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チーム理念を浸透・定着させるには?

組織としての方向性を一致させるために、期初に「チーム理念」といったものを設定し、その浸透に取り組まれたことがある方も多いと思います。
しかし、せっかく設けた理念がいつの間にか、「お飾りに終わってしまう」ということもあるのではないでしょうか。

理念が存在していたとしても、それがなかなか浸透せず徹底されなくなってしまうのはなぜなのでしょうか?

多くの場合その原因は、「言っていることとやっていることが違う」という状態が生じていることにあります。

例えば、マネジャーの方であれば、「上司である自分の指示ではなくメンバー同士協力し合って仕事を進めてほしい」ということを語りつつも、心の中では、「そうは言っても自分が目を光らせておかないと心配だ」といった本音を持っているというのは、よくあることだと思います。

しかし、心の中にある本音というのは、当人が思っている以上に当人の言動に影響を及ぼしているため、周囲に対して理想を語る言葉がうわすべって伝わってしまうということが起きうるのです。

こうした状況をハーバード・ビジネススクールの名誉教授であるクリス・アージリスは、「信奉理論」と「使用理論」という区分を用いて説明しています。

これは、人々が自分の行動はこれに基づいているのだと「語る」目標、仮説、価値観に対し、実際に当人がとる行為に反映している(が本人は特に話さない)暗黙の諸前提という別のものが存在していることを示したもので、この「信奉理論」と「使用理論」にギャップが生じている場合に、「言っていることとやっていることが違う」という状態になるのです。

「人々は自分の支持する理論(表面的に同意していること)に必ずしも調和した行動は起こさないが、自分が使っている理論(各自の強固な固定観念)には必ず調和的に行動する」というクリス・アージリスの言葉にあるように、一個人の日常生活においても生じやすいこのギャップは、チームの理念やビジョンといった高尚なテーマにおいては、より生じやすくなるので注意が必要です。

チーム理念を「信奉理論」に留まらせず「使用理論」としての一致を図るには、その理念を唱和したり、ポスター等で見える化を行うだけでは決して十分とは言えません。そこで参考になるのが、「理念浸透サイクル」です。

理念浸透サイクル

理念浸透のためには、誰よりもマネジャー自身がその理念・ビジョンに一致している必要があります。理念・ビジョンを構築するプロセスで、自分の内面にある本当の想いを言語化する作業を繰り返していくことが重要です。

その上で、大きな達成や、仕事での充実感や感動した体験を丁寧に振り返りながら、理念・ビジョンとの結びつきを言語化することで、チームの理念・ビジョンが自分自身の価値観がつながっているという認識を高めていきます。

もし理念・ビジョンが形骸化している場合には、それらがマネジャー自身にとっても単なる「信奉理論」であり、「使用理論」となっていないことを素直に認め、自己開示し、「人にどう思われるか?」という恐れを乗り越えることが近道です。

そして最後に、マネジャー自身の日々の行動を理念・ビジョンと一貫しているかを改めて自問自答します。そして日常の部下指導や育成の場面においても「理念に照らし合わせて是か非か」を問うことを日常化することで、文化として根付かせていくことが可能になるのです。

                                     
自分自身の価値観とチームのビジョンが繋がったとき、
組織やチームメンバーにどんな変化が訪れるでしょうか?
  
 

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