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You think this has nothing to do with you, right?

「プラダを着た悪魔」という映画での有名なシーンがある。

ジャーナリストを目指し、オシャレなんか興味なかった主人公はファッション雑誌編集長のアシスタント職を得るが、流行の最先端を表現すべくファッションの細部にこだわりぬく業界を少し斜め目線で見ている。

それを見透かしたように編集長は彼女が着ている冴えないセーターの色は、何年も前にこの業界が流行らせたものであることを伝える。

「オシャレに夢中になるなんて馬鹿みたい」と思っている人が、真剣にオシャレを模索する立役者が創った最先端のトレンドから派生した廉価既製服をあたかもオシャレとは無関係という顔をして自ら選んで着ているという皮肉。

誰もが自らの意思で服を選んでいるように思っているけれど、知らず知らずのうちに誰かが創ったトレンドに乗っかっているという事実を知り、私もちょっと驚いた。

トレンドは2年間から創られている

流行色の選定(2年前)
1963年に発足したインターカラーという民間の色彩情報団体が、市場動向や社会情勢を鑑み、ファッション・化粧品・工業製品などの各産業で用いる色を選ぶ

流行色を参考にした素材(ファッションの場合は糸や布)の試作(1年前)
各国で素材の展示会が開かれる

コレクションの開催(半年前)
服飾の流行創出や販売促進などを目的とし、モデルに服を着せて観衆に提示する

既製服の大量生産
我々が洋服として手に入れる

ファッション通信という、奇妙奇天烈なデザインの服を着たモデルがそぞろ歩きするのをひたすら解説する番組があるが、あれがまさにファッションの源流である。

なんだこりゃ?と即効チャンネルを変えてしまうのではなく、デザイナーが何を思って服を作っているのか考えながら見ると、視点が広がると思う。

とはいえ、近年、必ずしも上述した流れに乗らない新しい商流も生まれており、業界の多様化が進んでいるようだ。

誰もが無関係ではいられないからこそ、主体的にオシャレを楽しみたい。



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