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M-1GP2023ファイナリスト①〜初出場組〜

 去る12月7日、M-1グランプリ2023のファイナリスト9組が発表され、今年もまた錚々たるメンバーが名を連ねた。今回僕は準決勝のライブビューイングを見に行ったのだが、本当に31組皆ウケており、9組予想するのも一苦労だった。

 そんなファイナリスト9組のうち、今回は初出場5組について僕なりに解説していきたい。KOCの時も同じような記事を上げたが、漫才師についてはあれよりもっと長くなるのでご了承ください。


1.令和ロマン

東京都出身・高比良くるま(左)
神奈川県出身・松井ケムリ(右)

 2018年結成、吉本興業(東京)所属。言わずと知れた東京吉本若手のホープである。学生芸人時代は大学生M-1優勝、NSCは主席で卒業、プロデビュー後はNHK新人お笑い大賞優勝、ABCお笑いグランプリ2年連続準優勝など、その輝かしい経歴の数々は挙げればキリがない。
 Z世代にぶっ刺さるボケを連発するくるまに、ケムリが振り回されながらも窘めるようにツッコむ。高学歴ならではの知性と若手らしいポップさを兼ね備え、芸歴6年目とは思えないほどにスタイルが洗練されていて貫禄すら感じる。決勝初出場でそのまま優勝、なんて事も彼らならやってのけるかもしれない。また、平場の力も相当強いため、優勝してもしなくてもバラエティ番組などに引っ張りだこになることは間違いないだろう。

 個人的キャッチコピー
「新時代のパイオニア」

2.ダンビラムーチョ

山梨県出身・大原優一(左)
長野県出身(初)・原田フニャオ(右)

 2011年結成、吉本興業(東京)所属。昨年の敗者復活戦で大きなインパクトを残したのは記憶に新しい。もしくは「野球部あるあるの人」という印象が強い人もいるのではないかと思う。芸人のYouTubeチャンネルでネタ動画が一本も上がってないというのも珍しい。
 初めて準決勝まで進出した2018年では「ヤバいおじさん」という鉄板ネタがあった。それが4年の時を経て、まさか歌ネタ漫才師に変貌するなど想像ついただろうか。けど実際、準決勝でのウケ量は相当高かったし、準々決勝前に∞ホールに見に行ったときも個人的には一番のウケを掻っ攫っていたように感じた。吉か凶か、正直どちらにも転ぶ可能性はあるだろうが、“冬の構想”に残ったその実力を存分に発揮してほしい。

個人的キャッチコピー
「曲者ヒットメーカー」

3.くらげ

福岡県出身・杉昇(左)
静岡県出身・渡辺翔太(右)

 2018年結成、吉本興業(東京)所属。結成2年目となる2019年大会にて準決勝に彗星の如く現れ、「分かんねえけど」のネタで無名ながら敗者復活戦8位に躍り出た。個人的にはその年の王者・ミルクボーイを超える衝撃を受けたのを覚えている。
 彼らの武器はその多彩なフォーマット。そのあまりにも華のない見た目と、次々に新たなスタイルの漫才を生み出すその様は正に“職人”。毎年予選で見る度に新たなフォーマットの漫才を披露しており、決勝ではどんなネタで挑むのか楽しみである。さや香、真空ジェシカ、オズワルド、空気階段、コットンなど、人気と実力を兼ね備えた芸人を数多く同期に持つ圧倒的ダークホースは、決勝で大番狂わせを起こせるのか。

個人的キャッチコピー
「実力主義の漫才職人」

4.ヤーレンズ

大阪府出身・楢原真樹(左)
神奈川県出身・出井隼之介(右)

 2011年結成、ケイダッシュステージ所属。長らく東京のライブシーンを牽引する実力派が、遂にこの大舞台に進出した。といっても元々は大阪吉本に所属しており、上京と同時にケイダッシュに移籍した異色の経歴の持ち主である。
 ボケの楢原、ツッコミの出井ともにヘラヘラとしたゆるい雰囲気を醸し出しながら、あの手この手で的確にこちらの笑いのツボを突いてくる漫才が特徴。また、僕は今年一度∞ホールでヤーレンズのネタを見たのだが、ライブが10分押すほどの長いつかみを披露していた。流石にM-1ではやらないだろうが、そのような清々しいまでの肝の据わり様も彼らの持ち味の一つだろう。機は熟した。今年は変えてくれ、人生。

個人的キャッチコピー
「奔放なテクニシャン」

5.マユリカ

兵庫県出身・阪本(左)
同・中谷(右)

 2011年結成、吉本興業(東京)所属。賞レースの猛者がひしめく大阪NSC33期から、また一組ファイナリストが輩出された。3歳からの幼馴染コンビは関西で地道に結果を残し続け、今年4月に満を持して東京進出。勢いそのままに決勝へ駒を進めた。
 ロートーンなボケの阪本とハイトーンなツッコミの中谷による緩急のついた掛け合いが特徴。だが、マユリカについて注目しているのは、M-1で名が知られたその後である。彼らは言うなれば“変人と変人のコンビ”。まずコンビ名の由来からしてキモい。そしてビキニ写真集も出版している。かと思えばそれぞれ音楽活動にも力を入れていたりする。M-1きっかけでもっと彼らのキモさと多才さが知られてほしいし、僕ももっと知りたい。

個人的キャッチコピー
「阿吽のコントラスト」

 以上が決勝初出場の5組である。今年の初出場組はいずれも過去に準決勝進出歴があり、確かな地力があると言える。故に決勝経験組を食う可能性も大いにあるだろう。近年は初出場組の優勝が遠ざかっているが、久々にそれが見られるのか期待である。

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