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名古屋大学 研究フロントライン

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ポッドキャスト番組「名古屋大学 研究フロントライン」をテキストでお届けします♪ 名古屋大学の最近の研究の話題を、週に1回、柔らかめのトーンで紹介しています。
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2024年5月の記事一覧

火山ガスを”縦に”測る

「コロンブスの卵的な装置を作りました。」 地球をまるごと研究する角皆潤さん(環境学研究科 教授)が見せてくれたのは、研究グループの新作装置の映像。噴き上がる煙が目を引く映像ですが、新しい装置…どれかわかりますか? 「スタッフが空に向けて持っている長い棒です。火山ガスを測っています。」 グループは、誰もやってこなかったある火山ガス成分の分布の測定から、放出量の測定に成功。新しい火山モニタリングの提案を目指しています。一体何に着目したのか、プロジェクトについて角皆さんに聞き

速いもん勝ちじゃない、成功するオスの意外な戦略を可視化

名大で”息を呑むほど美しい顕微鏡写真”といえば、水多 陽子さん(トランスフォーマティブ生命分子研究所/高等研究院 助教)。「やっぱりお花が好きで、ずっと研究しているんです」という水多さんが特に魅せされているのは、めしべの中で繰り広げられるいのちのドラマ。 花が咲くとどのように種ができるのか──。シンプルな問いを突き詰めると、見えてくるのは実に壮大で、神秘的としか思えない世界。10年以上の年月をかけてようやく可視化に成功した水多さんが、レンズの向こうに見たのはオスたちの意外な

レンズの精度を極めろ!X線顕微鏡に魅せられた研究者達

顕微鏡を最後に覗いたのはいつだったのか、覚えていますか🙂?ピント合わせが難しく、苦手意識を持っている方も多いのでは・・・1930年代には可視光の代わりに電子を使った顕微鏡が発明され、サンプル表面のナノの世界を見ることが可能になりました。もし、表面だけでなく、内部深くまで見ることができ、三次元構造を明らかにすることができたなら・・・なんて想像してみたことありますか?それを可能にするのが、X線を用いた顕微鏡です。 「今まで見られなかったモノが見られることで、新しい世界が広げられ

赤い光も青い光も大事!植物の気孔開口に関わるしくみを解明!

今回は、ITbMのイチオシの植物の気孔についての研究成果を紹介します。 植物の体の表面にある気孔は、孔辺細胞とよばれる1対のゼリービーンズのような形をした細胞からなり、まるでヒトの唇のような形をしています。 その間の小さな孔を開閉することで、植物は二酸化炭素や酸素などのガス交換や水分調節をおこなっています。まさに、気孔は、植物の成長と生存に必須な細胞器官といえます(図1)。 その気孔は、太陽の光に応答して開きます。名古屋大学の研究グループはこれまでに、青い光が当たるとど