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オーロラがオゾン層を破壊する!? 【18】

今回は、オーロラとオゾン層破壊の関係についての研究を紹介します。

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オーロラってどうやってできるか、ご存じですか?

オーロラは、温度にして数千万℃にものぼる高いエネルギーを持った電子が宇宙空間から振り込み、高さ100km付近の大気と衝突して光を発しています。

オーロラは、カーテンのように拡がる形や、そのカーテンが何層にも巻き付いたような形など、唯一無二の美しい形をしています。このような一般的なオーロラの他に、ぼんやりと霧がかったように光る「ディフューズオーロラ」や、数秒~数十秒ごとに明るくなったり暗くなったりする「脈動オーロラ」があります。

そのうち今回の研究で重要になるのは、脈動オーロラです。脈動オーロラの瞬きは、「コーラス」と呼ばれる電子が、宇宙空間でオーロラを作る電子を散乱させるときに発生します。

現在、JAXAの科学衛星「あらせ」のデータでこのコーラスが生まれる様子を解明しようという研究も進んでいます。名古屋大学 宇宙地球環境研究所には、JAXAと共同でこの「あらせ」衛星のサイエンスセンターが設置されていて、世界中に「あらせ」衛星のデータ配信を行っています。

一方で地球大気には他にも、「キラー電子」とよばれる、温度にして数千億度のきわめて高いエネルギーの電子も降りこんでくることがあります。

研究グループは、あらせ衛星などを使った観測とシミュレーションを行い、脈動オーロラを作るコーラスが同時にキラー電子を地球に向けて降り込ませると、オゾン層が破壊される事を見出しました。

つまり、脈動オーロラが光っているときには、地球大気のもっとも高いところにある超高層大気やその下の中層大気ではとても激しい変化が起きているのです!

研究を行った三好由純みよしよしずみ教授からのコメントです。

「今回発見した、脈動オーロラに伴って、中層大気のオゾンが破壊されている現象が、どのくらいの広がりやどのくらいの頻度で起こっているかはまだわかっていません。今後さらに研究を続けていきたいと思っています」

詳しくは、2021年7月14日発表の名古屋大学研究プレスリリースをご覧ください。

画像提供:ERGサイエンスチーム
制作協力:小川詩織おがわしおり(名古屋大学理学部4年)

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◯ 関連リンク

 名古屋大学宇宙地球環境研究所

 ジオスペース探査衛星「あらせ」(ERG)

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