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メスがいないとオスメダカの生殖能力に変化!? 【19】

今回は、メダカの生殖能力に関する研究を紹介します。

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メダカは、日本人にとって馴染み深い魚ですね。「幼稚園や小学校で飼っていた!」、「卵をふ化させたことがある!」といった思い出のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

メダカは、繁殖期には毎日交配をして受精卵をつくります。メスは一度に数十個の卵を産み、オスは一日に複数のメスと交配できるほどたくさんの精子をつくることができます。

では、もし交配相手のメスがいなかったら、精子の作られ方は異なるかもしれない、名古屋大学 理学研究科のグループはそう考えました。具体的に調べた結果、その違いが初めて明らかになりました。

まず、精巣のつくりです。交配をしていないオスの精巣は、毎日交配をしているオスより大きく、内部の形態が違っていました。また、精子を作り出そうとする生殖細胞の数は少ないという特徴がありました。

2つ目の違いは、精子がつくられるプロセスです。精子は、生殖細胞が「減数分裂」という遺伝情報を次の世代につなげるための特殊なタイプの細胞分裂を経てつくられます。ところが、交配をしていないオスの精巣では減数分裂がなかなか始まらないという違いがありました。

メスと交配しているかどうかによって、精子をつくる状況がコントロールされていたんですね。ただ、減数分裂が一度始まってしまえば、交配の有無に関わらず、約14日間で生殖細胞から精子がつくられることもわかりました。14日間という日数も今回始めて明らかになった重要な結果です。

研究を行った田中実たなかみのる教授と大学院生の住田流香すみたるかさんからのコメントです。

「生き物が環境に合わせてダイナミックに生殖能力を変化させているというひとつの例を示せた意義は大きく、この結果は養殖産業などにも参考になるのではないでしょうか。」

今回紹介したように、メダカは実験動物としてとても優秀で、宇宙実験でも活躍するなど世界の最先端研究に貢献しています。

田中教授の研究室では、1000匹以上のメダカを飼育し、日々さまざまな実験を行なっています。その様子をお伝えするイベントの動画も公開中です!

今回の研究について詳しくは、2021年7月14日発表の名古屋大学研究プレスリリースもご覧ください!

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◯ 関連リンク

 名古屋大学大学院理学研究科 生殖生物学グループ(田中研)

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