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株主総会資料の電子提供制度にWebサイトはどのように対応すべきなのか

Webディレクターをしているnaiokと申します。

今回はWebの更新とは趣が異なりますが、2022年から施行された「株主総会資料の電子提供制度」について書いていきます。

「株主総会資料の電子提供制度の創設」に関する会社法改正


2019年12月4日に「会社法の一部を改正する法律」(令和元年法律第70号。以下「改正法」といいます)が成立しました。

2021年3月1日に改正内容の大部分は施行されましたが、「株主総会資料の電子提供制度の創設」に関する部分については、制度導入にあたって株式会社証券保管振替機構におけるシステム改修が必要であることなどから、2022年9月1日に施行されました。

株主総会資料の電子提供制度とは


個別の株主の承諾がなくても、Webサイトに株主総会参考書類、議決権行使書面、事業報告書および計算書類を掲載することで、株主に提供したものとする制度です。

電子提供制度によるメリット


この制度を導入することで、株主、企業ともに下記のメリットが発生します。
・株主(とくに多くの銘柄に投資している機関投資家)
インターネット経由で早期に株主総会資料を取得できるため、議案を検討する時間を確保できる
・企業
印刷・封入・郵送コストが削減
ページ数や構成、予算等の制約が減ることで、より充実した内容の株主総会参考書類等の作成が容易になる

つまり、株主、企業ともに両方にメリットがありWin-Winな法改正になります。

電子提供制度について知っておくべき主なポイント

電子提供制度について知っておきたいポイントは、下記の5点になります。

①上場会社(振替株式の発行会社)においては、電子提供制度の利用が強制


電子提供制度は、原則的に株式会社であれば自由に採否を決めることができます。非公開会社であっても、取締役会を設置していない会社であっても、採用することは可能です。

電子提供制度を採用する会社は、「定款変更の手続き」と「登記手続き」の対応が必要になります。上場している会社は電子提供制度の利用が強制されますのでご注意ください。

②電子提供措置(ウェブサイトへの掲載)は、原則として株主総会の日の3週間前までに行う


会社がインターネット上のウェブサイトに株主総会参考書類等の内容を株主が閲覧することができる状態にしなければなりません。株主総会の3週間前、または招集通知発送日のいずれかの早い日から、株主総会後3か月掲載が必要です。

③アクセス通知(狭義の招集通知)の発出は、株主総会の日の2週間前までに行う


電子提供制度を採用する会社は、電子提供措置を取ったうえで、アクセス通知と呼ばれる最低限の事項(株主総会の日時・場所・議題、電子提供措置をとっている旨、ウェブサイトのアドレス等)が記載された書面(狭義の招集通知に相当する書面)を作成し、株主総会の日の2週間前までに発出する必要があります。

④株主は、基準日までに書面交付請求をすることで、書面の交付を受けることも可能


インターネットを利用することができない株主への配慮として、株主は証券会社などを経由して会社に対して、議決権行使基準日までに請求すると、電子提供措置事項を記載した書面の交付を受けることができます。

会社は、当該請求をした株主に対し、招集通知とセットで(=株主総会の日の2週間前までに)、電子提供措置事項を記載した書面を交付する必要があります。

⑤イレギュラーな事態が生じた場合の対応


掲載した内容に修正が発生した場合、または、アクセスできなくなり閲覧することができなくなった場合についてはこちらの対応となります。

1.電子提供措置事項の修正(ウェブ修正方法)
修正が発生した場合は、その旨および修正「前」の事項について電子提供措置をとることとされていますので、正誤表をつけることが望ましいと考えられます。

2.電子提供措置の中断
※サーバダウンやハッキング等により、株主が電子提供措置事項にアクセスできなくなったり、正確な情報を閲覧等することができなくなった場合

閲覧状態が中断した場合、会社側に重大な過失がなく正当な事由がある、または、中断が生じた時間が電子提供措置期間の10分の1以下であることなどの要件満たす場合は、電子提供措置が有効として扱うという救済措置が法定されています。

上場会社への電子提供制度の強制適用にあたっての経過措置


2022年9月から施行されているため、6月総会の上場企業は2023年2月末までに登記手続きが必要となり、次回の株主総会から電子提供措置を取る必要が発生します。

最後に・・・


ここまで読んでいただいてありがとうございます。

企業のコーポレートサイトの更新に携わらない場合はあまりピンとこないかもしれませんが、会社法で制定されている内容になりますので、抑えておいたほうが良いかと考えます。

このnoteではWeb界隈に関することを取り上げていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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