ワクチン接種後はカロナール?ロキソニン?
どうも!薬剤師なかあきです♪
今回は「新型コロナワクチン接種後、副反応に対してどの解熱鎮痛薬を使ったらいいのか?」というお話です。
なかあきの周りでは、カロナールを使う医師が多いのですが…
「ロキソニンでもいいよー」とか、逆に「カロナールしか使っちゃだめ!」と言っている医師もいるようです。
いやぁ、いろんな意見があると混乱しちゃいますよね…
ということで、実際のところどうなのか?をまとめました♪
YouTubeでは、なんと!71万回以上も再生いただきました!感謝です🙇♂️
どの解熱鎮痛薬を使うべきか議論がある?
ワクチンを接種した後は、抗体をつくるために体の中で免疫反応が起きています。
そのため、熱とか腕の痛みなどの症状がでるんです。つまり、熱があるってことは、ワクチンの効果を出すために必要な反応なんですよね。
そのため、「必要な反応なんだから、解熱鎮痛薬でおさえてしまうと良くないのでは?」と意見があるんです。
実際のところ、「解熱鎮痛薬を飲むと抗体ができにくくなるのか?」について、昔の論文がいくつかあようです。
ただ、「解熱鎮痛薬を飲むと抗体ができにくくなる」というもの、逆に「解熱鎮痛薬を飲んでも抗体ができにくくはならない」というもの…どちらの論文もあり…
昔の論文だけでは、「どちらが正解」という結論はでておりませんでした。
ロキソニンの特徴
ロキソニンは、ロキソプロフェンという成分を含む薬です。
通常は、痛みをおさえたり、熱を下げたりする目的で使われています。
医療用ではロキソニン、市販の製品ではロキソニンSをはじめ色々な製品が発売されていますね。
薬の特徴としては、体の中で、プロスタグランジンという物質を減らすことで、炎症をおさえたり、痛みをおさえたり、熱をおさえたりします。
注意点としては、基本的に消化性潰瘍がある方、アスピリン喘息がある方、腎臓・心臓・肝臓などの臓器に重い障害がある方、妊娠後期の方、この成分にアレルギーがある方などは使えません。
カロナールの特徴
カロナールは、アセトアミノフェンという成分を含む薬です。
通常、痛みをおさえたり、熱を下げたりする目的で使われます。
医療用ではカロナール、市販の製品ではタイレノールA、バファリンルナJ、ノーシンAc、ラックル速溶錠などが発売されています。
製品によって入っているアセトアミノフェンの量が違ってまして、カロナール200ならアセトアミノフェンが200mg、カロナール500なら500mg、タイレノールAは300mgのアセトアミノフェンがはいっています。
薬の特徴としては、体の中で、視床や大脳皮質など中枢に作用して、痛みをおさえたり、熱をおさえたりします。
ロキソニンと違って、炎症をおさえる作用はほとんどなく、「痛みをおさえる力」もロキソニンほど強くはないと考えられています。
基本的に、消化性潰瘍がある方に使えないなどの注意点は、ロキソニンと大きく変わりません。
小児に使用できたり、妊娠中にも使用されることがあるなど、安全性は比較的高い薬だと考えられています。
新型コロナワクチンの副反応
現在、日本で使われる新型コロナワクチンは、ファイザー製とモデルナ製の2製品です。
論文によっても数値が異なりますが、アメリカのCDCがまとめた論文では、次のような数値が出ています。
年齢によっても異なりますが、腕の痛み、頭痛、発熱といった「ロキソニンやカロナールを使っておさえたい症状」がまずまずの頻度で起こっていますね。
Chapin-Bardales J, et al. JAMA. 2021 Apr 5. doi: 10.1001/jama.2021.5374.
ファイザー社の大規模臨床試験
実際に、新型コロナワクチンを製造しているファイザー社が行った大規模臨床試験では、多くの方が解熱鎮痛薬を使用していました。
ただ、その結果、「抗体ができづらかった」などの報告はありませんでした。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2034577
厚労省・CDC・WHOの見解
現在、厚生労働省、アメリカのCDC、WHOは、「解熱鎮痛薬の使用は、ワクチン接種前またはワクチン接種時に推奨されないが、ワクチン接種後に副反応がある場合は認められる。」としています。
つまり、接種前とか副反応が出る前に予防的に、カロナールやロキソニンを飲むことはよくないけど、副反応がでた後ならどっちを使ってもいいよ、という意味ですね。
副反応が出る前に予防的に飲むのはダメというところがポイントですね!
参考
厚労省の見解:ワクチンを受けた後の発熱や痛みに対し、市販の解熱鎮痛薬を飲んでもよいですか。
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0007.html
CDCの見解:Possible Side Effects After Getting a COVID-19 Vaccine
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/vaccines/expect/after.html
副反応への対応まとめ
ここまでの見解をまとめますと、ワクチン接種後に副反応がでた場合は、ロキソニン、カロナールのどちらを使っても良いですし、それ以外のアスピリンやイブプロフェンといった他の解熱鎮痛薬を使っても良いのですが・・・
症状がでる前から予防的に飲むのはやめましょう、ということです。
じゃあなぜ、「カロナールを使う医師が多いの?」って気になりますよね。これは、薬の特性といいますか、カロナールは小児から高齢者まで幅広く使うことができ、副作用が比較的少ないなど、使いやすい薬だからだと思います。
もちろん、カロナールにアレルギーがある方も、ロキソニンへのアレルギーがある方もいらっしゃいます。さらに、胃潰瘍がある、腎機能がよくない、アスピリン喘息がある、他に薬を飲んでいる方もいらっしゃいます。
ご自身が使うことができるかどうかは、その状況を総合的に判断して、最終的にどの薬を飲むのか決める必要があります。
さらに、冒頭でもお話ししましたが、カロナールは200mg、300mg、500mgなど、入っている成分(アセトアミノフェン)の量が違っています。そして、飲んでも問題ない量っていうのも、人によって変わります。
ご自身が、「どの薬をどれくらいの量」飲めば良いのか?は、かかりつけの医師・薬剤師に聞いていただいても、ワクチン接種前の問診のときに聞いていただいても良いと思います。
この記事によって、副反応で困る方が少しでも減ると嬉しいです。
気が向きましたらサポートしていただけると嬉しいです♪