羽生九段vs丸山九段

(将棋ネタ)

昨日は竜王戦挑戦者決定三番勝負の第一局が行われました。僕は羽生先生を応援してますが、昨日は丸山九段が勝ちました。

この丸山九段という方、こないだ藤井聡太棋聖を破ったので、ニュースになってましたが、羽生世代の大ベテランで名人になったこともある超一流棋士です。

で、この丸山九段の得意戦法が「後手番一手損角換わり」というものです。

将棋は通常先手番になったほうがほんのちょっとだけ有利でプロ棋士同士の公式戦記録でも先手番のほうがほんの少しだけ勝率が高くなっています。

しかし、丸山九段は後手番になったときにこの一手損角換わりという戦法で勝ちまくってるのです。はい、こないだの藤井聡太棋聖を破ったのも後手番一手損角換わりでした。

で、この一手損の意味ですが、プロの将棋は序盤で少しでも得を出来るように目指すのが普通なのですが、それをあえて少し損をしつつ序盤を進めるという、現代では珍しい戦い方なのです。

実際に一手損角換わりの戦法を使ってもコンピューターソフトによる解析ではやや不利と評価されてしまいます。ところが何故か不思議と、指し進めるうちに丸山九段のほうが有利になり最後には勝ってしまうのです。

昨日の対局でも、後手番となった丸山九段が一手損角換わりを目指しました。普通なら相手の得意戦法を外したいと考えるはずですが、羽生先生は違います(笑)。

羽生先生のほうはというと、じつは羽生先生には得意戦法というものがありません。よく「◯◯流」という感じで棋士名がついた戦法名があるのですが、羽生先生には得意戦法が無いので羽生流という戦法名が無いのです。

プロの将棋は研究勝負なので、勝つだけが目的なら得意戦法を絞って、その得意な土俵に引き込むようにすれば勝率は上がります。しかし、羽生先生はそういったことはせず、相手の得意土俵に乗り込んで倒してしまう、まさに横綱なのです。

昨日もそのまんま相手の土俵にズカズカと入っていきました(笑)。その結果、序盤どうなったかというと、午前中、丸山九段の持ち時間消費がなんとゼロ分!午後の時点で残り持ち時間の差が2時間になりましたΣ(゜Д゜)。

丸山九段にとっては研究範囲の慣れた道なのでサクサク指せますが、オールラウンダーの羽生先生は考えながら指すので、そういうことになってしまうのです。

しかし、いくら深く研究をしていたとしても、全ての手を読み尽くすことは出来ません。どこかの時点で研究から離れて自力で指していく必要があります。

今回、羽生先生の「66歩」という手で丸山九段の手が止まり長考に沈みました。この「66歩」という手は、まさに肉を切らせて骨を断つ的なかなり強気な手でした。

その時点でのコンピューターソフトよる解析では、丸山九段が更に強気な手で反発すれば、それが最善手で全くの五分五分。守りに入れば羽生先生有利に傾く、というものでした。

長考の末、丸山九段の選択は守りの手でした。コンピューターソフトの評価値はここから羽生先生有利に傾きます。僕はこれで羽生先生勝ち!と思ってしまいました(^o^;)。

ところが、どんなに一流棋士でも最後までミスなく指すということはほとんど不可能で(だから今や人間よりコンピューターのほうがはるかに強い)、まして、持ち時間が削られてる羽生先生は終盤ミスをします。

そのミスが「82角」という手でした。いや、僕らはコンピューターソフトの評価値を見ながらなのでミスだとわかるだけで、その手は普通に勝てそうな自然な一手だったのです。

そういう手を丸山九段レベルになると見逃しません。的確にミスを咎めて再逆転!そのまま逃げ切り、丸山九段の勝利となりました。

ということで、僕は羽生先生を応援してるのですが、丸山先生も、特徴的な芸風を持つじつに魅力的な棋士なのです。

プロ将棋の世界は藤井聡太棋聖だけでなく、魅力的なキャラがたくさんいますので、ぜひ皆さんに興味持ってもらいたいです( *・ω・)♪

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?