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名古屋大学 研究フロントライン

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ポッドキャスト番組「名古屋大学 研究フロントライン」をテキストでお届けします♪ 名古屋大学の最近の研究の話題を、週に1回、柔らかめのトーンで紹介しています。
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2023年5月の記事一覧

ミクロの仕組み、AIでアプローチ ─多結晶材料情報学の幕開け─

今回は、以前紹介した金属3Dプリンターの話題に続く、新しい材料研究のお話です。 多結晶材料学という分野をご存知ですか?少し目線を上げて周りを見わたせば、多結晶が必ず目に入る…スマホの液晶画面、セラミックスのお茶碗、太陽光電池パネルなどなど、実は多結晶は暮らしに欠かせない存在です。より優れた性能の多結晶の開発を目指す多結晶材料学に、AI(情報学)を活用していこうとする動きが、ここ名古屋大学で起きています。 今回お話を伺ったのは、宇佐美徳隆教授(工学研究科)と、工藤博章准教授

ついに解読!! 花のタネをつくる16文字の暗号

「6ヶ月かけて、10万個集めました。」という貴重な画像を入手しました。 シロイヌナズナの胚珠です。ひと粒0.1mmというサイズ感…! 「胚珠というのは、受精した後に種になる部分なんですね。植物の花の真ん中にはめしべがありますよね。その中に、この卵のような胚珠がたくさんあるんですよ。」 そう話すのは、写真を提供してくれた 笠原竜四郎特任准教授。植物の生殖に関わる分子の仕組みを研究しています。 5月8日、この小さな胚珠を舞台に、大学院時代からの18年越しの研究成果を発表し

繁殖成功に必要なのは、交尾中の〇〇をキープすることだった

「なかなかいないと思うんですけど、僕、ハエの交尾のイラスト描けるんです。」 そう言って、なかなかお目にかかることのできないイラスト(トップ画像)を見せてくれたのは、山ノ内勇斗さん(大学院理学研究科修士2年)。キイロショウジョウバエというハエの一種を使って、交尾にまつわる神経回路を研究している大学院生です。 1ヶ月しか生きないのに1回の交尾に20分も費やすキイロショウジョウバエ。不可欠とはいえ非効率すぎる交尾行動の不思議に魅せられ、取り組んだ研究で、交尾中の姿勢を維持するこ