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自信、勇気、信頼

5月31日、Anker フロンタウン生田で行われた日本クラブユース選手権関東大会2回戦。

平日のナイターにもかかわらず、集まった300人超の人々が見守る中、フロンターレU-18はジェフユナイテッド市原・千葉U-18に2-0で勝利。

その結果、日本クラブユース選手権への出場が決定した。

ピッチの上でのプレーや、試合後のコメントから感じたのは、今フロンターレU-18がやっているサッカーへの自信や、勇気、そして仲間への信頼。それらが結びついて、いい流れが生まれているということだ。


プレミアリーグEASTでの開幕からの4試合を3勝1分け、と数字上は順調な滑り出しを見せながら、ひとつひとつの試合を見れば、入り方が良くないなど、課題の多かった4月。

5月に入り、最後の最後に追いつかれて、勝ち点2を失うことになってしまった市立船橋戦(△2-2)

そして、もったいない前半の45分を過ごしてしまい、初めて敗れることになった昌平高校戦(●1-2)

結果と内容、両方を目指しているフロンターレとしては、内容の部分で、うまくいっていない部分があり、それが昌平高校戦であらわになったように思う。

「去年に比べたら奪ってゴールに向かうのが多いのがチームの特徴かなって思うんですけど。
持ってゴールへっていうところは、監督も、持ってゴール、奪ってゴールへっていうところで、常に日頃話されていて。 持ってゴールっていうシーンは、本当に今年ゴール入ってないんじゃないかなって思うんで。
そこは本当にひとつ、攻撃の面で課題かなって思います」DF17 柴田翔太郎

https://kawasakisodachi.net/archives/100410
フロンターレU18 – 昌平高校 / プレミアリーグEAST第6節

昌平高校戦後の柴田のコメントにもみられるように、ボールを主体的に持って、得点を奪うという部分では課題があったフロンターレ。開幕してからは、ショートカウンターから得点を取るのが、パターンとなっていた。

ただし、開幕前のプレシーズンを振り返れば、ボールを主体的に動かして、ボランチやSBの選手もエリア内へ飛び出していく、というかたちは、できていて、それをピッチの上で出すことができていない、という部分もあったのではないか、と思う。

それは、試合後、「紅白戦では、本当に今まで見たことのないような紅白戦ができている」(市立船橋戦後の長橋康弘監督のコメント)などからも、「練習ではできているものを、試合では出せていない」という思いがあることがうかがえた。

昌平高校戦での敗戦を経て、臨んだ青森山田戦。

首位に立つ相手に、強度という部分でも渡り合い、主導権を握る展開を見せ、先制。セットプレーからの2発で逆転はされたものの、最後の最後に自分たちでもぎとったPKで追いついての2-2での引き分け。

得点こそ、セットプレーのセカンドボールから、とPKではあったが、この日のフロンターレは、いい縦パスが、間に顔を出した選手たちに良く通り、自分たちでボールを動かす時間をつくることができていたと思う。

同点のPKも、ボランチの尾川丈がエリア内へ飛び出して得たもの。

あのPKを尾川が決めて、引き分けに持ち込んだ、というのは大きな成功体験になったと思うし、「青森山田相手にできたのだったら、どこにも負けることはない」という自信にもつながったと思う。

“いい試合をしても、結局はセットプレーで負けてしまった”

そんな試合にはならなかったという意味でも、あそこでPKを得て、それを尾川が決めて、引き分けたということは、今シーズンの大きな分岐点になる可能性のあるのではないだろうか。


ジェフ戦の3日前に行われたプレミアリーグEAST、旭川実業戦では、“持ってゴール”“奪ってゴール”の両方を積み重ねて、9-0での勝利。

「青森山田のプレッシャーの中で、自分たちのサッカーを、あれだけできたっていうのは、本当に自分たちにとっても自信になりましたし、「山田相手にできたのだったら、ほかの相手にも絶対できるよね」っていうところで。
今日、入りは少し悪かったですけど、自分たちのサッカーができたと思います」MF22 加治佐海

https://kawasakisodachi.net/archives/102140
フロンターレU18 – 旭川実業 / プレミアリーグEAST第8節

ブロックを組んで、構える相手に対し、縦にパスを入れながら、うまく前に出て、失っても、加治佐海や尾川丈、矢越幹都といった選手たちが奪い返していく。昨季までのように左SBの元木湊大が、エリア近くでプレーする場面も増え、右SBの江原叡志には、プレミアリーグ初ゴールももたらされた。

選手たちに、自信が生まれ始めているように思う。

「青森山田戦以降は、自分たちのサッカーに自信がついてきて。
後ろで土屋とか、山中とか、湊大(元木湊大)も叡志もそうですけど、いい自信持ってつないでくれるので、フォワードも動き出しやすいですし、丈(尾川丈)とかも、引き出しはすごい多くなっているので。
去年みたいなポゼッションを意識した、フロンターレらしい攻撃ができているのかな、と思います」 FW9岡崎寅太郎

https://kawasakisodachi.net/archives/102739
フロンターレU18 – ジェフユナイテッド市原・千葉U18 / クラブユース関東予選 2回戦

「ミスしても、その周りの選手が保証してあげるっていう、その中でやることによって、自信を持ってプレーができるっていう、いい循環っていうか、 そういう、そのいいプレーをするために、その周りが動いてあげるっていう、そのチームとしてどうあるべきかっていう、そういう感じが今いい流れだと思うんで、 いい試合になってるなっていうふうに思います」 GK16菊池悠斗

https://kawasakisodachi.net/archives/102739
フロンターレU18 – ジェフユナイテッド市原・千葉U18 / クラブユース関東予選 2回戦

岡崎の言葉からは、仲間たちへの信頼がうかがえる。

そして、昌平高校戦を「本当に、ひどかった」と振り返った菊池が、コメントしたように、自信と勇気と信頼があるからこその、いい循環が生まれていると思う。

開幕からCBでコンビを組む山中大輝や土屋櫂大といった選手からも、縦パスや正確なサイドチェンジがどんどん入る。

もともと開幕からともに、チャレンジするパスを見せてはいたけれど、自信と勇気、仲間たちへの信頼を背景に、組み立ての部分でもより大胆で勇気あるプレーが増えているようにも思う。


クラブユース関東予選の2回戦を勝利したことで、フロンターレU-18の公式戦は、6月24日のプレミアリーグEAST、横浜F・マリノスユース戦まで中断となる。

(Jユースリーグ、東京ヴェルディユース戦は6月17日に予定されている)

日頃から強度が高い練習を心掛け、監督やコーチ陣が見ても「ものすごく面白くなるような紅白戦」を積み重ねているというフロンターレ。

Anker フロンタウン生田で培うものを、自信と勇気と信頼を持って、体現できる。そして、多くの選手が成長する場である日本クラブユース選手権へ、つながっていけばいいな、と思う。


(文中敬称略)

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