうのではなく、
現実のどこか彼方に集まっているのだ。
という考え方が反映されたものです。
それが山であれば「山中他界観」、海であれば「海上他界観」とされるそうです。
日本は多くの火山を持つ島国ですから、見知らぬ漂着物や険しい山々の存在から、昔の人々が、人里を“こちら”とした、“あちら”の世界を強く意識して死生観を育んできたことは、とても自然なことのように感じます。
そして、八百万の神は、人の生活のすぐ隣にいると言いながら、
常に神との境界を強く意識させるのは、
他界観の意識の延長なのではと、感じたりもします。
面白いなと感じたのは、この卒塔婆は先祖代々のためだけでなく、
動物や漁業で捕獲された魚達のための卒塔婆でもあるという事です。
写真のように、船ごとに卒塔婆をあげているものがたくさんありました。
もちろん大切なペットのための卒塔婆も。
何メートルもの卒塔婆が立ち並ぶ奥之院は、まさに「他界」であるのですが、
ここに来れば、心安らかに有るその人と会えるのだ、と思うだけで、
とても暖かい場所に思えるのでした。
実は、私の父方の祖母は三重の出身です。
墓はここにはありませんが、線香をたいて、祖母を想いました。
中井だーッ!
そんなこんなで、めちゃくちゃ伊勢を楽しんでいます。
普段と比べて中井の姓を見かけるのがちょっと多いのも嬉しいです。
スサノオをモチーフとした作品を作っている手前、
絶対に買わねばと思っていたしめ縄、蘇民将来子孫家門もゲット!!!
長野(-8℃)に帰ったら、飾るんじゃ〜。
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