似てんのか、そっくり? 比べて観た
比べて観よう
●『現金に体を張れ』(1957年公開 スタンリー・キューブリック監督)
●『レザボア・ドッグス』(1993年公開 クエンティン・タランティーノ監督)
キューブリックの初期の代表作といえば、『現金に体を張れ』。
2018年の映画『アメリカン・アニマルズ』で強盗をたくらむ若者たちが計画を練る際に参考に見ていた映画が『現金に体を張れ』です。お互いをよく知らないどうしが強盗を計画し実行するが実行後に思わぬトラブルが。どう切り抜けていくのかというクライムサスペンス。
『レザボワ・ドッグス』も寄せ集められた悪党メンバーで強盗をするも失敗に終わり、裏切り者探しをしていくうちに思わぬ展開に・・というストーリー。
ネットで『レザボア・ドックス』は『現金に体を張れ』のリメイクだ、ということを書いてるのを見かけたが、お互い素性を知らない同士が集められる基礎の部分は共通するから、そこなんだろうな。いやいやそれは言い過ぎでしょ、とは思う。
でも『現金に体を張れ』は『レザボワ・ドッグス』を含め、その後の犯罪モノに影響を与えてるんじゃないかと思う。(タランティーノ、ぜったい意識してるに違いない)
このキューブリックの映画は時間軸をずらして場面をつなげていったりする。
タランティーノでいえば『パルプ・フィクション』でこの手法を参考にしたのではとも言われてます。(きっと参考にしてるはず)
『レザボア・ドッグス』は犯罪場面が出てこないのに、あたかも犯罪場面を見たかのような錯覚を起こす。本当に上手く作ってあるなと思う。予算が少なくても工夫すればこんなに面白い映画ができるんだ、という見本のような作品です。昨年観た『THE GUILTY ギルティ』も犯罪場面も犯行現場も出てこないのに、頭の中では見たような印象を植え付けていという似たような作りになってた(内容は全く違いますが)。参考にしてるかどうかは知らないけど。この映画も大好き。
『現金に体を張れ』と『レザボワ・ドッグス』、似てるとこはあるけど、別物。そしてどちらもかなり面白い。
映画は、これからも過去の財産を消化して、自らの血や細胞とし、新しい方法で磨き上げ、これまでとは違った切り口で作り上げていくんだろうな。
比べて観たらぜったい面白さが増す。