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経営企画の役割と存在価値


⑴ はじめに

スタートアップ公認会計士の中辻です。
この度は記事をお読み頂きましてありがとうございます。

今回、Scale Cloudの広瀬さんに『経営企画アドベントカレンダー』という企画にお声がけいただき、執筆しました。何かしらの参考になれば幸いです。

ちなみにnoteだけでなく、X(旧Twitter)でも情報発信を積極的に行っていますので、フォロー頂けますと幸いです。アカウントは👉@Naka_CPAです。

私自身、大企業、海外子会社、スタートアップでの経営企画企業を経験しており、予算編成、予実管理、M&Aなどの業務に携わりました。経営企画の業務は多岐に渡り、業務範囲が見えにくい部分や存在価値(バリューの発揮)に悩む方も多いと思います。経営企画の役割や存在価値に関して、自分自身も悩みますし、周りからそのご相談を受けることもあります。

本記事では経営企画の役割や存在価値(バリューの発揮)に関して執筆させて頂きます。

⑵ 経営企画の役割とは?

❶ 経営企画の定義・役割

経営企画の定義は、中長期的な経営戦略を立てる、経営陣の意思決定をサポートすることである。(以下参照)

CEOの意向を受けて中長期的な経営戦略を立てる、あるいは参謀としてトップの意思決定をサポートする、経営課題の解決に取り組むなど、経営企画部は経営層にとても近いポジションとして重要な役割を果たします。

https://scalecloud.jp/blog/keieikikaku/

主な役割は、中長期的な意思決定をサポートするということになるが、抽象的な定義になり、非常に分かりづらい。

また経営企画の定義は、置かれて環境や事業規模が違うので、会社によって異なるし、定義が異なると求められる役割も違ってくることになる。

❷ 経営企画の具体的な役割

経営企画の役割は会社の置かれている環境や事業規模によって異なるということはあるが、実際に経営企画が行う具体的な役割に関して深堀してみたい。

⒈ 経営企画の具体的な役割は4つ

経営企画の具体的な役割を上げると、①予算編成・予算統制②M&A③事業企画④IRの4つに分類される。なお会社の置かれている状況や会社規模により、求められる役割は異なってくることに留意が必要である。以降で、具体的に①~④の役割に関して記載したい。

経営企画の具体的な役割

⒉ それぞれの具体的な役割

① 予算編成・予算統制
予算編成は『予算の策定』であり、予算統制は『予算の管理』になる。

『予算の策定』にあたって、経営企画として各部署と連携を図りながら、予算を作成することになり、予算の取り纏めとなる。

一方、『予算の管理』は計画と実績を比較し、予実差の原因究明を行い、必要に応じてリカバリープランを策定する。予実差の原因究明およびリカバリープランの策定にあたっては、各部署と連携しながら取り纏めを行うケースが多い。

② M&A
M&Aは、文字通り『M&A戦略の策定 ➡ M&A実行 ➡ クロージング』を行うことになる。なお、会社の状況や規模によっては、経営企画ではなく、事業部に機能が委ねられていることもあるし、経営企画以外の独立した部署がM&Aの役割を専門で担うこともある。

③ 事業企画
事業企画は、新規事業の企画、事業提携など新規ビジネスの企画や業務提携をする役割となる。ただ、新規事業の企画などは既存ビジネスとのシナジーを狙うことも多いので、事業部のようにビジネスを行っていない経営企画にとっては、事業企画を担うことが難しいことが多い。

④ IR
IRは、外部のステークホルダー向けに経営状態や財務状況、業績の実績、今後の見通しなどを広報するため役割であり、場合によっては、社会貢献活動や環境活動など非財務情報を公開するケースもある。

IRは財務数値と結びつくことが多いので、予算統制・管理を担う経営企画と相性がいい。ただ会社によっては、IRの部署として独立しているケースもある。

⑶ 各役割の特徴

経営企画が担う各役割を『横軸 ➡ 経営企画内にあるケースが多いのか?、外にあるケースが多いのか?』、『縦軸 ➡ 攻めの業務なのか?、守りの業務なのか?』を置いて、以下のとおりプロットした。 

各役割の特徴

経営企画の基本業務としては、予算統制・予算編成があり、M&A、事業企画、IRに関しては場合によって経営企画の業務外として他部署にタスクを担うケースがある。

攻めの業務に近いM&Aや事業企画はビジネスと密接に結びついており、経営企画がビジネスの実務をやっていないことから、経営企画の業務外として他部署がタスクを担うケースが多いのは致し方ない。

繰り返しになるが、経営企画がどのタスクを担うかどうかは、会社規模や置かれている状況により様々である。よって、どれが正解で、全ての会社に適用できる体制は存在しないので、会社が実効性を持って経営企画業務を運営できる体制を状況に応じて構築することが望ましい。

⑷ 経営企画の存在価値

❶ 経営企画業務に携わる方の悩み

自分自身が経営企画の業務をスタートアップ、海外子会社、大企業でやっていて、経営企画の存在価値についての悩むことも多いし、実際に経営企画をされている方からもご相談を受けることが多い。

自分自身の悩みや周りからの相談を通じて感じるのが、悩みが共通していることが多いことである。悩みの大半は『事業部門から遠いので、存在価値をどうやって発揮するのか?』である。結局、経営企画としては、予算編成・予算統制の業務をやっていることが多く、実際の存在価値を出せているかどうかに疑問を持つケースが多いものと推測する。

❷ どこにフォーカスすれば、より存在価値が発揮できるのか?

予算編成・予算統制だけでも、きちんと存在価値を発揮できるものの、より存在価値を発揮しようとすれば、攻め寄りの業務に移行していく必要がある。攻め寄りの業務の特徴としては、売上や利益に貢献でき、どちらかというと営業要素が強い。

M&Aや事業企画の業務は特殊性の高いことから、純粋な経営企画を通じて蓄えることができる経験やスキルではなかなか一定レベルまでいかないことが多いので、専門的にやっている会社や部署で経験し、その後に経営企画の業務をする等でないと、なかなかバリューが発揮できるレベルにまで到達することは難しいかもしれない。

⑸ 最後に

経営企画業務は抽象度が高く、会社の状況や規模によっても定義や役割が違うことも多いです。私自身、大企業、海外子会社、スタートアップでの経営企画企業を経験している中で、経営企画の定義や存在価値の発揮の仕方について悩んできましたし、今でも悩んでいます。

悩みを聞いていると、多くの悩みが『経営企画の業務は?』、『存在価値の発揮の仕方は?』です。皆さん、同じ悩みを抱えているんだなと改めて思った次第です。

なお、今回は概念的な内容が多いですが、そういった悩みを持たれている方に少しでも参考になれば幸いです。

最後まで本noteをお読み頂きましてありがとうございました。
なお、noteだけでなく、X(旧Twitter)でも情報発信を積極的に行っていますので、フォロー頂けますと幸いです。アカウントは👉@Naka_CPAになります。

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