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失敗の本質 序章6沖縄戦

・ 自分にとって重要と思ったポイント

・ 読む前と後で、考えが変わったこと


第6章では沖縄戦での日本軍の軍事行動の遂行の障害となった要因について分析されている。1つは大本営と現地軍の戦略思想のズレ。2つ目は、大本営の現地軍の実情把握の不足。3つ目は現地軍と大本営の信頼関係の悪化である。

沖縄戦では大本営と現地軍との間で戦略思想の共有ができていなかった。大本営は、アメリカ軍が上陸する前のタイミングで決戦を仕掛ける戦略を描いていたが、現地軍は現地での持久戦を想定していた。そのため、相互の連携に大きな支障をきたした。

大本営は空軍による敵の撃破を目論んでいた。そのためには、主要飛行場の保持が最重要事項であった。そのため、大本営は第32軍に対して飛行場の守備を命じていた。しかし、32軍には主要飛行場を十分に防衛する戦力はなく、実際は実現不可能であった。

沖縄戦開始前に、大本営により32軍の兵団に対して非合理な配置転換が行われていた。その一例は、台湾への主力兵団の転換である。現実的に沖縄の防衛が最重要事項であったにもかかわらず、台湾軍は台湾の防衛の重要性を感情的に唱えまた、第32軍は台湾軍指揮下にあったため、主力兵団の配置転換という結果になった。

大本営と現地軍の戦略思想の相違と大本営の現地軍の状況確認の不足は、原因となる要因は日本人間で共通認識を取る難しさにあると考える。まず、私たちの習性として、個人間での差異を避ける事がある。そのため、互いの認識がずれている状態であっても、そのズレがあることを認める事が苦手である。また、ズレがあったと認識が取れたとしても日本語の語彙の定義の曖昧さまた、ズレを認めることに対しする消極性から共通認識を取ることが難しい。

また、大局的な視座ではなく部分的視座で物事を見る傾向があるので、全体最適ではなく部分際的に走りやすい。日本全土の防衛という大局的視座で見れば明らかに優先度が高いの台湾よりも沖縄である。しかし、部分最適の観点からでは、台湾への32軍の配置転換は正当化される。しかし、それで戦争に勝てるかというと甚だ疑問である。この、部分最適に走りがちな我々の修正はどのように形成されるのかは疑問である。また、保守的な思考形態が組織全体ではなく、組織の部分に向かうのも疑問である。となれば、日本語を母語とする集団が階層構造を持つ組織を形成してしまうとかなり非合理な組織が出来上がってしまうのではないだろうか。

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