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読まれない時代の書籍の存在価値とは?

2022年が終わろうとしています。
皆様にとって、どんな年だったでしょうか?
一年という括りはあるものの、年を越えて持ち続ける「問い」があります。

「媒体が多様化し、活字離れも加速し続けている流れの中で、失われることのない/新たに生まれてくる、書籍『ならでは』の価値とは一体何なんだろうか?」
これは私の長年の問いの一つです。
そして、最近ようやく、一つの仮説にたどり着いてきました。
それは・・・・
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 クエストの触媒
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です。

「クエスト(Quest)」ってゲームの世界でよく使われる言葉のようですが、最近は、ほぼ「ミッション」と同義になっているようにも見えます。
しかし、辞書には
1 探索。探求。
2 物語などの、冒険の旅。
と書いてあります。 つまり、知的な作業でもあり、大胆な行動も指すようです。
私はこれからの書籍の存在価値にぴったりだなと思っています。
お手軽に「答え」を仕入れたいのであれば、他の媒体で十分、代替できます。
それに対して書籍は、著者の思索と深く向き合うことになり、良著であればあるほど、読者を問いに残します。
そして、その「問い」が大きく、意味のあるものであればあるほど、読者に変容をもたらすものになると思っています。
それがクエストの一つ目の意味である、「探索・探求」です。
これはおそらく、これまでも存在してきた書籍『ならでは』の価値であり、これからも残り続けていく価値でしょう。
それに加えて、これからの社会情勢やテクノロジーの進化が加わって、書籍が私たちに「新たな展開を生み出す出会い」をもたらしてくれるものと考えています。

それがクエストのもう一つの意味である、「冒険の旅」です。

答えがなく環境の変化は激しさの一途を辿る一方になるこれからの時代においては、次から次へと休む間もなく、片付けなくてはならない問題が降ってくるだけでなく、どうにも手に負えないような無理難題が目前に迫り、私たちを悩ませていくことになるでしょう。
そうなればなるほど、その悩みを解決するべく、藁をもつかむようにいろんな媒体に手を出す人が増えていくものと思います。
お手軽な「答え」ではどうしようもないという感覚が強くなればなるほど、書籍を通してしっかりと、自分の考えを確立しようとする力学も働きやすくなります。
そして、その書籍に通り一遍の答えではない、追求しがいのあるヒントがあるように見えれば見えるほど、次なるアクションが生まれていきます。
そのうちの一つが
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書籍にまつわる学びの場の門を叩く
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です。

いわゆる読書会のようなものもそのうちの一つになりますが、テクノロジーの進化によりオンライン上での機会の創出が生まれやすくなっています。
しかも、単に1~2回対面の読書会に集まるのと異なり、その書籍の世界観を中心軸として、お互いに継続的に接触を図ることが可能になってきています。
この当たり前の話に見える、「わずかな差」が「冒険の旅」という新たな価値を生み出し始めています。

なぜなら、この「わずかな差」によって生じる継続的な接触が、仲間意識をはぐぐむだけでなく、解決したい悩みがあればあるほど、お互いの関わり合いの中で、次に進もうとするエネルギーを高めていくからです。
これは以前の読書会や出版記念イベントのような対面でしか企画が成立しなかった時期とは大きく異なる動きのように見えています。
単にたまたま飲み会や趣味の会で知り合う関係でもなく、講座やイベントで一時的に接触機会が生まれるのでもなく、書籍が提供する世界観をめぐって、継続的な協働探索・協働探求が始まる。
そして、そのつながりが、薄ーく、長ーく続く分、少しずつ踏みしめるように、次なる冒険への旅の準備が整っていく。
それがこれからの書籍『ならでは』の価値として、「クエスト」を可能にしていくのだと思います。
そう考えると、書籍はもはや、読了してもらうことを目指さなくても、クエストが生まれるための触媒として機能させることを目指して様々な企画を作ればよいのではないかという考えに至りました。

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書籍が完成してから「買ってもらう、読んでもらう」を目指すのではなく、
書籍が完成する前からでも「クエストの触媒」としての機能の最大化を目指して、機会を提供する。
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それが、私のたどり着いた書籍の価値の再定義です。

新しい年が皆様にとって、世界にとって佳い年であることを祈ります。



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