専修大 – 桐蔭横浜大 / 関東大学サッカーリーグ1部2013第20節
6月11日朝、テレビをつけるとポルトガルリーグ、ポルト vs マリティモの中継をやっていた。マリティモはかつてフロンターレU-18が対戦した前田大然。そして元フロンターレのレネ・サントスが出場していた。前田は得点こそ挙げられなかったけれど、何度も前線で惜しい場面をつくるなど存在感があり、レネは接触プレーで出血しながらも頭にバンデージを巻きながらもプレーを続行。ポルトの決定機を粘り強く足を伸ばして防いでいく。そんなレネのプレーは、解説の羽中田昌さんから「今のはいいプレーでしたね」とほめるようなコメントを引き出すほどだった。
試合はポルトが1-0で勝利したけれど、マリティモも大いにポルトを苦しめる好ゲームを演じていたように思えた。
前田大然がいた山梨学院大附属とフロンターレU-18が対戦したのは2015年。レネがフロンターレに在籍したのは2012年。年月を経ても、こうしてテレビで2人の選手の奮闘を見られる。何だかうれしくなる朝になった。
昔のノートからフロンターレアカデミーの試合などを振り返る。
第51回目も川崎フロンターレアカデミーの試合ではなく、フロンターレU-18出身の選手が出場した2013年11月9日の関東大学サッカーリーグ1部第20節、専修大 vs 桐蔭横浜大。前節中央大と2-2で引き分けた専修大は、やや足踏みが続いていたものの、残り3試合で早稲田大との勝ち点差は7の勝ち点42で首位。そのため今節を勝利すれば、優勝、1992年から1994年にかけての筑波大以来の3連覇が決まるという状況で、この試合を迎えた。
【関東大学サッカーリーグ1部第20節 専修大 vs 桐蔭横浜大】
2013年11月9日(土)午後1時50分キックオフ 江戸川区陸上競技場 くもり
専修大は、川崎フロンターレU-18出身の選手のうち、小口大貴が出場停止で萩間大樹はメンバー外。
先発は、GK1福島春樹、最終ラインは右から15篠崎拓也、54玉田道歩、44中村有人、ボランチは14星野有亮、8下田北斗、右に2北爪健吾、左に18東大樹、2シャドーに10仲川輝人、キャプテンの7長澤和輝、前線には11前澤甲気。
控えには、フロンターレU-18出身のGK奥山陸が入った。
勝ち点24で8位の桐蔭横浜大。当時2年生だった山根視来は、この試合はメンバー外。先発はGKキャプテンの1島崎恭平、最終ラインは右から18劔聖矢、38中島健太、3香西克哉、16長谷澪杜、ボランチは5金子雄祐、6福島翔太郎、右MF8山崎將、左MF24石堂圭太、前線には10坪井秀斗、20今関耕平。
なお、この試合の前の第1試合、明治大 vs 順天堂大には、当時2年生だった長谷川竜也が先発フル出場。試合は0-0の引き分けという結果だった。
くもり空でやや肌寒い江戸川区陸上競技場。立ち上がりは桐蔭横浜が専修陣内でフリーキックを得て、山崎の左足から迫るが、専修はクリアししのいでいく。
すると次第に専修は下田の縦パスや北爪の右サイドからの仕掛けなどから前に出ていくようになり、仲川がスピードある仕掛けを見せ、桐蔭横浜のエリア前に迫っていく。
11分には、専修。長澤のスルーパスに仲川がエリア内へ。これに対して、桐蔭横浜にファールがあり、専修はPKを得る。キッカーは仲川。これを決めて、1-0。先制点は専修へ。
直後には、専修、左サイドを東が突破。左コーナーキックを得ると、下田が左足で入れたボールのこぼれ球に反応した篠崎がボレーシュートを打つが枠外。桐蔭横浜も3バックの専修の右サイドの裏のスペースをうまく突いて、クロスを入れてくるが、福島がしっかり対応しシュートには至らない。
22分には、専修、長澤がエリア前でうまくボールをキープ。そのパスに東が抜け出しシュートを打つが、島崎がセーブ。直後には、桐蔭横浜、坪井がエリア内へ抜け出すが、福島が対応していく。
31分には、専修、長澤がエリア内右、うまいターンを見せ、遠いサイドを狙ったシュートを打つが、左へそれていく。さらに仲川のスルーパスに北爪がエリア右へ。北爪の折り返しを受けた正面の長澤は、エリア内、仲川を狙いスルーパスを出すが、島崎がセーブしていく。
34分には桐蔭横浜、今関が高い位置でボールを奪い突破。エリア内へ動き出した坪井を狙いパスを出すが、シュートには至らない。それでも、桐蔭横浜も高い位置ですきあらば、という場面をつくっていく。
36分には、星野のスルーパスに仲川がエリア内へ。しかし、シュートはミートしきれず。さらに40分には、前に持ち出した下田がミドルシュートを打つが、枠はとらえられず。43分には、桐蔭横浜、山崎のフリーキックに香西が合わせるが右へそれていく。
すると前半終了間際。専修は左からドリブルで仕掛けた仲川がエリア左へ。そのままシュートに持ち込むとこれが決まり、2-0。前半はタイムアップとなり、2-0でハーフタイムとなる。
後半立ち上がりは桐蔭横浜、エリア外、今関が地を這うようなミドルシュートを打つが、福島がセーブ。さらに右サイドに流れた桐蔭横浜、仕掛けて折り返していくが、専修はこれをクリアしていく。
一方の専修も前線の3人が位置を流れのなかで入れ替えながら、迫り、6分には、左へ流れた前澤がクロスを入れると、仲川がエリア内へ。しかし、シュートには至らない。それでも直後には、正面に縦パスが入ると、うまく間で受けた仲川が前を向いてスルーパス。これに抜け出した長澤がゴールへ流し込み、3-0。専修が突き放していく。
桐蔭横浜も9分には金子がエリア外正面へ。ミドルシュートは枠をとらえるが、福島がすばらしい反応を見せ、はじき出していく。セカンドボールを拾った桐蔭横浜はさらに坪井の右クロスで迫るが、玉田がクリア。さらに立て続けにコーナーキックを得て、山崎の精度の高いボールから迫るが、専修はしのいでいく。
すると15分、専修は正面でうまく間で受けた長澤が桐蔭横浜の選手を剝がしてミドルシュートを打つと、これが決まり、4-0。さらにリードを広げていく。
21分には、さらに東が左サイドを突破。その浮き球に長澤が頭で合わせるが、島崎がセーブしていく。さらに専修は下田、星野に長澤がうまくかかわり、北爪の右サイドからの仕掛けなどから迫り、東も粘り強くボールをキープするなどして、桐蔭横浜陣内で時間を重ねていく。
24分には、長澤のスルーパスに、前澤がエリア内へ。しかし、シュートは枠外。
31分には、桐蔭横浜は坪井に代わり7平山玲央 (大﨑玲央)。この当時は、アタッカーとして活躍していた。
4点差をつけた専修。桐蔭横浜陣内でうまく時間を重ね、追加点には至らないまでも、次々にコーナーキックも得て桐蔭横浜のゴールをおびやかしていく。
39分には、北爪がエリア前に。そのパスに東がエリア左へ。シュートを打つが、島崎がセーブ。桐蔭横浜は石堂に代わり29依田隆。専修は星野に代わり13北出雄星、東に代わり42平山剣士。最終ラインは右から北爪、篠崎、玉田、中村、中盤の底に下田、その前に北出、長澤、右に仲川、左に平山、前には前澤に。中央からいい突破を見せていた桐蔭横浜に対して、下田や長澤がうまくボールを回しながら、対応していく。
44分には、北出が正面で前を向いてシュートを打つが、これはバーに。
ロスタイムは3分。長澤のコーナーキックにつなげるなど、専修は高い位置でプレーを重ねていく。試合はまもなくタイムアップとなり、4-0。ここまでの2試合の足踏みを振り払うような試合を見せて、専修の3連覇が決まった。
専修はこの時期は4バックと3バックを併用。3バック時には、北爪や仲川が仕掛ける場面も多くつくるなど、選手の個性をどう活かしていくのかを模索していたように感じさせられた。
桐蔭横浜はなかなか上位にいけるシーズンはなかったけれど、粘り強く1部に残り続けていく。この日ゴールマウスを守ったGKの島崎や山根のような好選手も輩出。この翌シーズンにフロンターレU-18出身の岡本一輝、坂口正高が加入することになる。
専修大は最終的に勝ち点を51まで伸ばし、2位の早稲田に勝ち点差を15つけることになる。最終節後、行われた表彰式では、フロンターレU-18出身の選手では、小口大貴が新人賞、15ゴールの仲川輝人が得点王を受賞。現在はフロンターレでプレーする下田北斗がMVPに選出されている。
ベストイレブンには、仲川や下田、そして筑波大の谷口彰悟、車屋紳太郎も選ばれた。
なお、出場機会の少ない選手たちを対象にしたリーグ戦、インディペンデンスリーグの得点王は25ゴールの明治大、フロンターレU-18出身の3年生、苅部隆太郎。怪我などでなかなかフルに出場できないシーズンが続いていたけれど、結果を残し、関東大学サッカーリーグでも、再び出場の機会をつかんでいくことになる。
前半2-0 後半2-0 計4-0
得点:仲川輝人2=PK1、長澤和輝2(専修)
専修の先発:1福島春樹、15篠崎拓也、54玉田道歩、44中村有人、14星野有亮、8下田北斗、2北爪健吾、18東大樹、10仲川輝人、7長澤和輝(c)、11前澤甲気
交代:星野→13北出雄星 東→42平山剣士
控え:16奥山陸 43堀圭三郎 35沓掛元気 22山川翔也 17佐藤遵樹
桐蔭横浜の先発:1島崎恭平、18劔聖矢、38中島健太、3香西克哉、16長谷澪杜、5金子雄祐、6福島翔太郎、8山崎將、24石堂圭太、10坪井秀斗、20今関耕平
交代:坪井→7平山玲央 石堂→29依田隆
控え:21吉田裕司 33田内廉 14上野翔矢 17末廣浩暉 13能條泰
(文中敬称略)
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