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学校の椅子は縦割りでできていました。


学校における椅子の基準

まず、文部科学省が平成21年4月1日から施行した学校衛生基準(原文:PDF)には、このような基準が明示してあります。

学校環境衛生基準
『机面の高さは、座高/3+下腿長、いすの高さは下腿長であるものが望ましい。』(第3 学校の清潔、ネズミ、衛生害虫等及び教室等の備品の管理に係る学校環境衛生基準)

簡単に言えば、膝下の高さに椅子の高さを合わせる。座高の3分の1の高さに机の高さが来るようにするのが望ましい。ということになります。(平成28年度より定期健康診断において座高検査は必須項目ではありません。)

本来ならば前年度末に座高を測って、新年度の机いすを調整することが望ましいことになります。

学校の机と椅子はJIS規格

学校の机・椅子にはJIS規格(JIS S 1021:2011「学校用家具 -教室用机・いす」改正:平成 23.9.20)があります。

JIS規格とは?
日本工業規格。工業分野における標準化を進めるため制定する「取決め(標準規格)」のこと。(wikipediaより)
JIS S 1021:2011「学校用家具 -教室用机・いす」
【原案作成団体】
一般財団法人日本規格協会/一般社団法人日本オフィス家具協会

JIS規格による机と椅子の正しい選びかた

図の引用:第一工業株式会社 学校備品.com 「JIS規格について」より
http://www.gakkoubihin.com/support/jis/

学校用家具についてどんな人たちが審議したのか?

平成 23.9.20 改正
JIS S 1021:2011「学校用家具 -教室用机・いす」審議委員
日本工業標準調査会標準部会 消費生活技術専門委員会
(委員会長) 小川 昭二郎/お茶の水女子大学名誉教授
(委員) 會川 義寛 /お茶の水女子大学
    赤松 幹之/ 独立行政法人産業技術総合研究所
    石川 麗子/財団法人日本消費者協会
    大熊 志津江/文化学園大学
    金丸 淳子/財団法人共用品推進機構
    河内 憲治/一般財団法人日本文化用品安全試験所
    河村 拓/合同会社西友
    河村 真紀子/主婦連合会
    後藤 伸二郎/社団法人日本建材・住宅設備産業協会
    櫻橋 晴雄/社団法人日本ガス石油機器工業会
    滝田 章/社団法人消費者関連専門家会議
    中里 憲司/社団法人繊維評価技術協議会
    中野子 礼子/公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会
    中村 有作/財団法人製品安全協会
    夏目 智子/全国地域婦人団体連絡協議会
    畠山 孝/独立行政法人製品評価技術基盤機構
    久松 富雄/財団法人家電製品協会
    山口 公 樹/社団法人日本オフィス家具協会

審議委員会長は小川昭二郎氏、お茶の水女子大学名誉教授。代表的な研究は『光によりリチウムイオンを捕捉する含窒素芳香族大環状化合物の合成とその利用』。機能物質化学 / 合成化学 / 合成化学 / 家政学 が専門分野の方のようです。(その他には一般社団法人環境教育振興協会 代表理事)

≪その他の研究者の方々≫
會川義寛(お茶の水女子大学 人間文化創成科学研究科 教授/論文『足関節に対する受動的運動を利用した遠隔ニューロリハビリテーションデバイス』)

赤松幹之(独立行政法人 産業技術総合研究所 /研究分野:認知行動の解析とモデル化、行動計測技術、コンピュータ入力デバイスの人間工学的評価)

大熊志津江(文化学園大学 短期大学部 服装学科 教授/論文『洗剤中に配合した蛍光増白剤(FBA)への各種ビルダーの効果』)


学校家具と教育現場を隔てるもの

学校の椅子の規格について決める主務大臣は経済産業大臣です。学校の椅子の規格を審議する場には、カラダの専門家や、教育関係者もいませんので、学校現場と程遠い人たちで学校の机・椅子が審議されたように思えます。

おそらく安定性、強度、化学物質の使用など、事故のない椅子づくりを審議するのには申し分ないメンバーなのでしょう。けれど、子どもを育てる椅子をつくる椅子づくりに関しては、縦割りを超えて学校現場や子どもの体に詳しい人にも参加いただいて良かったと思います。

学校現場の声が上手く届く仕組みになっていれば、学校の椅子は今とは違う形になっていたかもしれません。



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