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中米遺跡から発見!塩づくりの先人たちは多才だった 【12】

今回の舞台は、古代中央アメリカです。先人たちの知恵や技術についての研究をご紹介します。

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昔、中米カリブ海沿岸や太平洋沿岸では塩づくりが盛んで、今も製塩所の遺跡が多く残っています。中米エルサルバドルにあるヌエバ・エスペランサ遺跡はその一つですが、この遺跡で出土した土器から興味深いことがあきらかになりました。

調査に入ったのは、名古屋大学で考古学を研究する市川彰研究員です。遺跡からは、塩づくりに使うシンプルな土器と、特殊な装飾が施された土器が見つかりました。

塩づくり用の土器は地元で作られ、装飾用のものは遠方から持ち込まれたと考えるのが一般的です。ただ、これらの土器は材質が似ていました。

そこで、顕微鏡やX線を使って詳しく調べると、どちらも遺跡の周辺で採れる土から作られていました。塩づくりの先人たちが装飾土器をつくる高度な技術も持っていた可能性が見えてきたのです。

実は、彼らは単に塩をつくるだけでなく、魚を石器でさばいて塩漬けにしたり、その魚を内陸に運ぶカヌーをつくったり、さまざまな技術を持っていたそうです。生活を塩に頼らないよう経済的な戦略として、装飾土器をつくる技術も培ったのかもしれません。

研究を行なった市川彰いちかわあきら研究員からのコメントです。

「ポイントは、塩づくり用のシンプルな土器を、理系の先生のお力も借りて詳細に分析したことです。人の目を引く綺麗な土器ばかりが注目されますが、日常的に使われたシンプルな土器との比較の結果、今回の結果が得られました。土器を使った塩づくりは世界各地で確認されていますので、今回の研究成果が応用されれば、古代の塩づくりだけではなく、モノづくりに関する様々な新しい知見が得られるのではないかと思います」

詳しくは、2021年6月23日の名古屋大学研究プレスリリースもご覧ください!


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