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#015 未来への一雫

何気ない、ひとこと、
ささいな、ひとこと。

そこに顕在化しているのは、単なる言葉。
発せられた、あるいは綴られた文字列。

でも、
その瞬間瞬間に存在している事象は、森羅万象。
文字列は、そのほんのわずかな断片。

声色、挙動、表情。
気づき、綴るタイミング、そこに透けて見える行間。

事象は無論、
ひとことを交わし合う相手だけではない。

その場にいる他者の存在。
その場にいない他者の存在。

そしてもちろん、
事象の構成要素は、ひとだけではない。

時間、食事、、ゲーム、本、、プレゼント、季節、、テレビ、ラジオ、、買い物、創作、、食材、ゴミ、、
挙げ出したらキリがないくらいの事象。

こうして言葉で切り取ることのできないような事象は、もっともっとたくさん。

そう、世界は途方もないくらいに無数の事象で充満している。

それら自体には、優劣も差異もなければ、因果もない。
これらの事象全ては、それ自体では無色に漂っているのだ。

世界はそんな透明のキャンバス。
そこに、めいめいが思い思いの絵を描く。

「ひとこと」という絵筆で、着色する。

どんなふうに着色するかに、決まりはない。
どこまで着色するかも、決まってない。
なんにも、どこにも、境目がない。

ひとたび絵筆を走らせれば、
そこには確かな境目ができる。
色だけでなく、その筆致、描かれた場所、描いた時間、、、
瞬間的に、ありとあらゆる境目ができる。

絵筆がキャンバスに触れるとき。
そこにあるのは、ほんのわずかな一雫。

その絵筆で描かれるであろう世界。

それを考えずにキャンバスに落とされたなら、
その一雫は哀しみを伴う過去として溜まり、

それを考えながらキャンバスに触れたなら、
その一雫は愛しみが漂う未来として積み重なる。


何気ない、ひとこと。
ささやかな、ひとこと。

そこに潜在化しているのは、未知なる世界。
発することで、あるいは綴ることでガラリと変わる世界。


2023.12.31
いま、ぼくは。
そんな両方の一雫を感じています。

そして、
いま、ここに。
ぼくが落とした一雫が、愛しみとして広がったらいいなと感じています。

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