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ナカさんの寄席日記 五代目三遊亭金馬襲名披露興行 2020年秋 鈴本演芸場昼席

演芸もだいぶ興行が増えてきました。東京かわら版(演芸情報誌)も厚みが元に戻ってきてホッとしています。
さて、9月下席より待望の「五代目三遊亭金馬襲名披露興行」が始まりました!そして今までの四代目三遊亭金馬師匠は三遊亭金翁を襲名します。ダブル襲名で御目出度い席です!前売り券を買って楽しみにしていました。

秋雨前線の影響でこの日もあいにくの雨でしたが、開場の10分程度前に鈴本演芸場に到着したらすでに長蛇の列。。。悪天候だったため油断しました。好きな席に座れないかもと心配しましたが良い場所に座れました。座席数285席を半分程度に減らして、最終的には8割くらいは埋まっていたように見えました。さすがお披露目興行ですね!ご贔屓さんの熱気が客席の前方から伝わってくるようです。ロビーにはお花もいっぱいでワクワクします。

ロビーでは金翁師匠の三番弟子、金八師匠が一生懸命グッズを販売していました。五代目金馬と金翁のサイン色紙を購入しました。口上書き付きです。その他は両師匠の手ぬぐいや金翁師匠若かりし頃のブロマイドなんかも売ってました。テレビでお笑い三人組で売れていた頃の写真です。とても男前ですね~四代目金馬師匠。お爺ちゃんになった今は丸顔で可愛いです。

高座では金翁師匠は入院中のリハビリのエピソードを漫談で。金翁師匠は1929年3月19日生まれの91歳。終戦直後に二つ目になって来年2021年には芸歴80年を迎えるそうです。(先日亡くなった内海桂子師匠は芸歴81年)
91歳でも金翁師匠、長講の落語だって難なく語られます。ただ膝が悪いので板付きで釈台を前に座られます。今回の口上も緋毛氈の上に金翁師匠は椅子に座られました。落語の声だけ聞いたら年齢わからないですね、そのくらいバリバリ現役で落語語られます。でも元気なうちに息子さんに金馬という大名跡を譲られ、親子揃って口上に並ばれたなんて、本当に立派なことだし誰にも真似できないと思います。そしてお孫さんの遊次さんはホンキートンク弾さんと漫才コンビを組んで、つい最近に落語協会の準会員になったそうですので、近い将来三世代で高座に立つ日も来ると思います。何度かご病気で倒れた金翁師匠、そのたびにリハビリをして高座に復帰してきました。死ぬまで噺家であり続けたいとの事。きっと落語の神様に見守られているんでしょうね。金翁師匠の落語には優しいお人柄が出て、心が温かくなるような落語です。チャーミングな笑顔見ると私も幸せな気持ちになります。いつまでもお元気でいて欲しいです!各寄席10日間の興行のうち、金翁師匠は2日だけ出演されます。たまにサプライズで登場されることもあるようです。

五代目金馬師匠のトリ。後ろ幕は薄茶色に大胆に一文字「五」の字が。モダンなデザインです。「五」の下に小さく「kinba」と入っています。

ネタは「柳田格之進」。風格を感じる一席でした。金時時代にはよくお酒の噺を聴いたのでちょっと意外な気もしましたが、これから五代目金馬という大きな名跡を背負っていく意気込みが表れているように感じました。名前が変わるときっと芸も深みを増して変化していくことでしょう。五代目金馬師匠のお弟子さん、三遊亭ときん師匠も3年前に真打昇進しています。ますます一門の発展を期待します!

その他の噺家さんのトピックス。さん喬師匠は新蕎麦のマクラから「そば清か?」と思いましたが「時そば」に。汁をすすって「ぶっ!」っと「渋い汁なんてあるか!」吐き出すところが絶妙で好きです。
最近は白髪染めをやめて白い着物で全身が真っ白(笑)な馬風師匠。馬風師匠だってもう80歳なのに元気だわぁ~。でも時事ネタとかよくチェックされていて頭脳冴えてますよね、素晴らしい。高座に上がって大きな体をドスンと座布団に落とし「いらっしゃい!」 口上でもスゴイ存在感でした!
権太楼師匠の「つる」。初聴きかも。軽いネタでも権太楼風味で面白かった~。ベテラン師匠が寄席でかける軽いネタ、良いですよね。小さなネタをサラっとかけてクスっと笑わせれサッと下りる。粋ですよね。大ネタにはない肩の力が抜けた楽しさがあります。そういう意味でも寄席が大好きです。
たぶん、もう一回くらいは何処かの寄席に「五代目三遊亭金馬襲名披露興行」行くと思います。元気な金翁師匠のお姿を拝見しに参ります。

2020/9/25 鈴本演芸場
一花 やかん
仙三郎社中 太神楽
金八 桃太郎
扇辰 たらちね
さん喬 時そば
 仲入り
橘之助 浮世節
正蔵 松山鏡
馬風 漫談
市馬 芋俵
アサダ二世 奇術
一之輔 悋気の独楽
仲入り
四代目三遊亭金馬改め金翁
三遊亭金時改め五代目金馬 襲名披露口上
小猫 動物物まね
権太楼 つる
金翁 リハビリの噺
正楽 紙切り
金馬 柳田格之進

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