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データで実証!子ども時代の運動はやはり大事だった 【17】

今回は、小学生の運動不足と筋肉量の関係についての少しショッキングな研究結果を紹介します。

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そもそも、子どもにとって十分な運動量ってどのくらいでしょうか? WHO(世界保健機関)などは、ややきついと感じる強度が高めの運動や活動を、1日1時間、週5日以上行なうことを推奨しています。意外に思うかもしれませんが、この運動量が子どもにとって適切なのか、とくにアジアの子どもでは評価されてきませんでした。

そこで、名古屋大学の医学研究科などの共同研究グループは、学童期に体を動かすことが身体の機能にどう関係しているのか、日本人の小学生を対象に調査を行いました。すると、日常生活で推奨された「身体活動」を実践している子ども達が少ないという実態が見えてきたそうです。

さらに、手足の骨格筋量や歩き方など、身体機能の指標となるさまざまな項目を測定し、WHOが推奨する活動量を満たす「運動する児童」と満たしていない「運動不足の児童」とを比べました。その結果、運動不足の児童は、筋肉量が少ないだけでなく、歩行機能やバランス機能も低いといった問題が見えてきました。

運動不足の児童にどんなリスクがあるかという観点で解析すると、手足の骨格筋量が減少するリスクが運動する児童の2倍以上であることがわかりました。つまり、子どもたちの手足の筋肉の発達に、体を動かすことが重要だとデータで示されたのです。

研究グループは、身体活動を十分確保できれば、これらのリスクを減らすことができるのではないかと改めて実感できたといいます。

研究を行った杉浦英志すぎうらひでし教授と伊藤忠いとうただし研究員から、思いの込もったコメントをいただきました。

この研究のポイントは、小児の『手足の骨格筋量』の発達には、推奨された『身体活動』の実行が重要であり、運動習慣が将来的なロコモティブシンドロームに繋がる可能性がある点です。小児健診の大切さと必要性をもっと沢山の人に知ってもらいたいです。

研究では児童健診事業の立ち上げで多くの労力を要しましたが、研究に協力して頂いたすべての皆さんに感謝いたします。

今後は、推奨された身体活動を満たしておらず、筋肉量が少なく、身体機能の低い児童に対して、適切な運動プログラムの提供が機能向上につながるかを調査していきたいと思っています。

小学生の頃からサッカー、野球、レスリング、水泳、とさまざまなスポーツを経験してきた私にとって、今回の研究結果は聞き流せないものでした。将来の研究で、運動プログラムなどで子どもたちへの効果が確かめられれば、彼らが生涯を通じてより健康に、健康寿命も伸びるのかなと思います。少子高齢化の日本ではとても重要な研究ですね。

詳しくは2021年6月11日発表の名古屋大学研究プレスリリースをご覧ください!

制作協力:越川光こしかわひかる(名古屋大学経済学部4年)

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 名古屋大学大学院医学系研究科装具保健学専攻

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