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M-1GP2023ファイナリスト②〜経験組・敗者復活組〜

 去る12月7日、M-1グランプリ2023のファイナリスト9組が発表され、今年もまた錚々たるメンバーが名を連ねた。今回僕は準決勝のライブビューイングを見に行ったのだが、本当に31組皆ウケており、9組予想するのも一苦労だった。

 そんなファイナリスト9組のうち、今回は決勝経験者4組+敗者復活戦の展望について僕なりに解説していきたい。KOCの時も同じような記事を上げたが、漫才師についてはあれよりもっと長くなるのでご了承ください。


6.真空ジェシカ(3年連続3度目)

神奈川県出身・ガク(左)
埼玉県出身・川北茂澄(右)

 2012年結成、プロダクション人力舎所属。3度目の決勝でそれなりに知名度も高まってきたというのに、未だにアングラの空気を拭いきれない奇人コンビ。会見でMCを務めた地下のカリスマ・マヂラブをも困惑させるボケのオンパレードが印象的だった(主に川北)。

 彼らもまた、インターネットのノリを具現化したような独特な漫才を披露するが、正直このタイプはそろそろ飽きられるのではないかと失礼ながら思っていた。しかし、今年はそこに分かりやすさが加わり、爆発力も増加したように感じた。今までで一番脂の乗った今年が最大のチャンス。誰にも真似できない漫才でM-1を制し、色々な番組で悪ふざけをかましてほしい。あとはIPPONグランプリにも呼ばれたら最高である。

個人的キャッチコピー
「逆襲のエリート」

7.モグライダー(2年ぶり2度目)

愛媛県出身・芝大輔(左)
埼玉県出身・ともしげ(右)

 2009年結成、マセキ芸能社所属。一昨年の大会でトップバッターの歴代最高得点を叩き出し、大ブレイクを果たした2人が再び帰ってきた。新番組『ジョンソン』のMCに抜擢されるなど大忙しの中でも、愚直に漫才にも向き合ってきたのだろう。

 彼らのネタの善し悪しは、ともしげのその日のコンディションによってほぼ決まると言っても過言ではない。しかし、調子が悪くても芝のアドリブ力の高さで笑いを生み出すことができるのが強みであると思う。むしろともしげが少しバグっているくらいがベストなのではないだろうか。その方が慌てふためくともしげも、それを操る芝も両方映えると思う。昨年王者にして盟友のウエストランドに続いて、返り咲きでの優勝を果たせるか。

個人的キャッチコピー
「バグ&スマート」

8.さや香(2年連続3度目)

大阪府出身・新山(左)
同・石井(右)

 2014年結成、吉本興業(大阪)所属。恐らく今大会の優勝候補筆頭と言っていいだろう。昨年は1stラウンドで圧巻のしゃべくり漫才を見せつけたが、惜しくも準優勝に終わった。それだけに、今年にかける思いはファイナリストの中で一番強いのではないかと思う。

 数年前からボケとツッコミを入れ替えて、王道しゃべくり漫才を披露している彼らだが、元々ボケだった名残だろうか、新山のツッコミにどこかボケっぽい偏見を感じる。それがヒートアップして、現・ボケの石井の暴論と激突し、結果“ケンカやと思われる熱量”を生み出す。こうなってしまったらもう笑うしかない。今年もその爆発力は健在。三度目の正直で優勝を決めて、再び漫才の覇権を大阪に取り戻してほしい。

個人的キャッチコピー
「しゃべくりバーサーカー」
 

9.カベポスター(2年連続2度目)

三重県出身・永見大吾(左)
大阪府出身・浜田順平(右)

 2014年結成、吉本興業(大阪)所属。関西の漫才バウンティハンターが今年も難なく決勝までやってきた。こちらも昨年、トップバッターとして色々ありながらも歴代2位の得点を記録したのが記憶に新しいだろう。また、ボケの永見はR-1ファイナリストの称号も手にした。

 彼らのネタのスタイルは同じ大阪勢のさや香とは打って変わって、論理的で落ち着いた雰囲気のしゃべくり漫才である。にもかかわらず、準決勝ではなかなかクセの強いメンツが揃うDブロックで、圧倒的なウケ量を誇っていたように感じた。カベポスターのような静かな漫才はM-1においては不利と言われがちだが、彼らならそれを覆すだけの力はあると思ってる(何様)。あとはトップバッターを引かないように祈るばかりだ。

個人的キャッチコピー
「静かなる闘志」

10.敗者復活組

敗者復活戦メンバー。カッコ内は回数。
赤は決勝経験者、青はラストイヤー。

 最後に敗者復活戦の展望を少し書きたいと思う。今年から敗者復活戦の視聴者投票が廃止され、例年に比べて考察の余地もあると思うので、ここでは期待しているコンビを3組挙げることにする。

左からママタルトナイチンゲールダンススタミナパン

 まずは敗者復活戦2度目のママタルト。準決勝を見た感じだとストレートで進出してもおかしくなかったと思う。次に初出場のナイチンゲールダンス。ツギクルで優勝し、ブーストのかかった今年は経験組を食う可能性も存分にある。そして同じく初出場のスタミナパン。コントが主軸のコンビで前年までは2回戦止まりだったが、今年一気に躍進した所謂“侍スライス枠”。それでも準決勝の口コミは高く(実際面白かった)、敗者復活戦にも大いに期待がかかる。もちろん、常連組や決勝経験組、ラストイヤー組にも意地を見せて欲しいところだ。

 なお、敗者復活戦のルール変更についての思いを綴った記事もあるのでよろしければ。

 以上、決勝経験者4組と敗者復活戦の展望である。今年は初出場組にも実力者がひしめくが、戦い方を知っている経験組が返り討ちにできるのか。そして敗者復活組もこれまで以上に侮れない存在になることだろう。クリスマスイブが今から楽しみである。

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