中久保菜穂(サステナビリティとAI専門家)

Cierpa & Company CEIO (ESG責任者)。企業のサステナビ…

中久保菜穂(サステナビリティとAI専門家)

Cierpa & Company CEIO (ESG責任者)。企業のサステナビリティ、ESG投資、AIとESGなど専門。https://twitter.com/Naho_ESG

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    日経COMEMOは、様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたちが、社会に思うこと、専門領域の知見などを投稿するサービスです。 【noteで投稿されている方へ】 #COMEMOがついた投稿を日々COMEMOスタッフが巡回し、COMEMOマガジンや日経電子版でご紹介させていただきます。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 https://bit.ly/2EbuxaF

最近の記事

ESG情報の保証義務化とAIの活用

ESG情報の保証とはESG情報の保証とは、ESG情報の審査を指し、「ESG情報について、それらに対する主要なステークホルダーの信頼の程度を高めるため、審査機関が自ら収集した証拠に基づき基準に照らして判断した結果を結論として報告すること」と説明されています(※1)。このプロセスは「第三者保証」や「第三者検証」とも呼ばれます。筆者が初めてこの概念を説明する際には「財務監査のESG版」と説明することが多いです。 財務情報と同様、ESG情報も近年、投資判断において重要視されるように

    • サステナビリティ人材に求められる10の要素

      みなさんこんにちは。シェルパ・アンド・カンパニーの中久保です。様々な業界でサステナビリティ人材が不足する中、弊社においても、サステナビリティに関わる人材の採用や育成を進める中で、改めて「サステナビリティ人材とは何か」という問いについて考える機会が増えています。 本記事では事業会社や金融機関などで、企業のサステナビリティを向上させる「サステナビリティ人材」に共通して求められる主な要素を10種類挙げてみたいと思います。これらの要素を洗い出すに当たっては、私自身の評価機関やコンサ

      • TCFD、TNFDにつづくTISFDがもたらす変革 ー “ESGの最大の失敗はEのみを重視してきたこと“が示唆する問題とは

        2023年3月期から、有価証券報告書においてサステナビリティ情報の開示が義務付けられました。このタイミングに合わせて、人的資本や多様性に関する開示も求められるようになり、日本でも社会面の情報開示が注目されるようになったことは、まだ皆さまの記憶に新しいかと思います。 その後、今後の有価証券報告書における開示内容のベースとなるサステナビリティ基準委員会(SSBJ)基準の草案が発表されましたが、社会面に関する具体的な基準はまだ提示されておらず、多くの日本企業が社会面の情報開示に対

        • AIによるバイアスとビジネスへの影響

          AI技術の進化に伴い、その利便性とともに新たな問題も浮上しています。今回はAIとESG評価の記事においても少しご紹介したAIによって生じるバイアスについて取り上げてみたいと思います。AIバイアスの具体例とその原因、そしてビジネスにおけるリスクについて探ります。 AIのバイアス事例人間がバイアスを持ち、それによって差別的な取り扱いが生じることは多くの方が想像できるでしょう。しかし、AIにおけるバイアスはどのようなものなのでしょうか。本記事では、AIによるバイアスが引き起こした

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          AIとESG評価のこれから(後編:AIによる企業評価への対策)

          ESG(環境・社会・ガバナンス)およびサステナビリティに関する情報開示は、すでに多くの企業にとって部分的であれ義務化されており、今後さらにルールが整備され、情報開示の質と量の充実が求められることは間違いありません。 従来こうしたESG開示情報に基づき、アナリストがESG評価(ESG格付)を行なってきましたが、最近ではAIもこれらの評価の一端を担うようになっています。 前回の記事では、AIによるESG評価の特徴について詳しくお伝えしました。今回は後編として、企業がAIによるE

          AIとESG評価のこれから(後編:AIによる企業評価への対策)

          AIとESG評価のこれから(前編:評価機関によるAI活用の実態と人間による評価との違い)

          みなさんこんにちは、シェルパの中久保です。本日は投資家・企業の双方から関心を集めている「AIを活用したESG評価」についてご紹介します。 ChatGPTを火付け役とする生成AIブームが発生した2022年11月以降、投資家の方々と対話する中で、「AIを使って企業のESG評価をしている、あるいはそれに向けて取り組んでいる」という回答が多くなったと実感しています。もちろん投資家といってもその属性は様々で、投資手法も多岐にわたります。したがって、分類モデルを作るのか、大規模言語モデ

          AIとESG評価のこれから(前編:評価機関によるAI活用の実態と人間による評価との違い)

          義務化が迫るサステナビリティ情報開示:SSBJ基準で変わる企業経営

          サステナビリティ基準委員会(SSBJ)は2024年3月29日、日本企業が将来的に開示を義務付けられるサステナビリティ情報開示について、公開草案を発表しました。このSSBJは、国際的なサステナビリティ開示基準を開発するIFRS財団、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の基準に対応し、日本版のサステナビリティ基準を開発することを目的としています(ISSBは2023年6月にIFRS S1「全般要求事項」とS2「気候関連開示」という基準を発表しています)。 本記事では、このS

          義務化が迫るサステナビリティ情報開示:SSBJ基準で変わる企業経営

          今さら聞けない?ESG格付けの基礎と最新トレンド(前編)

          みなさんこんにちは、シェルパの中久保です。この春からESG格付けに対応することになった、というサステナビリティ担当者の方もいらっしゃると思います。そこで今回から2回に渡って「ESG格付け」について紹介したいと思います。既にESG格付けに詳しい方も、後半に最新のトレンドを記載しましたのでお読み頂ければ嬉しいです。 ESG格付けとはESG格付けはESG評価とも呼ばれますが、簡単に言えばESGに関するリスクや管理能力などの観点から企業を格付けするものです。点数やランキングになって

          今さら聞けない?ESG格付けの基礎と最新トレンド(前編)

          グリーンウォッシュをどう防ぐか(後編)

          みなさんこんにちは、シェルパの中久保です。前回グリーンウォッシュをどう防ぐか(前編)においては、グリーンウォッシュとは何かや、関連する規制をご紹介させて頂きましたので、まだ読まれていない方は是非ご覧いただければ幸いです!下記の記事もグリーンウォッシュを考える上で良い出発点になると思います。 今回後編においては、グリーンウォッシュをどう防ぐか、テクノロジーの活用も踏まえて考察してみたいと思います。 グリーンウォッシュを判断するために必要な要素とは当たり前のことですが、グリー

          グリーンウォッシュをどう防ぐか(後編)

          グリーンウォッシュをどう防ぐか(前編)

          みなさんこんにちは、シェルパ・アンド・カンパニーの中久保です。今回から2回にわたって、今話題の「グリーンウォッシュ」とは何か、どのように防ぐことができるのかについて考えていきたいと思います。 グリーンウォッシュとは何か みなさんはグリーンウォッシュという言葉をご存知でしょうか。ESG・サステナビリティの業務に関わる皆さんであれば、今年は特に意識されている言葉かと思います(ESGトレンド予測2024にも執筆させて頂きましたが、私も今年の一大テーマであると認識しております)。

          グリーンウォッシュをどう防ぐか(前編)

          持続可能な経営とAI:ビジネスリーダーのための戦略

          今月から日経COMEMOのキーオピニオンリーダーとして執筆させていただくことになりました、シェルパ・アンド・カンパニーの中久保菜穂です。AIをはじめとしたテクノロジーを使って、企業の持続可能性(サステナビリティ)に関する課題解決に挑戦しています。 これからテクノロジーとサステナビリティの関わりを中心に広く、環境・人権・ガバナンスの領域について執筆して参りますので、ぜひフォローをよろしくお願いします。 世界のリーダー達が注目するAIとサステナビリティ毎年、スイス東部のダボスで

          持続可能な経営とAI:ビジネスリーダーのための戦略

          ESGトレンド予測2024

          みなさんこんにちは、シェルパCEIOの中久保です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。2024年は年頭より能登半島地震をはじめ、心苦しい事故が度重なりました。犠牲となられた方々の御冥福をお祈りするとともに、困難な状況に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。 さて、昨年の年初にESGトレンド予測2023を書いてみましたが、今年も絞りきれないほどの重要トピックの中から厳選した5つの注目トレンドをお届けしたいと思います。お茶タイムなどにお気軽にお読み頂けると嬉しいです

          ESGトレンド予測2023

          2023年、注目すべきESGテーマとは? みなさまあけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。  2023年に重要度が高まるESGテーマを列挙しようとすると、数えきれないほど多くのものが候補に挙がりますが、本記事では個人的に着目している5つのテーマを俯瞰してみたいと思います。 その1- サプライチェーン評価 SDGsパートナーズ田瀬さんも言及されている通り、サプライチェーン評価は気候変動や人権、自然資本など多分野において求められている評価です(「SDG