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THE SECOND考察(前編)

※こちらの記事は前編になります。後編は⬇️

 去る4月20日および21日、THE SECONDのノックアウトステージ(以下、KOステージ)16→8が行われ、グランプリファイナル(以下、GF)に進出する8組が出揃った。今年は16→8を配信で観たのだが、いずれの対戦もかなりレベルが高く、正直「これどっちだ!?」となった対戦も幾つかあった。
 
 そんなハイレベルな戦いを勝ち抜いた精鋭8組を、4月25日に行われた抽選の末決まった対戦カード毎に見ていこうと思う。前編では第1、2試合に登場する4組を見ていく。

GFトーナメント。今回も注目のカードが目白押しだ

第1試合

1. ハンジロウ(Bブロック代表、初)

沖縄県出身・たーにー(左)
同・しゅうごパーク(右)

 2003年結成、マセキ芸能社所属。沖縄出身で旧コンビ名を「しゃもじ」といい、こちらの印象が強い人も多いだろう。2009年頃『ふくらむスクラム!!』というコント番組のレギュラーだったが(当時観てない)、そこでは大ブレイクとはならなかった。そのため、THE SECONDのコンセプトに相応しい一組といえるだろう。

 前述の通りコントを主力とし、KOCでも3度準決勝に進出しているが、まさかの漫才で先に決勝進出を果たした。しかし侮るなかれ。KOステージでは吉本の大師匠ザ・ぼんちを僅差で破り、勢いそのままにポットA・リニアを下した。16→8で披露したネタでは正統派のコント漫才に圧倒的な演技力が加わり、空気を掌握していたように感じた。漫才での実績が少なく、手の内がバレてないのも強みかもしれない。

2. 金属バット(Dブロック代表、2年連続2度目)

大阪府出身・小林圭輔(左)
同・友保隼平(右)

 2007年結成、吉本興業(大阪)所属。浪速のアングラ漫才師が、唯一の2年連続GF進出となった。昨年度のGFではトップバッターで登場し、初戦でマシンガンズに惜しくも敗れたが、それでも依然としてお笑いファンからは高い評価を得ている。

 どこか飄々としてブラックさも醸し出しながら、時折鋭いボケ・ツッコミでぶっ刺してくる、アウトローと王道のハイブリッド漫才が特徴。KOステージでは直属の先輩・COWCOW、漫才協会からのダークホース・母心を難なく破りGF進出を決めた。ネタにおける抜群の安定感に加え、GFの戦い方を他の組に比べてよく知っているのも強みだろう。もっとも、前回はトップバッターで初戦敗退だったので割と早めに姿を消してしまったが。また、誰が相手でも意に介さない精神的な図太さも一つの武器といえる。

第1試合 展望

 かなり昔にインディーズライブで一緒になっただけ(本人談)という、接点の少ない組同士の対戦となった。生まれも拠点も芸風も異なるため単純に比較するのは難しいが、大番狂わせのハンジロウと安定感抜群の金属バットの対戦は、GFの開幕に相応しいハイレベルな戦いになること間違いなしだろう。

第2試合

3. ラフ次元(Hブロック代表、初)

奈良県出身・梅村賢太郎(左)
同・空道太郎(右)

 2006年結成、吉本興業(大阪)所属。関西勢ということもあり、全国的な知名度は恐らく一番低いだろう。実際僕もM-1ラストイヤーとなる2021年まで彼らを知らなかった。結局その年は準々決勝敗退に終わり、ラフ次元を全国ネットで見ることは叶わなかった。劇場で見ようにもハードルが高いため、THE SECONDの開催はめちゃくちゃ有難い。

 昨年度のKOステージでは、ポットBながら16→8で初代王者ギャロップに1点差まで迫る大健闘を見せた。今年は満を持してのポットA選出、そしてランジャタイとの異種格闘技戦、モンスターエンジンとの関西対決を制した。大阪の劇場で磨かれた正統派のしゃべくり漫才で、熱量とネタの緻密さのバランスが取れている印象を受けた。曲者揃いの今大会において、王道漫才でどう戦うのか楽しみである。

4. ガクテンソク(Gブロック代表、初)

兵庫県出身・よじょう(左)
同・奥田修二(右)

 2005年結成、吉本興業(東京)所属。中学からの同級生コンビで、長らく大阪で活動していたが昨春東京に進出。大阪時代から様々な賞レースで結果を残し、THE MANZAIの決勝経験もあるが、M-1には縁がなかったという印象。個人的にはラストイヤーの敗者復活戦で投票した事もあり、関西勢ながらそこそこ思い入れはある。

 ネタのスタイルは“The 関西の王道”。とにかくテンポの良い言葉と言葉の殴り合いといったところか。KOステージでは大阪の大先輩・シャンプーハット、そして昨年敗れた因縁の相手であるマシンガンズを歴代最高得点で破ってポットAの実力を見せつけた。16→8では、先攻のマシンガンズのネタすらフリにして笑いを掻っ攫うという技もやってのけるあたり、GF初進出ながら相当戦い方を解っている可能性すらある。

第2試合 展望

 こちらは先程と打って変わって、大阪の先輩後輩対決となった(ガクテンソクが1年先輩)。芸風も、微妙にスタイルは違えど両者ともクセのない王道漫才。奥田さんが記者会見で言っていたように、がっぷり四つの戦いになりそうだ。さらに昨年の優勝、準優勝者と戦った者同士という縁も。これは目が離せない。


後編へ続く

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