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【名大URA通信】vol.32「知財が社会で活かされる現場に関わりたくて」

[1] 【URAコラム】「知財が社会で活かされる現場に関わりたくて」

松岡陽子(まつおか・ようこ):名古屋市出身。岐阜大学工学部電子情報工学科(当時)卒業後、NTTグループ会社にSEとして入社。特許事務所を経て、2014年にCOI*の知財担当URAとして着任。仕事ではヒール靴で気合を入れる一方、自宅ではアーティフィシャルフラワーなどの手芸で心を癒し、週1~2回のホットヨガで体も癒す。

*COI:文部科学省/JSTが2013年~2021年度に実施した「Cente of Innovationプログラム」。
名古屋大学は「高齢者が元気になるモビリティ社会」をビジョンにCOI拠点の採択を受け、
9年間にわたり本格的産学官民連携による研究開発を推進した。

ー松岡さんはSEから弁理士へ、さらにURAへと転身されているんですね。

ー(松岡)大学卒業後、SEとして就職しましたが、より自分が打ち込める仕事を求めて、特許事務所に転職し弁理士資格をとりました。特許事務所では顧客企業の知財の明細書を作って権利化する仕事を10年ほど続けました。やりがいのある仕事でしたが、権利化後に社会実装されて活かされる現場には関われないんですよね。そんなときに、大学の発明を知財化して社会実装する流れができていることを知って「面白そう!」と思い、いくつかの大学にメールを送って情報を集めたりしていました。

ー積極的に動いてたんですね!

ー(松岡)そうこうしているうち、2013年末に名古屋大学でCOIの知財担当URAの募集があったので応募し、採用されて今に至ります。

名古屋大学COIサイト。9年間の成果報告集を公開している。

ー10年前ですね。当時はちょうど研究大学強化促進事業も始まり、URAがたくさん雇用されたタイミングでした。

ー(松岡)COIは、名大が企業とタッグを組んで本格的な産学連携事業を展開した最初の例だったと思います。COIの知財担当URAとして、1人で20~30の企業の知財部を相手に仕事をしましたから、本当によい経験でした。

ーCOIはいろんなレガシーを残しましたね。COI担当のURAは、プロジェクトの進捗管理はもちろん、若手研究者支援、知財、起業、情報発信など、多方面に役割を開拓して、先生方からも参画企業からも信頼を得ていたように思います。

ー(松岡)最初は試行錯誤で大変でしたけど(笑)! 当時採用されたURAのうち、今も名大に残っているのは数人だけなんですが、別の道に進んだ人たちも、それぞれやりたいことを見つけて頑張っていると思います。名大では今もCOI-NEXT や OPERAなどの大型産学連携プロジェクトが動いていますが、COIをモデルケースにして成果を挙げて欲しいと思っています。

(左)オンライン会議は状況によりイヤホンを使い分ける。ワイヤレスも両耳用と片耳用を常備。(中央2点)趣味のアーティフィシャルフラワーで自宅を彩る。
(右)年1回、娘さんのバレエ発表会の衣装に合わせて、ぬいぐるみの衣装を手作り。

ー松岡さんは元SEという背景も活かして、ソフトウェアやプログラムなどの著作物の知財を主に担当していますね。

ー(松岡)はい、情報系の先生方を担当することが多いですね。最近は医工連携が進み、診断支援プログラムなどを扱うことも増えました。
 コンピュータのプログラムなどの著作物は、作った瞬間に【著作権】が生じるのですが、例えば企業が「使いたい」と言った時に、作者である先生が「いいですよ」と無償で渡してしまうこともあります。でも、著作物も特許と同じように大学の研究成果であり「知的財産権」なので、企業などの第三者に利用を認める場合には、大学として適切な契約を結ぶ必要があります。

ーなるほど。一方で、情報の世界では「オープンデータ化」の流れもありますよね。

ー(松岡)そうですね、自身の著作物をオープンデータにして自由に使ってもらう道もあります。ただ、企業だからこそ上手く社会実装できて、その方がよりたくさんの人に利用してもらうことにつながることも多いですよね。

ーたしかに。自分が作ったプログラムが社会で活かされるにはどういう道が最良かを考えないといけませんね。

ー(松岡)今後は特に若手の先生方や、これまで知財に縁のなかった先生方の知財マインドを高めていけるよう、アプローチしていきたいと思っています。将来的には大学が保有するビックデータを利活用して、増収につなげたいですね。

ー頼もしい! 期待しています! 

[2] 「2022年度 東海国立大学機構100人論文」開催

「東海国立大学機構 100人論文」とは、部局を超えた研究者の交流を生み出し、連携のきっかけとなることを目的としたオンライン研究交流イベントです。 様々な分野の研究者が、匿名で 「私の研究(関心事)はこんな感じ」 「こんなことに挑戦したい!~他分野の研究者と一緒に新しくチャレンジしたいこと~」 「私、こんなことができます」 の3点を紹介し、参加者はその内容に自由にコメントをつけることができます。コメント投稿のみの参加も可能です。コメントでの交流後に連絡先を交換し、本格的な研究交流へ進めることもできます。 お気軽にご参加ください。
・参加登録期間:2023年2月8日(水)(予定)~3月31日(金)
・交流期間:2023年3月1日(水)~3月31日(金)*オンライン
・対象:東海国立大学機構の教職員・大学院生
・申込・詳細:「東海国立大学機構100人論文」webサイト
 *2/8 参加登録サイトオープン予定

[3] 科研費 大型種目セミナー もうすぐ開催

科研費 大型種目セミナー開催のお知らせです。採択経験のある先生方に直接質問ができる絶好の機会。中長期的に応募を検討されている中堅・若手の先生方も、ぜひご参加ください。
・日時:2023年2月3日(金)9:15~10:45 *オンライン
・話題提供:
 特別推進研究(理工系)阿波賀邦夫(高等研究院 院長/理学研究科 教授)
 特別推進研究(生物系)吉村崇(ITbM拠点長・教授)
 基盤研究(A)周藤芳幸(人文学研究科長・教授)
・対象:東海国立大学機構の教職員
・申込・詳細:https://www.aip.nagoya-u.ac.jp/event/14033.html

[4] TOCKIN′NAGOYA 2023 ~アイデアとテクノロジーの交差点~ 開催

東海地区最大規模となるスタートアップの祭典「TOCKIN′NAGOYA(トッキンナゴヤ)」開催!「TOCKIN′NAGOYA」は「最高、すごい」を意味する「ROCK」と、名古屋弁で「とんがっている」を意味する「トッキントッキン」を掛け合わせた造語です。その祭典が「最高」で「とんがったアイデア・技術に出会える場所」になることを目指しています。当日は、教職員や学生によるビジネスピッチやスタートアップの登壇等、様々なイベントをご用意しております。詳細は2月上旬リリース予定です。請うご期待下さい!
・日時:2023年3月21日(火・祝)・22日(水) いずれも10:00~21:00(予定)
・会場:ナディアパークデザインセンタービル(名古屋市中区栄)
・詳細:https://tockin-nagoya2023.tongali.net/ *詳細は2月上旬リリース

[5] 第91回名大カフェ「魚の視覚解明を目指して」

水族館などで“魚”はどんな世界を見ているのだろう、私たちを認識しているのかなあと不思議に思ったことはありませんか? 魚は脳内視覚回路を独自に進化させたことが私たちの研究からわかってきており、なんと私たち哺乳類との共通点もあるのです! 研究成果を含めながら、魚の脳のおもしろさやユニークな行動についてもお話しします。
・日時:2023年2月9日(木)19:00~20:00 *オンライン
・ゲスト:萩尾 華子(高等研究院/大学院生命農学研究科 YLC特任助教)
・対象:どなたでも
・詳細・申込:https://www.aip.nagoya-u.ac.jp/research-information/mcafe/event91

[6] 今月の★起業家育成「Tongali」イベント★

■Tチャン 海外編 <8>ドイツ
ドイツ・イエナのLeibniz-Institute of Photonic Technology の研究成果をベースとしたスタートアップDeepEn。世界で最も薄いイメージング機器の開発を目標とする同社の事業開発を担当するWestermann氏が、実験室の複雑な技術を市場に出すまでの起業家としての行程や、ドイツの技術移転環境などについてお話しします。
・日時:2023年2月7日(火)16:00~17:00 *オンライン
・ゲスト:Mr. Patrick Westermann(In charge of Business Development at DeepEn)*使用言語:英語
・対象:どなたでも。特に大学生・大学院生
・詳細・申込:https://tongali.net/events/tic2022-intl-8th/

■女性起業家育成ワークショップⅡ「魅せる!ピッチの作り方@名古屋大学」
どんなに良いビジネスアイディアでも顧客、パートナー、金融機関などさまざまなプレイヤーに伝わらなければ価値を実現することできません。自身のビジネスアイディアをより効果的に伝える方法を学びます。
・日時:2023年2月8日(水)、13日(月)9:00~12:00
・会場:名古屋大学東山キャンパス NIC 3階大会議室
・講師:丸本瑞葉 氏(株式会社SciEmo 代表取締役CEO)
・対象:東海地区の学部生・大学院生で、すでにアイディアを持っており、代表者が女性のチーム(1~5名)
・詳細・申込:https://tongali.net/events/women-entrepreneurs-nagoyau/

■第6回 東海スタートアップカンファレンス「テクノロジーが未来のビジネスを拓く」
科学や技術における革新的な発見は、あっという間に業界の垣根を越え、思いもよらない分野でゲームのルールを変える可能性を秘めています。「ゲームチェンジングテクノロジー」「ベンチャー企業と大企業の共創」をテーマに、基調講演とパネルディスカッションで未来のビジネスを考えます。
・日時:2023年2月14日(火)14:00~18:00
・会場:ミッドランドホール(ミッドランドスクエアオフィスタワー5階)
・基調講演:前野 健二氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 シニアマネージャー)、寺久保 朝昭氏(キヤノンマーケティングジャパン株式会社 ソリューションデベロップメントセンター長)、佐渡島 隆平氏(セーフィー株式会社 代表取締役社長CEO)
・詳細・申込:https://tongali.net/events/startup-conf2023/

[7] 新作動画&Podcast ★名大研究フロントライン★

■動画 vol.22「免疫研究を食卓に届けています」
働きすぎも働かなすぎも健康トラブルにつながる「免疫」。その機能は日々の脂質の摂り方と密接に関わっています。免疫と脂質の研究、その知見を人々に伝える活動、この両方に全力で取り組む研究者を紹介します。
・環境医学研究所 伊藤パディジャ綾香 講師

■ Podcast  素粒子宇宙円卓会議#6 |スパコンで創る量子色力学ワールド
・KMI 金児 隆志 特任講師

■ イベントレポート:ミライ対話イベント「空間のミライ:いごこちの良さを考える」を開催しました

[8]  1/18開催 学術研究・産学官連携セミナー 動画公開

1月18日に開催した学術研究・産学官連携セミナー「起業支援人材育成と、大学を中心としたスタートアップエコシステム」の動画を公開しました。お時間のある時にぜひご視聴ください(配信期間:2024年3月31日まで。学内かVPNからのみ視聴可能。)

最後までお目通しいただきまして、ありがとうございました!
■発 行:名古屋大学 学術研究・産学官連携推進本部
■問合せ:企画・プロジェクト推進部門 情報発信ユニット  
■メール:outreach@aip.nagoya-u.ac.jp  電話:(747)6790

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