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ペンギン村に住みたくて

鳥山明さんが亡くなりました。
実は、ドラゴンボールやブルードラゴンなどの後期の作品よりも、「Dr.スランプアラレちゃん」が好きでした。

割に大きくなるまで、ずっと「あんな世界に住みたいなあ」と思っていたくらいです。
平和で、住人達もみんなのほほんとしてのんびりしていて、それでいてちょっとした変な事件が起きて、村全体がわちゃわちゃする。どんな個性の持ち主でも、最終的に村に受け入れられて共存していく。
そして、何よりも誰も死なない。

鳥山明さんは、自分が住みたい世界を造りたかったのだなあと勝手に思っていました。

その後の、ドラゴンボールも、ドラクエの世界も、読者やプレイヤーが、「ちょっと住んでみたいな」と思わせるのが、鳥山明さんの作品の魅力であり、作品の雰囲気であり、卓越したところだと思っています。

反面、最近の漫画の作品で、「自分が住んでみたいな」と思わせる世界は少ない気がします(読んでないからかも)。

「鬼滅の刃」の世界も、「北斗の拳」の世界も、「キングダム」の世界も、「進撃の巨人の世界」も、正直言ってあまり住みたいと思えないでしょう。

逆に、サザエさんや、ちびまる子ちゃん、ドラえもんの世界は、きっと自分だけではなく、多くの人が、「ああ住んでもいいかな」と思える社会や、生活を体現している気がします。その深い共感があるからこそ、今に続くロング作品になり得たのだと。

そして、鳥山明さんは、メディアなどに露出せずに、名古屋近辺の町で漫画を描きながら、ひっそりと暮らしていたと言います。

ペンギン村のような、仲間意識が強いくせに、案外それぞれの人間関係が希薄でそっけなく、文化的にふんわりと周囲から閉ざされているという、独特の雰囲気を持つ、名古屋ならではの土地柄のせいもある気がします(ムーミン谷の世界もそれに近い)。

名古屋圏というのは不思議なエリアで、トヨタ(三河の人ごめんなさい)やイチロー(尾張の人ごめんなさい)を始め、時々ひょっと世界を席巻するような人や、ものや会社が誕生する。そして、人物も。いずれも、どこかちょっと飄々としている。

実は、鳥山明さんは名古屋にずっと住んでいたのは、生まれ故郷というのもありますが、どこか「自分が住んでみたいなあ」という思いに近い雰囲気を名古屋圏に感じていたかもしれません。
これも、あくまで勝手な想像ですが。

確か、ドラゴンボーリの悟空がそこそこ強くなった頃、テレビアニメか連載で、アラレちゃんと悟空が対決する回があったと思います。ふたりは挨拶程度に軽く闘うのですが、確か悟空が「かなわねえなあ」と言って、頭をかきながら飛び去っていくシーンが今でも頭に残っています。

実はペジータやセルよりも魔神ブーよりも、アラレちゃんの方が強かった。そう、ペンギン村はそんな主人公が住む最強の村であり、かといって敵とたたかうわけでもなく、村のためにも使わない。ただ、女の子のロボットして存在する。とっても、いいじゃないですか。

そうペンギン村は、今の自分にとっても、住んでみたい町のランキング一位です(ちなみに第二位はムーミン谷かな)。
そして、いつか自分もそんな「住みたくなるような」世界観を持つ作品を作れたらと思っています。

みなさんの住みたい町はどこですか?

鳥山明先生のご冥福をお祈りします。


夢はウォルト・ディズニーです。いつか仲村比呂ランドを作ります。 必ず・・たぶん・・おそらく・・奇跡が起きればですが。 最新刊は「救世主にはなれなくて」https://amzn.to/3JeaEOY English Site https://nakahi-works.com