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ナカさんの寄席日記 やげん堀縁日講談の会 宝井琴調

講談は寄席の中に入っているのを聴くくらいで、講談メインの会に行ったことはありませんでした。講談といえば飛ぶ鳥を落とす勢いのアノ方が大人気ですが、私はどちらかといえば師匠の松鯉先生の方が好きです。一番好きな講談師は宝井琴調先生です。何故かというと落語協会に入っているから。落語初心者の頃はほぼ100%落語協会の寄席にしか行かなかったので琴調先生しか聴いたことがなかったのです。講談初体験は徂徠豆腐だったかな。あのひっ詰めヘアスタイルとか深みのある声とか渋い男のオーラが漂っていて好きです。東日本橋にある薬研堀不動院、毎月28日に行われる講談の会に行ってきました。薬研堀不動院は講談発祥の地だそうです。そんなに大きなお寺さんではなくビルの谷間にあり、自転車で行きましたが少々迷いました。

わざわざ足を運んだ理由の一つは「中村仲蔵」ネタ出しだったということ。きっと渋い琴調先生が語る仲蔵はカッコイイだろうなぁ!普段は寄席であまり中村仲蔵を聴く機会がないので、ここぞとばかりに聴きに来たわけです。会場は集会室のような部屋にコロナ対策で20席椅子が並んでいました。無料の会とあって予約制ではなく先着順です。満席になってもあと数席と列の隙間や後方扉の外にも椅子を並べ、約25名くらいのお客さんが入っていました。コロナ前は本堂でやっていたそうです。

「講釈師、冬は義士、夏はお化けで飯を食い」年末はやっぱり忠臣蔵ですよね。とはいえ最近はテレビでもやりませんが(笑)私が子供の頃は年末に長時間ドラマやってました。まあ子供だから筋なんか分からなかったけど。琴調先生いつもの寄席よりも長めのマクラ。中村吉右衛門さんにお会いした時のお話など。やっぱり落語や講談を楽しむのに多少歌舞伎の事を知っていると更に楽しめますね。あと着物の知識とか。この噺の中にも「黒羽二重の袷の裏を取った着物に茶献上の帯」という表現が出てきますが、一度でも歌舞伎や浮世絵を見たことある人ならパっと頭の中に浮かんでくるでしょう。

琴調先生は声に艶があって、息の間にも色気がある。ちょっとした仕草もそれこそ浮世絵のように形が決まっていて素敵です。いぶし銀という言葉が似合います。落語家さんとはまた違ったクールな雰囲気があります。
とある浪曲師の方が「琴調先生の声には倍音が含まれていて良い声」っておっしゃってました。なるほど~倍音が豊かだから心地よく聴こえるのか。

「中村仲蔵」と「淀五郎」のような噺はやはり芝居好きの渋い師匠や先生で聴きたい噺ですね。若い人じゃダメってわけじゃないけど・・・。
無料の講談会で一席でしたがとても良い噺が聴けて大満足でした!
会が始まる前と後に住職さんのお話があります。お不動様の縁日なので。会が終わると皆さん階段を上って本堂へ上がっていかれます。「これから何が始まるんですか?」とお聴きすると「護摩を焚くんですよ」とのこと。ちょっと気になったけど、今回は紀文堂の人形焼きを買って帰りました。

餡入りの人形焼きと豆のサヤの様な変わった形の餡なしを買いました。赤飯に入れるササゲの鞘を型どったものだそうです。また縁日に来てみようと思います。蜂蜜がたっぷり入っているのか、濃厚な味で美味しかったです。

2020.10.28
やげん堀縁日講談会
宝井琴調 中村仲蔵

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