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母は元気です。

おはようございます。
昨日、母の施設の方から連絡がありました。

コロナは今のところ発症していないとのこと。熱もないし、食欲もあるし、元気に歩いているとのことでひと安心です。

先日、タレントのYOUさんが
《幸せなまま放っておけるのならいいけど、なかなかそうはいかない。「私は見られないから、どこか施設に入ってもらうよ」とは、もう話してるんです》と発言されたことが、ネットニュースに出ていました。

この発言には賛否両論あるようですが、私は賛成派です。

そして、これから書くこともあくまでも私の意見です。
批判を受けることも、覚悟の上で書きます。

介護をされる人に対して、たくさんの人が関われる状況や関わる気持ちが確保できる場合は、在宅介護も可能だと思います。

実際、義父母の場合は私たち夫婦も、義理弟家族も歩いていける距離に住んでいて、今もみんなが何かと義父母宅に集まったり、一緒に旅行に行ったり仲がいいのです。

なので、助け合って介護できる姿が想像できます。
逆に、助け合いが期待できないのなら、在宅介護はあきらめるべきと強く思います。

私の両親は母が先にアルツハイマー型認知症になりました。
父はその時87歳でした。
老々介護の実家を抱えて、私自身もずっと不安な気持ちを抱えたまま暮らしていました。

私は何度も父に、母の施設への入所を勧めましたが「そんなかわいそうなことはできない」と断固拒否されました。
「その話をするなら、二度と連絡してくるな」とまで言われました。

このセリフから、父が愛情深い優しい夫だと思われますか?
実際は、いろんな事ができなくなっていく母を毎日罵倒し、イライラを募らせて、孫の手で物や壁を叩きつけて家中にたくさん穴をあけていたのです。
(ちなみに、団地は建て替えが決まっていたので、壊したい放題!)
その対象が、いつしか母に向いてしまったらと思うと恐怖でした。
わざと殴るということはさすがに考えませんが、手が滑って母にあたるということは十分に考えられましたから。

「お母さんは病気なのだから、一緒にいたいなら怒らないであげて」とお願いすると、介護生活のつらさをとうとうと語る。
「優しくできないならお母さんを施設にお願いしよう」と言うと、私をひどい娘だと怒鳴りつける。
父が倒れるまで、この繰り返しでした。

もともとは私のことを溺愛している、私にはやさしい父だったのです。
そんな人でも、こうなります。
私としては、認知症になってしまった母よりも、今元気な父が倒れないようにと考えていました。
結局父は、母がかわいそうだと言いながら、自分がひとりになるのがさみしかったのだと思います。

「母には近所の施設に入所してもらって、毎日会いに行ってあげればいい」という提案もしましたが、聞き入れられず。
「私の近所に引っ越してこない?」という提案にも、住み慣れた土地を離れたくない、お前にこれ以上迷惑をかけたくないと言って断り続けられました。
結論が出せず時間ばっかりがたって、とうとう「父が倒れた日」がやってきました。

その後、私は母の施設が見つかるまで実家でひとり、仕事を休んで母を2週間介護しました。

朝からずっと同じ質問の繰り返し、
勝手に家を出て行かないか、常に気をはってないといけない、
夜も数時間毎に起きて家をうろうろするので、こちらも眠れない。
外出したら、目を離したすきにいなくなって探し回る。

父もひとりで、これをしてくれていたのだな。
イライラする気持ちもわかるな。
とは、思いました。
が、しゃあないとは全く思いません。

優しくできないなら、手を離すべきです。
介護される方の身の安全を第一に確保すべきです。
父は暴力は奮っていないと思っているでしょうが、認知症の人に「なんでできない」と怒鳴るのは、れっきとした言葉の暴力です。

1人で介護を2週間だけですが経験した時に、お母さんがもう嫌だと思ったのではなく、誰かに助けて欲しいと思いました。
でも、夫に来て欲しいとは言えませんでした。
夫はいつも介護に協力的で、私が助けてと言えば実家に一緒に住んでくれたかも知れません。
でも、遠慮しました。
仕事もあるし、私の親のことで迷惑かけたくないと思ってしまいました。

身内に助けて、っていうのは難しい。

でも、助けてって言わないとだめです。
介護する側の人の安全も、大事です。
どちらかということ、こっちの方が大事かも。
身内に助けてって言えない人は、施設に助けてって言って欲しいです。

母は父と暮らしているときは、毎日のように「お父さんに怒られる」と電話してきました。
施設に入ってからは、毎日のように「早く帰りたい」と電話してきました。
今は自分で電話することができなくなりました。

母がどちらにいても幸せを感じていないことは、事実です。
でも、父が倒れる前に施設に入所していたら、父は半身麻痺にならなかったかも、と考えてしまいます。
私がもっと行動していれば、と今でも悔やまれます。

じゃあ、お母さんかわいそうだし、あなたが引き取って同居したければいいやん、と思いましたか?

母にとって、この家はもちろん住み慣れた母の家ではないし、私の顔をみても娘だと認識できません。
結局、母にとっては他人2人と暮らすことになります。
なので、家に帰ったという感覚は持てないと思います。
その上、私たちは必ず穏やかな生活を失います。
仕事も今のようにすることは難しい。
収入も減ります。
それをすべて受け入れて、それでも親を選べるかどうか。

母がかわいそうという感情だけで、在宅介護を決められません。
冷たい娘と言われても、私は自分の人生を選びます。
施設に入所してもらって、できる限りのサポートをする。
それが、私の決めた介護プランです。

まぁ、私もYOUさんも自分の親のことだから言えるのであって、嫁という立場の人が、言えるかどうかと考えると・・・。

うーん。
難しいですよね。

でも、元気なうちに、介護状態になったらどうして欲しいのか、お金はどれくらいあるのか、生命保険はどうなっているのかなどを確認しておかれることを強くおすすめします。
我が家のように両親ともに一度に介護状態になることは、まれなケースとは思いますが、ないとは言えません。
もちろん嫁は聞けませんから、それぞれが自分の両親に確認するということで。

これを知っておかないと、本当に困ったことがたくさん発生します。
ぜひ、親御さんには嫌がられるかも知れませんが、ぜひチャレンジしてみてください。

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