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7月2日、日立柏総合グラウンドで行われたプレミアリーグEAST第10節。
柏レイソルU-18とのアウェーゲームに臨んだフロンターレU-18は、速い時間にいきなり動く。

柏の左CB、20猪狩鉄太がいい持ち上がりを見せると、左サイドのスペースで、裏を取ったFW9近野伸大にゴールを決められ、0-1。最近ではいいゲームの入りが続いていたフロンターレとしては、しばらくぶりにふわっとした試合の入りになり、追いかける展開に。

その後も、GKの1ハーパー オリガ タイガ、キャプテンのDF4別府慧らがかかわって、丁寧な組み立てを図るレイソルだったが、フロンターレも、持ち前の強度の高さなどでボールをものにすると、最終ラインのDF20山中大輝やDF30林駿佑がボールを持つ時間が増えていく。

間に顔を出したMF25矢越幹都やMF10尾川丈がうまく前を向く時間も増え、次第にボールを保持できるように。ゴール前でも22加治佐海が足を伸ばし、粘り強くボールをキープ。高い位置でのプレーを増やしていく。

そして、「ふがいないプレーをしてしまった。今日は自分も絶対に点を取ろう」と、前節でのマリノス戦での前半のみで交代になった悔しさと、この試合に懸ける想いを秘めていた矢越が、日頃の練習から磨いてきたFW28香取武との連係から、ゴールを打ち破る。フロンターレらしいパスワークからの得点。サポーターも、ピッチの選手たちも、控えの選手たちも大いに沸かすゴール。1-1。

後半、67分には、尾川丈やMF7志村海里が左サイドでかかわって、人をかけた分厚い攻めを見せると、香取が競ったボールを拾い、左足でミドルシュートを打ったのは再びの矢越。前日の練習でも左足でミドルシュートを打っていたという矢越。相手にボールが少し当たったボールは、ゴールネットを揺らす。2-1。

レイソルは、近野や途中出場のFW18ワッド・モハメッド・サディキらにボールを集め、前に起点をつくろうとするが、山中や林が奮闘。左サイドの黒沢が裏を取る場面こそつくるものの、最後のところでのDF2江原叡志の好守が、得点を阻む。さらに左SBのDF4元木湊大も、傷んで外にいったんは出る場面こそあったものの、プレーを続行。守備陣の頑張りも光る時間が続いていく。

しかし、83分、レイソルはエリア外左でフロンターレにファールがあり、フリーキックに。DF11大木海世が右足でボールを入れると、近野が頭で合わせたゴールは、GK1濱﨑知康が手を伸ばしたものの、届かず、2-2に。

その後、フロンターレは交代で入ったMF8名賀海月から、DF3髙橋悠斗と左サイドで高い位置でつなぎ、髙橋悠斗の折り返しに、髙橋宗杜、いずれも途中出場のFW18八田秀斗、MF14岡田泰輝が飛び込む、というビッグチャンスを迎えたものの、惜しくもさわることはできず。

試合はタイムアップ。2-2。勝ち点1を分け合う結果になった。


どちらかといえば、勝ち点2を失うことになってしまった試合。

それでも、良かったことは、たくさんあった試合だったのでは、と思う。

まずは、ボランチの矢越が2得点を記録したこと。

特に1点目、柏レイソルのGKハーパーが、「あの9番には」と前半立ち上がりから声を掛け続け、プレミアリーグEAST得点ランクトップに立つ、FW9岡崎寅太郎への警戒を怠らない中、決めた同点ゴールは、フロンターレらしさにあふれたもの。2点目も、フロンターレがボールを握る展開から生まれたもので、こうして、シーズン当初は、ショートカウンターでの得点が続いたチームにとっての「持って」の得点が重なっていくのは、今後も他のチームが、フロンターレに対して対策を立てていくであろうなかで、大きなものになるはずだ。


さらには、前節に続いてコンビを組んだ山中、林。

前線に近野という長身の選手がいるなか、チャレンジ・アンド・カバーを繰り返しながら奮闘。流れの中では、よく対応していたのでは、と思う。

DF5土屋櫂大がU-17日本代表で不在の中、それを感じさせることはない素晴らしいプレーを続けていたことも、暑い中での連戦となる日本クラブユース選手権を控えていることを思えば、今後の戦いに大きなプラスなのでは、と思う。

加えて、得点とはならなかったが、名賀や髙橋悠斗、岡田や八田、髙橋宗杜と交代で入った選手たちがかかわった、大きなチャンスがあったことも心に残る。攻撃のスイッチを入れるジョーカー的な起用をされることが多いDF17柴田翔太郎がU-17日本代表で不在のなか、こうして交代で入った選手たちがチームに勢いを与えたことも、必ずこれからにつながるはずだ。

試合後、林、最後の失点につながるファールを与えてしまった山中が口にしたのは同じ「悔いが残る」という言葉だった。しかし、そういう悔いも、これからのシーズン、チームをさらに前に進めていくための大きな力になるはず。

試合を通じて、相手からも学んで、前に進んでいくのがフロンターレなのだから。

(文中敬称略)


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