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私の履歴書: Apple 編 (その 3)

前回までの Apple 編: その1 その2

Macworld Expo が終わり、イベントの仕事にもだいぶ慣れてきたのかな、と思っていた頃、1998 年の 3 月でしょうかね、突然の異動を言い渡されました。新しい部署は、「事業推進本部 事業開発 ニュービジネス」。これだけを見ると「?」ですが、まさにそれが狙い。ご存知のように Apple という会社は最大のインパクトを出すために様々なプロジェクトを秘密裏に進めていくわけですが、これは Apple Store(オンラインストア)をオープンすることを主なミッションとした部署でした。

正直、今までの経験と全く違うし、これは自分のやりたいことなのだろうか?そして、せっかく慣れてきて面白いと思える仕事から、半年もたたないうちに外されるということに対して、これまでの頻繁な異動も含めて、会社に対しての若干の憤りもあり、当時は会社を辞めることも考えたと記憶しています。

しかし、です。いろいろな人と話をするうちに、考えを改めました。今でこそリテールの店舗を多数抱える Apple ですが、すべてを代理店・販売店経由で売っていました。この仕事は、オンラインストアを開設することで製品を消費者に直接販売するチャネルを持つという、これまでにないことをする、まさに「Think different.」を地で行く仕事である、ということに気づかされたからです。それからは気持ちをバシっと切り替えて仕事に取り組めたと思います。

ちなみにこの部署、ベテラン社員 2 人と私の 3 人で、しかもかなりユニークなキャラ揃い。いろんな学びがありました(笑)。

最初は、今の会社の様々な流れを理解して、そこにどうやってオンライン販売を持ち込めるのか、という調査段階。なにしろこれまでの商売相手は大きなビジネスばかりだったわけですから、個人相手の決済方法などもちろんないし、個別配送だってない、CTO(Configure to order)なんてもってのほか、という感じだったわけです。今あるシステムを活用してこのオンライストアを始められるのか、あるいは、できないのか。そして何が必要なのか、といったことを徹底的に洗い出しました。

なんですが、このプロジェクト、一旦保留になります。どういう理由だったのかはあまり記憶にないのですが(笑)…。それで、私は突然全く違う仕事をすることに。といっても、これまたニュービジネスの「Apple スマートローン」。Apple Store の仕事で金融関係のつながりを作ってきていたので、私がアサインされたのでしょうね、きっと。アメリカで行われていた「月々ピザ 3 枚程度の支払いで iMac が買える」という仕組みを日本でもローンチする、というものでした。

いやー、これがね。ほんと、大変でした。割賦販売法の壁が厚くてとにかく紙の書類が必要であるとか、慣例的なことでやりたいことができない、とか。常に消費者のことを一番に考えてきたし、白か黒かを気にしてきたので、もやもや〜っとした部分に対して本当にイラっとしましたね(笑)。そして、本当に自分の社会人人生の中で最大のトラブルが発生するわけですが、さすがにここでは書けない内容となっております…。

日本ではピザの価格が高いこともあり、月々ピザ 1 枚程度で変えてしまうことになりましたが(笑)、この施策は基本大成功したと言えます。ちょっと割合忘れてしまいましたが、このローン提供期間中のかなりの割合のお客様がこのローンを利用してくれたのです。

しかし年が明けた 1999 年、5 色の iMac が ローリング・ストーンズの She's A Rainbow とともに華麗に登場(笑)。値段も下がって、なかなかの悪夢でした…。




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