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創造型組織開発アプローチ

様々な組織の課題についてご相談をいただく中で、よくお伺いする質問があります。
それは、「皆さんの組織では、『創造すること』と『問題を処理すること』のどちらに、どれくらいの時間を割いていらっしゃいますか?」というものです。


『学習する組織』の提唱者ピーター・センゲ博士は、「『問題を処理すること』というのは、『望んでいないこと』を取り除こうとすることであるのに対して、『創造すること』というのは、『本当に大切にしていること』を存在させようとすることである」とその違いについて言及されていますが、組織開発を行っていく上では、この2つの側面の違いをしっかりと認識した上で、「問題を処理すること」から「創造すること」にシフトさせていくことが重要です。

問題処理から創造のプロセスへのシフトを図る上で鍵となるのが、「クリエイティブテンション」をデザインすることです。

クリエイティブテンションとは、「望ましい状態」と「現実」を明確にすることで生まれる創造的な緊張感を意味します。
「望ましい状態」と「現実」を明確化し、現状を創り出している構造を明らかにしていくことで変化を創り出しやすくなるのです。

そして、クリエイティブテンションをデザインする上で重要なのが、Ourput
とOutcomeの違いを捉え、区別して扱うことです。
例えば、プロジェクトや会議のゴールは、数値目標や報告レポートといった「Output」になりがちですが、その「Output」をもとに受益者がどのような成果・効果を得られるようになるのかという「Outcome」を言語化する必要があるのです。

私たちは何か問題が起きた際に、そこから抜け出すための問題対処に囚われてしまいがちです。
問題と問題対処と成果・効果(Outcome)を明確に区別していないために、問題対処そのものが最終的な目標・ゴールだと誤認してしまうのです。


問題処理の代償
問題対処を続けていると、組織は負の感情にまみれ、相互に負のスパイラルに陥れあう関係状態を生み出します。
そうした関係状態が続くと、組織の中に「加害者」「被害者」「傍観者」の役柄に無自覚にはまり込んだ個人が増え、負のスパイラルが拡大し続けてしまうといった副作用があるのです。

問題対処による負のスパイラルにはまり込んでしまわないためには、目指す
ビジョン/成果・効果について、しっかりと議論を重ね、「望ましい状態」を言語化した上で、現状を創り出している構造を明らかにしていくというステップが重要です。
これが、クリエイティブテンションをデザインするということです。

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