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やり切れないわ…

NHKオンデマンドで「事件の涙 Human Crossroads『未来を見せたかった~児童養護施設長 殺害事件~』」を観た。2019年に児童養護施設の施設長大森さんが施設出身者(22)に刺殺された痛ましい事件のドキュメンタリーだ。

社会構造や制度設計とかの問題は傍に置くとして、僕がいちばんに感じたのは「世の中はなんて残酷で、やり切れない場所なんだろう」ってことだ。犯人に対する怒りとかではなく、大森さんの生き方の帰結がこんな理不尽な最期だということに無念さとやるせなさを覚えるのだ。

大森さんは、運悪く恵まれない境遇にある児童のためだけを考え、公私の境を超え、一人ひとりの児童に真剣に向き合ってきた方だ。何の見返りも期待していなかっただろう。

その相手に面と向かって刺し殺されるなんて…例えるなら、愛情を注いで育てた我が子に、信じて疑わない我が子に、面と向かっていきなり刺されるようなものではないか。その瞬間にどんな思いが頭をよぎったのだろう。考えるだけで胸が苦しくなる。

僕は欲深く利己的な人間だから、とても大森さんのようにはなれない。でも、大森さんのように誰かのために私心なく働ける稀有な人ほど報われてほしい、いや報われるべきだと心から思う。それが報われないどころか、こんな悲しい最期を迎えないといけないなんて。

罪のない子どもが被害者になることもある。正直者が馬鹿を見ることなんて掃いて捨てるほどある。そんな理不尽な世の中だってことくらい頭ではわかっている。でも容赦ない現実を突きつけられるたびに、僕は「神も仏もいないのか」と思ってしまう。

真面目に、一生懸命に生きてる人たちは、どうやって自分の信念や信仰を保っていけばいいのだろう。