見出し画像

ニューノーマルな働き方の歪みとは?

様々な企業でお話を伺う中で、ニューノーマルな働き方の「歪み」がそこかしこで生じているように思います。
そしてこの歪みは企業の中だけではなく、社会全体で起こっているとも感じています。
歪みとは具体的にどのようなものなのか、そして、私たちが向き合っていきたい「問い」について、今回ご紹介してまいります。

まずは「歪み」がどのようなものなのか、順に説明していきます。
全体像としてのモデル図はこちらです。

(1)いきすぎた「個人主義」
リモートワークが主流になってきたことで、職場感度が下がったり、職場よりも家族や私的な時間を優先する方が増えてきました。
加えて、多様な価値観のもと、就労観の多様化も加速してきています。
それぞれ悪いことではないのですが、それが突然に起こってしまったがために、歪んだ形で現れ出ているのではないかと感じています。
ひとつが、「自分さえよければいい」という、いきすぎた個人主義です。

(2)「集団的手抜き」
個人主義がいきすぎた結果、集団的手抜きが発生します。
リモートワークになったことで、周囲の状況が見えなくなり、「まずは自分の仕事だけやればいい」という状況になりやすいのです。
管理職側もリモートワーク下でチーム内の細かな状況を把握しづらくなっているということがあると思います。
自分の行動の影響がみえづらくなり、「このくらいでいいか」となりやすいがために、組織はいつの間にか集団的手抜き状態に陥ります。

(3)「トラブル」の発生
集団的手抜きが積もり積もって起きるのは、「トラブル」です。
しかもヒヤリハット段階だけでなく深刻なものに発展しているケースが多く、顧客からの重大クレームだけではなく、内部での不正処理も…という話は決して少なくありません。

(4)「諦め」の蔓延
トラブルが深刻であればあるほど、そのことがメンバーの「諦め」の感情を
増幅させます。
最近は“じゃあ会社を辞めればいい”という観点になりやすく、ここでも個人主義を加速させてしまうところがあります。
対して、全員が全員そうだという訳ではなく、会社をなんとかしようとする人は状況を打開しようとするのですが、孤軍奮闘で仕事を抱え込む、となりがちです。
その孤軍奮闘・仕事の抱え込みは、結果として、
“なぜ自分ばっかり、あいつはやらないんだ”
という、正当化や他者への非難の感情となっていきます。

(5)ハラスメントと傷つき
非難、侮辱、見下し、自己弁護・逃避などの感情について、ワシントン大学名誉教授であるジョン・ゴッドマン博士は、人間関係を決定的に破綻させる「関係性の四毒素」であるとしています。
「諦め」の蔓延によってこれら四毒素の感情が増幅された結果、ハラスメント行動、特にパワハラ行動として表現されてしまいます。
元々は「この状況をなんとかしたい」という責任感もあるため、ハラスメントした側も、された側も、双方にとって傷つきの体験になってしまい、より「諦め」を加速させていきます。
それが、更なる個人主義、集団的手抜きに繋がるループを加速させていると考えています。


以上が、ニューノーマルな働き方によって生じた「歪み」についてです。

先に述べた通り、この歪みが企業の中だけではなく社会のそこかしこで起こっているとしたらどうでしょうか。

「自分らしくいればいい」、「あなたはあなたのままであっていい」と、個と多様性を尊重することは大切なことだと思います。
しかし、それだけでは超えられないことが今まさにそこかしこで起こっています。
このままでは、他者を尊重すると言いながらも、いつの間にかみんなの首
を絞めてしまっていた、という事になりかねないのではないでしょうか。
     
                                
 私たちが社会を生きていくなかで、
 「自分らしくあること」と「みんなが幸せになること」
 の両立は何によって可能になるでしょうか?

メルマガ名をリニューアルしました!
”ビジョン・プロセシング”マガジン「未来からの問い」
ご登録はこちら:https://regssl.combzmail.jp/web/?t=mt23&m=r8v6

★書籍「ビジョン・プロセシング(仮称)~人と組織の『未来と向き合う力』をどう育むか~」2023年5月10日発刊決定!
予約受付を開始いたしました!
詳しくはこちら↓



                                

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?