神奈川県 – 宮崎県 / 東京国体2013(少年男子)1回戦
フロンターレのアカデミーに在籍していた甲斐翔大が、ブラジルのクラブの下部組織でプレーしているという記事が出ているというTwitterの投稿があり、会社にあった5月20日付の日本経済新聞の夕刊を開いてみた。
今年1月に、2002年の日韓ワールドカップの優勝メンバー、元ブラジル代表のエジミウソンが立ち上げたFC SKAへ加入。17歳以下のチームで背番号10を背負い、プロ契約を目指して奮闘している、と記されていた。
甲斐は、フロンターレアカデミーを応援しようと川崎そだちが始まった2015年の春、フロンターレU-12が、ダノンネーションズカップ in Japanで優勝を飾ったとき、15得点を決め、得点王と大会最優秀選手に選出。試合開始時には、最終ラインに入っていた甲斐が、得点が欲しいときに、前線に上がり、パワフルな左足でゴールネットを次々に揺らすさまは、大きなインパクトを残した。精度の高いプレースキックもあり、直接フリーキックでもすばらしいゴールを決めていたことを覚えている。
(川崎そだち、2015年のダノンネーションズカップの記事)→
https://kawasakisodachi.net/archives/235
https://kawasakisodachi.net/archives/237
2018年途中、U-15でも左SBや攻撃的MFとして活躍していた甲斐が、フロンターレを離れたと知ったときは、「寂しい」と思うのと同時に、「次の道で、ぜひ成功してほしい」と思ったものだった。
まだフロンターレに在籍していたときに、こんなことがあった。
フロンターレU-15の選手たちは、試合前、等々力第一サッカー場のゴール裏で見守る選手の家族らやサポーターたちに、「今日も応援よろしくお願いします」とあいさつに来る。
あるとき、みんながいつものあいさつを終えたあとで、甲斐が一人だけゴール裏へ来て「よろしくお願いします」と頭を下げに来た。
「なぜ一人だけで来たの?」と尋ねたら、「ちょっとトイレに行っていて、あいさつに来られなかったから」。
全員でのあいさつのときに甲斐がいなかったことも知らなかった私たちサポーターは、試合の直前にそんな気遣いをできる甲斐に、大いに心を動かされた。
きっとブラジルでも、サポーターたちに愛される選手になるに違いない、と思っている。
2018年の高円宮杯準決勝、川崎フロンターレU-15 vs FC東京深川での甲斐翔大選手(右から2人目)。現在はドイツのブレーメンでプレーする長田澪選手㊨らとともに、かつてのチームメートたちに声援を送った
昔のノートからフロンターレアカデミーを振り返る。第35回目は2013年9月から10月にかけて東京で行われた第68回国民体育大会。
「スポーツ祭東京2013」と銘打たれたこの大会のサッカー競技(少年男子)には神奈川県が出場、川崎フロンターレU-18からは2年のDF板倉滉、1年のGK名良橋拓真、DF九島克成、DF島崎竜、MF原島亨太、MF三笘薫、FW岸晃司と7選手がメンバーに選出された。
【第68回国民体育大会サッカー競技(少年男子)1回戦 神奈川県 vs 兵庫県】
2013年9月29日(日)午後2時キックオフ 小石川運動場 35分ハーフ 晴れ
神奈川県の先発は
GKキャプテンの1名良橋拓真(川崎フロンターレU-18)
最終ラインは右から2坂内祐太(横浜F・マリノスユース) 3九島克成(川崎フロンターレU-18) 4板倉滉(川崎フロンターレU-18) 11島崎竜(川崎フロンターレU-18)
ボランチは8和田昌士(横浜F・マリノスユース) 6花田佑(桐蔭学園) 右MF10西浦英伸(横浜F・マリノスユース)左MF15原島亨太(川崎フロンターレU-18)
前線には9岸晃司(川崎フロンターレU-18) 14曽木友樹(桐光学園)
川崎フロンターレU-18の三笘薫はベンチスタート。ちなみに当日配られたメンバー表には「三笘」ではなく、「三苫」と書かれている。
宮崎県の先発は
GK16松井朝輝(日章学園)
最終ラインは右から2兒玉響(日章学園) 12恒吉亮太(宮崎日大高) 3高妻優二朗(鵬翔) 5串間巨基(宮崎日大高)
ボランチは10内倉蓮(鵬翔) 7甲斐史也(鵬翔) 右MF8竹脇雄大(日章学園) 左MF4今吉直基(県立都城工業)
前線にはキャプテンの6村山寛仁(県立都城泉ケ丘高) 11池田周平(日章学園)
9月も下旬とはいえ、まだまだ暑い午後2時のキックオフ。
試合は早々に動く。2分には、板倉のフィードに、原島が左サイド高い位置へ。仕掛けてエリア左へややマイナスのクロスを送ると、抜け出したのは曽木。シュートを打つと、ゴール右へ決まり、1-0。神奈川県が先制する。
たたみかけるのは神奈川県。11分には、正面の曽木の縦パスに岸がエリア内へ仕掛けてシュートを打つと、これも決まり、2-0。
さらに中盤の和田のスルーパスに、原島が正面やや左へ抜け出すが、シュートは松井がはじきながらも阻んでいく。
なかなかエリア前に近づけない宮崎県に対して、和田、花田を中心にボールを握り、島崎や坂内も高い位置へ仕掛けていくなど、ペースを握り続ける神奈川県。給水タイムを挟んで、26分には、左コーナーキック、曽木の入れたボール、和田が合わせるが、枠外。直後には前に持ち出した和田がミドルシュートを打つが、枠をとらえられず。
しかし、28分、神奈川県は島崎が左サイドの高い位置へ。遠いサイドへクロスを入れると、今度は西浦がゴール右へ決めて、3-0。
さらに神奈川県は33分には、フリーキックを得ると、曽木が入れたボール、和田が反応するが惜しくもさわることはできず。
34分には、またもや神奈川県。原島の縦パスに岸がエリア左へ抜け出し、折り返すと、正面に曽木が走り込み、シュート。4-0。
前半は4-0。神奈川県がリードしてハーフタイムとなる。
後半、神奈川県は西浦に代わり13遠藤渓太(横浜F・マリノスユース)、今吉に代わり9永満凌(県立宮崎西)。
神奈川県が宮崎県のゴールへ向かい続ける流れは変わらない。5分には右コーナーキックを得ると、遠藤が入れたボール、九島が合わせるが、ファールがあり、ゴールとはならず。
しかし、8分、フリーキックを得た神奈川県。曽木がボールを入れると、板倉がシュート。そのこぼれ球を岸が決めて、5-0。さらにリードを広げていく。神奈川県はここで岸に代わり7中杉雄貴(横浜F・マリノスユース)。
2分後には原島の裏を突くパスに、中杉が抜け出し、松井が前に出ているところをループシュート。これが決まり、6-0に。
前線の選手たちが好連係を見せていく神奈川県。13分には、左へ流れた中杉の左クロス、遠藤が頭で合わせるが枠はとらえられず。直後には宮崎県も、中盤でボールをものにして、村山がエリア前に。名良橋が前に出ているところを突いて、シュートを打つが、これは右に。
神奈川県はさらに島崎が左サイドを突破。クロスはクリアされるも右コーナーキックになり、遠藤が入れたボール、中杉が合わせるが、枠外。
ここで神奈川県は島崎に代わり5斎藤慎太郎(横浜F・マリノスユース)。神奈川県は中杉、曽木の前線がいい関係を見せ、さらに遠藤が積極的にシュートを打つなどして、追加点を狙っていく。
28分には、和田に代わり16三笘薫(川崎フロンターレU-18)。30分には、さらに名良橋に代わり12上田朝都(横浜F・マリノスユース)。宮崎県も32分には、池田に代わり13西川隼人(鵬翔)。
34分には、神奈川県、曽木のパスに抜け出した中杉が決めて、7-0に。
ロスタイムに入り、宮崎県も竹脇のフリーキックから西川が決めて、7-1とするが、その直後には中杉がシュート。ポストに阻まれたこぼれ球を自ら決め、ハットトリックを達成。8-1に。試合はタイムアップとなり、神奈川県は2回戦進出を決めた。
「いいメンバーがそろっている」と大いに感じさせられる試合を展開した神奈川県。
キャプテンを務め、声でチームを引き締めた名良橋。最後尾からの好フィードで、先制点につなげるプレーを見せた板倉。最終ラインで相手にチャンスをつぶしていった九島。何度もサイドを駆け上がった島崎。好パスで得点を演出した原島。決定力を見せた岸。本来とは異なるポジションでの出場となった三笘。フロンターレの選手たちの貢献も、うれしくなる試合となった。
前半4-0 後半4-1 計8-1
得点:曽木友樹2、岸晃司2、西浦英伸、中杉雄貴3(神奈川県) 西川隼人(宮崎県)
神奈川県の先発:
GK1名良橋拓真=c(川崎フロンターレU-18)
2坂内祐太(横浜F・マリノスユース) 3九島克成(川崎フロンターレU-18) 4板倉滉(川崎フロンターレU-18) 11島崎竜(川崎フロンターレU-18)
8和田昌士(横浜F・マリノスユース) 6花田佑(桐蔭学園) 10西浦英伸(横浜F・マリノスユース) 15原島亨太(川崎フロンターレU-18)
9岸晃司(川崎フロンターレU-18)、14曽木友樹(桐光学園)
交代:西浦→遠藤渓太(横浜F・マリノスユース) 岸→中杉雄貴(横浜F・マリノスユース)
島崎→斎藤慎太郎(横浜F・マリノスユース) 和田→三笘薫(川崎フロンターレU-18)
名良橋→上田朝都(横浜F・マリノスユース)
宮崎県の先発:
GK16松井朝輝(日章学園)
2兒玉響(日章学園) 12恒吉亮太(宮崎日大高) 3高妻優二朗(鵬翔) 5串間巨基(宮崎日大高)
10内倉蓮(鵬翔) 7甲斐史也(鵬翔) 8竹脇雄大(日章学園) 4今吉直基(県立都城工業)
6村山寛仁=c(県立都城泉ケ丘高) 11池田周平(日章学園)
交代:今吉→永満凌(県立宮崎西) 池田→13西川隼人(鵬翔)
控え:1樋口就大(県立宮崎西) 15中山尚英(日章学園) 14盛田享佑(鵬翔)
(文中敬称略)
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