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想い

今のフロンターレU-18を象徴している。そう思わされる場面だった。

3-0で勝利した第14節の前橋育英戦。試合を見守った家族や声援を送ったサポーターたちの前に、選手たちが並ぶ。

“勝利の儀式”である“バラバラ”。「誰が音頭を取る?」

しばらく、選手たちが相談した結果、並んだのはこの日のスコアラー、MF14岡田泰輝、MF11岡野一恭平、FW9岡崎寅太郎の3人だった。

「バラバラバラバラ!」。少し恥ずかしそうに、それでも元気よく最初の音頭を取った3人は、列に戻り、肩を組んで、仲間と一緒に飛び跳ね、サポーターと勝利を分かち合う。


それぞれが、異なる道をたどって、決めてみせたこの日の三つのゴール。

この夏で成長し、3試合連続の先発となった岡田は、第12節大宮アルディージャU-18戦に続くゴール。DF2江原叡志のクロスを、「運よくこぼれてきた」。エリア内やや左、その嗅覚からゴールを挙げてみせる。

長いリハビリの末、戻ってきた岡野一は、ショートコーナーから、MF8名賀海月のクロスを本人も「珍しい」と認めるヘディングで流し込んで見せる。こちらは2試合連続のゴール。

そして、再開2試合を欠場したエースの岡崎寅太郎。後半、途中出場するとMF24児玉昌太郎の仕掛けから、エリア内へ入ったボールをシュート。復帰戦を自らのゴールで祝ってみせた。

夏の和倉ユースで大きな自信をつかんだ岡田には、自らが、チームの競争を活性化している、という自負がある。

そんな岡田やFW13髙橋宗杜の姿に、「スタメンの座を明け渡してしまって」という危機感と「やっぱり自分が自分の良さを出さなきゃいけない」。岡崎は自らを見つめ直している。

そして、復帰を目指す日々、支えてくれた人のためにも「結果で恩返しするしか、自分はない」と岡野一は決意を固めている。

それぞれの想いがあるからこその、三つのゴール。そして、選手とサポーターが分かち合う、喜び。そう思わされる場面だった。


快勝にも、3人はけっして満足はしていない。

ゴール以外にも、数多くのチャンスがあった岡田は、もっともっと「自分が決めていかないといけない」。自らのゴールがチームの結果にもつながる、ということに気付いている。

2試合連続の得点の岡野一には、ゴールを決めたことよりも、「外し過ぎた」「もっと決めれた」という悔いがある。

そして、岡崎には「勝ち点差詰めるためにも自分の得点は必要になってくる」。エースとしての自覚がある。

ゴール一つだけでは満足はない。もっともっと試合に出たい。もっともっと、支えてくれた人を喜ばせたい。それぞれの想いが、フロンターレU-18を加速させていく。もっともっと、強くしていく。

【川崎フロンターレU-18 プレミアリーグEAST第14節 vs 前橋育英】
9月17日(日) 午前11時キックオフ 前橋育英高崎グラウンド 晴れ 

前半2-0 後半1-0 計3-0

得点:岡田泰輝、岡野一恭平、岡崎寅太郎

(文中敬称略)

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