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“生産者の価値を高めたい” “食で三原の人を健やかに” -体験型八百屋COCOLA3 オーナー/やさいバス広島 営業企画 森塚佳世子さん

やさいバス 駅ナカ八百屋って?

広島県三原市。多島美・瀬戸内海にも面した、人口およそ9万人のまち。三原駅に到着して「わ、いいなぁ」と思った光景がありました。

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    三原駅構内にある「駅ナカ八百屋」の光景です。

 これは、障害のある人たちの就労支援や居場所提供などの活動をしているNPO法人“ちゃんくす”の代表で作業療法士・西上忠臣さんにお会いした後に、お話を聞くことになっていた、森塚佳世子さんの活動のひとつ。

 西上さんの活動周辺について調べていたときにふと検索画面に挙がってきたのが「やさいバス」「駅ナカ八百屋」でした。

 “やさいバス”というものに乗って、野菜が並んでいる?!
 “やさいバス”なんていう響きもなんだかいいな。

 これはぜひお話を伺いたいと、取材3日前に急遽連絡を取ったところ、「いいですよ~」と承諾を頂き、やさいバス広島・企画営業の森塚さんにお会いできることになったのでした。

 やさいバス株式会社は静岡県牧之原市にあり、やさいバスとは『地域の生産者と購買者をつなぐ共同配送システムです。地域を巡回するトラックによって、地域の生産者が出荷した農産物等をレストランや一般家庭などの地域の購買者に、その日のうちに届ける仕組みを構築し、生産者と購買者双方にメリットのある新しい流通システムを各地で展開しています』(プレスリリース)というもの。
 駅ナカ八百屋は、JR西日本広島支社地域共生室とやさいバスとの連携事業で期間限定でオープンしました。当初、2021年9月21日から10月末までだったものの、好評につき延長が決定しています。

 事前に調べたところ、どうやら森塚さん、体験型八百屋COCOLA3のオーナーであり、野菜ソムリエプロ、調味料マイスター、アスリートフードマイスターなど、いくつもの肩書もお持ちのよう…。

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(広島空港に隣接・八天堂ビレッジ 空の駅オーチャード内にあるCOCOLA3)

 ―こんにちはー!はじめまして。

(森塚さん)今日、近くの小学校で授業をしてきたんです。非常勤の教員をしていて。ざわわプロジェクトというのがあり、佐木島にサトウキビをたくさん植えているんですけど、収穫したキビの蜜を集めて、三原市が取り組んでいる“みはらプリン”(※)のレシピに子どもたちが応募するんです。レシピを作るって、子どもたちの想像力をものすごい掻き立てますね。2時間の授業では時間が足りませんもの。

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※広島みはらプリン…三原には、タコをはじめとする海鮮、かんきつ類など特産物は多いものの、その魅力がうまく全国に伝わっていません。プリンはそもそも蒸し料理の総称。デザートとしてのプリンだけでなく、総菜プリンなど、幅広い「プリン」のレシピを公募し、三原の魅力を発信しようというプロジェクトだそう。(公式サイト参照)

 駅ナカ八百屋は “広島サンドボックス”のひとつでもあるんです。広島県外の企業に、広島を盛り上げるために何かやりませんか?と、県が募集をかけたもの。公募の中から30社選ばれ「やさいバス」も採択されました。私は三原出身なので影武者で動いているんです。

―なるほど。それで名刺に「やさいバス広島 営業企画」と書かれているんですね。

本末転倒を変える

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 2017年に「やさいバス」は設立されています。東大農学部出身出身の加藤百合子さんが代表。すっごい気さくで、ほんとに素敵な方なんですよ。だからこそ各地でいろんなことが起きているのかなと思いますね。NASAでも仕事をされていたんです。お子さんが生まれて食に関心をもって、自分のすべきことは何かと考えたときに農業の物流に関する課題をどうにかしたい、と。例えば、隣にある野菜がなぜか三原だったら大阪市場に運ばれて、戻ってきたら(収穫して)日にちが経過したものが、値段も上がって販売されている。当然鮮度も落ちていますよね。おかしなことが起きている。やさいバスは、そうではなくて、地方で共同配送しながら農家さんの収入も上がるようにと始まった取り組みなんです。

―はい。

 私は三原市の市民共同委員でもあるのですが、新規事業をされる方がより良い事業ができるようアドバイスする活動もしています。色んな人と関わっているので「ここはもっとこうしたら?」とか「ここをつないでほしい」などと要望があったら応じられるように。どうしても市役所は縦割り。私は横につないでいく役割ですね。
 三原の人口は9万人ほど。小さいまちなのでつなぎやすさもあります。それぞれの関係性を確認しながら活動しているんです。

―四国(香川県)に住んでいる私も、なぜ徳島の鳴門のわかめが県外で売られているんだろうって思っていました。地元のスーパーでは、北陸産のわかめが圧倒的に販売されていて。なぜ遠くのものが?鳴門産はないの?と。「やさいバス」の仕組み、とてもいいなと感じます。

 今、本末転倒なんですよね。どうして近くで採れたものを遠くに輸出しないといけなくなったかというと、十分な収入が得られないからです。地元で価値が感じられず安くたたかれ、それだと生産者さんは生活していけないから遠くへ行く。誰に責任が?ではなく、みんなに責任がある。買う側にも責任があります。SDGsにも「買う責任」というのがありますけど。安いものを求めるとそういうことが起きてしまう。
 いま「価値の時代」と言われますけど、コロナの影響もあるんでしょうけど、価値の見直しが起きていますよね。これをきっかけに私たちは変わっていく必要があります。食べ物も、日本は添加物が世界一ですから。食は体をつくるもの。それを良くしないと。ただ、安さを追求すると、企業はそれをちゃんとお金にしないといけないがために、長持ちするよう添加物や保存料を入れてしまう。だから誰が悪いという問題ではないんです。

―たしかに…。

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 この「駅ナカ八百屋」の規模だと、統計的には日商15,000円くらい。構内の隣のコンビニにフルーツや野菜を売っていた時があったんですね。今はコンビニ内での販売はしていないですけど、売上げ自体はあまり変わっていません。多い時は4万円という日もありましたから、それだけニーズがあるということ。お客様から「いつまでここはやっているんですか?」って何回か聞かれたことがありました。「いつまでもあるように頑張っているので、応援お願いします」「ぜひお願いします!これが出来て体調がいいんです」というやり取りもあったんですよ。

―そんな人もおられたんですね!!

 そうなんです。あと、ご年配の方から「花、置いて」と言われます。道の駅にも無人八百屋を開店させようと動いているんですけど、そこでお花を、と思っているんです。圧倒的に売れ筋にある大事なものって実はお花。三原はお寺が尾道市より多いんですよ。高齢化になると夫婦のどちらかが先に亡くなりますよね。そうなると、仏壇に手を合わせるのがルーティンワークに。仏壇に手を合わせて会話するのが日常になるんです。それは大事なことですから、お花も流通できるように準備を進めています。
 「卵とお花がどうしてないん?」とも言われました。卵は完全栄養食。高齢になると食が細くなりますね。でも、健康寿命が大事ですから。うちの母も87歳ですけど「今日はまだ卵食べてないけん、晩に食べる」って(笑)。
ところで向田さん、Kさんとつながりがありましたね。

―はい。当時、介護食に関する活動をされていて、尾道で取材させて頂いたことがあります。

市民運営型をめざしたい

 私もKさんにお会いしたことがあるんですけど、駅のそばに空きスペースがあって、そこでマルシェをしていた時期があるんです。そこでKさんと知り合いました。マルシェは週一の頻度でしたが、人とのつながりがたくさんできて。今、構想をもっているのが、市民運営型の八百屋。イギリスのロンドンにピープルズマーケットというのがあるんです。年間25ポンド支払ったら、2割引きで野菜が買えるというもの。ただ、それには月に4時間お手伝いをすることが条件なんです。駅ナカ八百屋は、今は無人ですけど、有人に。25ポンドというと日本円にしてだいたい3800円。年間3800円で会員になって、月に4時間働けば、野菜を2割引きで買えるという仕組みを考えているんです。

―なるほど。

 ピープルズマーケットは仕入れるものを会員同士で話をして運営します。駅ナカ八百屋は、やさいバスとJR西日本とで運営されていますけど、やがて民間運営する時に、そういう形が取れたらいいなぁと。
 やさいバスが仕入れ部分の資金は負担をしてくれていますけど、どうしてもロスが出てしまう。無人販売ですから仕方ないですけど、有人にしたらもっと売れると思うんです。月に4時間手伝うというのは、単なる労働ではありません。というのも、マルシェをしていたときに店番をしていて、どうしてもトイレに行きたくなる。「ごめん、ちょっと見ておいて」と言うと、勝手に手伝ってくれて、勝手にお客さんとしゃべっている。そういうコミュニティが出来ることが大切だなって。あと、駅構内は治安がいい。ひとが集まれば人の目があるので安全です。

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 ちなみに(野菜販売の真裏に設置されている)掲示板は、JR西日本の地域共生室の女性が24歳なんですけどZ世代の彼女によるもの。昔、掲示板がありましたよね。「待ち合わせは何時 〇〇」って。そうやってつながりを作って。    

―素敵ですよね。この掲示板。いいなと思うコメントも書かれています。

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 はい。当初の開設予定期間も延長になって、運営は好調です。小さいながらも成功事例を次は海にもっていこうとしているんです。無人八百屋2号店を近々オープンさせます。「やってみたい」と言う人が他にもいるんです。あと、島のものを。いずれは三原港ときちんと回路を結びたいと思います。

―港に着いた野菜をちゃんくすの利用者さんが運搬するという話ですよね。

 船便での野菜仕入れがあるときは、私の手が空いていれば運んでいるんですけど、船が港に着いたら、すぐにまた出航してしまいます。船が到着したときにパッと野菜をキャッチして、三原港バス停に置くというシステムを、どう築いていくかという話し合いを進めているんです。
それをここだけでなく(近隣の)竹原港とか、いろんな港で出来たなら、瀬戸内の島々のものがここに合流して、流れてくる。

―(房子さん) いいなぁ。広島の人は喜びますね。市内の人は新鮮なものが手に入らないって言っていますから。


※房子さん…この日、私設図書館「さんさん舎」主宰(尾道市)の瀬戸房子さんが取材に同行されました。


 そうなんですよね。広島では九州産のものが流通しているんですよね。地元の物がどうなっているかというと、地元だけで消費されています。

―島だったら島だけとか?

 そうです。あと破棄のこと。分葱の廃棄問題は三原に戻ってきてから知りました。販売できない規格外の大きな分葱って、すき焼きにしたらすごく美味しいんですよ。

複雑な問題が絡む

―へぇ!!

 それを生産者さんから聞いて。「“すき焼き分葱”で販売していきましょうよー!」って言ったら、農協さんにすごく遠慮しているんです。“美~なす”っていう三原のブランドナスが30年前からあるんですけど、農協さんを通さないと売れないんですよ。駅ナカ八百屋は無人販売であっても、万引きなどないんですけど、全体的に人のお行儀がいい。そういうのがこのまちにはあるんだなって。三原に帰ってきて分かりました。でも、何とかしたい。“美~なす”だって言うのに、“美~なす”って言わずに販売しているんですよ、駅ナカ八百屋であっても…。
 取材するとわかるんですけど、“美〜なす″は、ひとつのナスの木から通常はだいたい30個、50個収穫できるんですけど、それを5個から10個…満遍なく栄養がいくように剪定しながら育てているんです。だから美味しい。でも、それが知られず販売されているのが当たり前。仕方がないと思っている。どうにかしたいと思ったときに、やさいバスです。やさいバスは全農とも連携しているんですよ。だから、そういった課題にも取り組んでいけるんじゃないかって。(やさいバスの)加藤社長、さすがです。

価値を高めたい 伝えたい

―私も市場の仕事を始めて、色々な背景…売れない野菜の破棄のこと、農協との絡み、有機JAS認証取得の大変さとか、課題が色々見えてきたんです。

物書き傍ら、私は農薬や化学肥料に頼らない野菜やオーガニック商品を扱う会社でも仕事をしています。

 近くに寺岡有機醸造さんというお醤油の会社があるのですが、20年も前から有機醤油の認証を取得しています。有機醤油を使ってもらおうと思ったら、美味しい野菜が必要です。身体にいいものを食べてもらいたいという会社の考えで、圃場を広げて、大豆やそば、野菜を有機で育てているんですよ。
 私は、広島の東側に野菜の販路を広げたいと思って、寺岡さんに相談に行った。「有機JASを取得しておられる方や農家さんだったら一緒にやりましょう」ということだったんですけど、農家さんにとってはJAS認証の取得はハードルが高い。ごく普通の農家さんだったら難しいということを伝えたら「僕たちはノウハウを持っていますからみなさんにお伝えします。価値を高めていきたいんです。そういう問題があるんだったら一緒に解決していきましょう」って言ってくれました。

―いい会社さんですね!

 真面目にされている農家さんほど、(値段が)高すぎると買ってもらえないんじゃないかと、価格を抑える傾向があります。この前も話をしていたんですけど、困った。どうして困ったかというと、例えばマルシェで一生懸命その野菜の価値を伝えて販売する。継続していくんだったら、販売者にもお金が流れていかないと厳しい。今はもう変わりましたけど、(生産者の)自分たちで売っていくんだというのが強かった。だけれども、畑が増えていったり、天候が悪かったりしたら、販売することに専念できませんよね。それで野菜を預ける先が一般的なスーパーだったら、価値もつけられず、ポンポン置かれて、売れたら手数料が引かれた分のお金が入るだけ。一方、やさいバスは買い取りなんです。運賃は購買者が持ちます。着払いみたいなもの。農家さんは自分の農産物でいくら欲しいのかを考えればいい。利用手数料は販売価格の15%のみですから。

―分かりやすい仕組みですね。

 はい。シンプルなんです。初期手数料などもありません。
 駅ナカ八百屋は9月21日から10月末までは10時から20時まで毎日販売していたんですけど、火曜日から金曜日までの販売に変わったんです。そうすると、月・土・日が空っぽ。そのようにした理由は、地域の人にも使って欲しいから。ちゃんくすさんとも話をしたり、近くの八百屋さんとも話を進めています。

※取材後日、ちゃんくすが運営しているスワンベーカリーのパン、本町はらのすけのお弁当やお惣菜、Bbeefarmのハチミツが「やさいバス×〇〇〇〇〇」として、土日や月曜日に販売されることが決まっていました。

コミュニケーションの手立て

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―料金箱のそばに計算機が置かれていて、いいなって思いました。PayPayの支払いでもいい。利用しやすいですね。

 両替機が必要かという話も挙がってはいます。おつりが出ない仕組みなので、どうしても金額を合わせる必要がある。友人同士で金額を合わせたりといった光景もあります。ちなみにPayPayの支払いと現金と、どっちが多いと思いますか。

―どっちだろう。私が仕事をしている市場でもPayPayの支払いが増えているんですよね。ご年配の方がスマホを出して「操作方法教えて」と言われたり。

 そういうケースありますよね。でもここは7割が現金払いなんです。PayPayのほうが多かった時は、一単価が高いので観光客の方かなと思いますね。料金箱のなかに「この間30円足りなかったので、今日入れました」というメモが入っていたこともありました。

―それでいいですよね。掲示板もあるから、掲示板を使ってもいい。

 キャッシュレス決済が増えて現金の支払いが減ると、ますます人と交流することがなくなりますよね。小学校の非常勤講師の研修で、セクシャルハラスメントの講習を受講したんですけど、身体に触れてはいけない。肩に触れてはいけないって…驚きました。

―色々やりにくいです。

 先生になりたい人が少なくなるのも分かりますよね。そうやってどんどんコミュニケーションが減ってきてきている時代だからこそ、駅ナカ八百屋も無人販売だけれども、「ゴメン。わからないからこれ教えて」って。私もPayPayの決済方法を聞かれたことがあります。そういう交流が生まれるのって素敵ですよね。
 なんとかこれを継続して、やがては市民運営型の“みはらびとマーケット”と仮称を付けているんですけど、やりたいなって思います。

―ぜひ!!とても楽しみです。
 SNSも拝見しましたが、森塚さんはさまざまなところに関わりをもち、常にアクションしておられる。その原動力はどこから湧いてくるのでしょう?

目を内に向けてみたら…

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 私はずーっと故郷を離れていたんですよ。三原のことが大っ嫌いでした。わくわくしない。なんにもないって。でも、見ようとしていなかったんです。外ばっかりを見ていました。海外に行きたいとか、外をずっと求めていて。
 でも、コロナが流行して、きゅっと目線が“内”にいきましたよね、みんな。一方私は、コロナ以前に寂しく感じていたことがあったんです。(長く暮らした)沖縄には同級生がいません。あとから知り合った人しかいない。でも三原では歩けば同級生にあたる、みたいな。両親も高齢になりました。残された時間って少ないんだなと思ったんですよ。娘とはまだまだ会えますけど、両親は限られている。飛行機の中で、あるテレビ番組を見たんです。「親と会ったの最近いつ?」って質問で。「ボーっと生きてるんじゃねえよ」って出演者が怒られて…。平均寿命で割算したら、彼には二十何時間しか残っていなかった。それを見た時に私は衝撃を感じて。沖縄にいたらスッと三原に帰れないですよね。47歳で帰ってきましたが、当時の私には何にもない。年齢的にも会社員にもなれない。あまり必要とされないカテゴリーなんじゃないの?って。幸いご縁があって、尾道で仕事をしていましたが、故郷・三原では働いていない。尾道の会社から「東京に行く?」って話もあって。いやいや違うって。その会社とは社員契約をする予定だったんですけど、2回ほど断って、結局10か月ほど働きました。三原で筑城450年事業が行われていた時に、関連業務で事務の仕事をしている知り合いがいたんですけど、急に県外の地元に帰らなければいけなくなって、代わりになる人を探していたんです。そこで私が週2回、事務を手伝うようになりました。その仕事を通して三原のことをだいぶ知ることができて…。

それ、おかしいよね

 あと、子どもたちの存在。沖縄でも食育の依頼があって、仕事をしていたんですけど、子どもってかわいいじゃないですか。それなのに今はラジオ体操がダメとか、そういうのがうるさいっておかしい。私には何ができる?っていうのが原動力です。“何か私にできることは?”って考えているんです。
 祖母は99歳まで生きましたが、病院に入院していました。できれば、健康寿命で長生きしてほしい。となると、食育が大事です。周りの人には健康寿命でいてほしい。だから食に力が入るんです。
 (ちゃんくすの)西上さんとも出会いは物流。マルシェをしていたとき「何か連携できればいいですね」と話をしていて。駅ナカ八百屋との“ちょい運び”という連携が出来そうで。利用者さんが長い時間車を運転するわけではないので安全ですし、キャッチして決まったところまで運ぶという仕事。決まったことをするというのは得意な利用者さんも多いかなと思って、西上さんに事前にお声がけをしたんです。いろんなハンデがあっても、納税できる収入を得ることは大切だと思います。

―「私にできることは何か?」とおっしゃっていましたが、暮らし周りに「これ、おかしいんじゃない?」という疑問が森塚さんにはある。

 そうです。なぜ農薬を使うのかなって。紐解くと、自分たちがそれを求めたからなんですよね。その求めることを変えていったらいいんですよね。求める側が変わったら作り手も変わります。長い時間をかけて今の社会になっていったわけですから、すぐに変わるものではないでしょうけど。便利なものに囲まれて、母も言っていました。「戦後とえらい変わったな」って。

―はい。スマホが普及して、コロナではオンライン会議が普及して…と、身の回りのことがどんどん変化していく。そのスピードも速いです。

 便利なことが悪いことではないですけど、忘れちゃいけないことがある。犠牲があまりも多い。でもそれを言ったって仕方がない。行動で示す方が早いから私は動く。言うよりやってしまったほうが早いんです。

繋げる糸、繋がる糸

ーだからどんどんアクションする。

 マルシェをしていたとき、知人や友人がめっちゃ手伝ってくれたんですよ。自分の仕事もあるのにね。お金を受け取るのは嫌がられるので、モノで、とか。「後でおごるわ~」とか(笑)。

ー今のお仕事では、様々な農家さんに直接出会っておられますね。

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 本当にすごいなぁって思うんですよ。生産者さんは手のかかることをしている。こんなに手がかかっているのに「安いじゃろう!!」って。もう、どうにかしたくなるんですよ。でも私一人ではマンパワーも足りないし何もできないから、価値をあげてくれる人と手を組んでコトを起こしていく。今回なら“やさいバス”というように。農家さんの価値をあげよう、モチベーションを高めていこうって。

―「やさいバス」の仕事だけではなく…

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(森塚さんがレシピを考え調理、盛り付けした料理の一例)

 はい。やさいバスは仕事の一部。COCOLA3実店舗、ネットショップの運営、青果の仲卸業もしているんですけど、実はレモンを年に300キロ沖縄に卸しているんです。あとコンサルティング。昨日はカフェのレシピを監修していました。そして地域づくりのプランナー。空き家対策の事業にも関わっていて、新規で立ち上げした人の販路開拓などを。

―森塚さん、多忙です…

 でもね、すべて繋がっているんですよ。みはらプリンの取り組みも、実行委員になっていますけど、受けたことを今している仕事にくっつけて、まとめていく感じなのです。

―(房子さん)そうですよね、全部結局、人ですもんね。つながりは。

 そうです、そうです。
 駅ナカ八百屋に関しては市民運営型の八百屋を目指します。食を変えることになりますから。2,3日前にちょうど言われた「ここで野菜を買うようになって肌の調子が良くなった」って言うのがまさにそれ。健康長寿日本一の三原になればいいなって思います。すると両親が、家族が健康でいられる。そんないいまちだったら…って人口が増える。人が増えると仕事が増える。仕事が増えると子どもも増える。「え、どうして三原は人口増えてるの?」ってなっていったら楽しいなって。

―ワクワクしますね!!

COCOLA3 
https://okimoritsuka.wixsite.com/cocola3

やさいバス

https://vegibus.com/





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