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考察 1 高円寺の駅から

坊主頭の男が見える。真っ青な空が見える。
知ってるような知らないような坊主頭の男。
名前、分かんないから適当につけよ。
君はラルフね。

この季節の快晴の空ってなんていったっけ。確か漢字2文字くらいの綺麗な言葉があったはず。忘れちゃったから、それにも名前をつけるよ。空の名前はストゥーデントね。素敵。

私の名前はエース。少女Aのエース。別になんでもいいんだけど。適当に今、考えただけで。名前なんて変わるかもしれないし、知らない。

坊主頭と言えばあいつだ。昨日の夜のあいつ。何て言ったっけな。名前。聞いたはずなんだけど。坊主頭だった事しか覚えてない。さっき見えたはずの男とは違う人だと思う。一緒かもしれないけど、別にいいや。坊主頭の男はみんなラルフね。イエスオフコース。

多分だけど。私はだらしない。それに適当だ。意味は一緒かもしれないけど、少し違う。人からそう言われる。だらしないし。適当。でも、本当は自分では、そうは思っていない。適当かもしれないし、だらしないかもしれないけど。別に対した事じゃないじゃない。あ、認めてるのかな。わかんないや。

昨日の夜から今まで寝てない。今は。何時かな。わかんない。あ、わかんないが口癖になってる。実際には口に出さない。頭の中で思うだけ。だから口癖じゃないよ。

太陽が昇っている。なので夜ではない。でも朝でもないと思う。多分、今朝5時頃に私は高円寺の駅にいた。浴衣を着ていたはず。でも、今は着てない。

どうして。

違う。正確には少し寝た。駅前、噴水のある公園のベンチで少し寝た。ちょっと恥ずかしかったけど、別にもういいか。って思って。それは疲れてたから仕方ないけど、それから何があったっけ。分からないよ。別に酔っ払ってたわけでもないんだけど。

確かに昨夜は大分飲んだ。朝方少し間違いを犯そうともした。でも、基本的に身持ちが固い私は酒には流されたない。もう後悔はしたくはない。だから大丈夫だった。何が大丈夫なのか分からないけど、とにかく大丈夫だった。駅まで歩いて。疲れて寝て。どうしたっけ。

適当に寝ただけだから、やっぱりまだ眠たいし。家に帰りたい。でも、私の浴衣。どこにあるの。空の彼方に吸い込まれていったのかな。妖精が持って行った?知らん。分からん。じゃあ、今、着ているこの服は何?

ブルーのワンピースと綺麗な色のカーディガン。
靴はない。あ、靴ないじゃん。履いてないじゃん。私の靴!私の靴、どこ?というか、この服は何?買った覚えないし。誰かが寝ている私の浴衣を脱がせて持って行って、この服を着せたって事?そんな訳ないよね。人目もあるし。なんで?考えても分からないか。別にいいか。

この服素敵だし。
夏だし。このまま寝ないで海でも行こうかな。
お金ないけど。

空が綺麗だと気持ちが上がる。なんだかいい事ありそう!って思う。あれ?これって誰の言葉だっけ。ああ。耳をすませばの主人公の台詞だ。あの子もショートカットだった。かわいい子だったな。あんな恋したかったな。中学生には戻れないし。私は坊主頭だし。

もういいや。行こっと。

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