実家に行ってきました

今日は11月3日、文化の日で祝日です。
実家へ帰る道すがら、コンビニスイーツを5個購入。
両親と兄と甥っ子、全員がそろっているはず。
両親の顔を見たら、はりつめた気持ちがはじけて泣いてしまうかもしれない。
そんなことを考えながら運転をしていたら目頭が熱くなってしまった。

広域農道の信号を左に曲がると、道路に母が立って私が来るのを待っているのが見えた。
普段なら家の中にいるか、せいぜいでも庭先で作業をしているかなのにめずらしい。

「夫さんは休みか?」
「ううん、仕事。私一人で来た」

茶の間に入ると、父がいつもの座椅子に座っている。

「どうした。具合でも悪いんか」

真っ先にそう言われた。
普段通りにしているはずなのに見透かされている。

「うーん。今日はちょっと良くないかも」
「糖尿病にでもなったか」

私は脂質異常症で10年以上前から薬をのんでいる。

「いや、違う」
「子どもでもできたんか」
「それなら嬉しいんだけどね」
「ばあちゃん(母のこと)が、なごみの電話の声が元気がなかったって心配してたぞ」

実家に寄る前に電話してから来たのだけれども、母は何かに感づいて道路に立って待っていたそうだ。
普段通りに電話口で話したつもりなのにね。
親にごまかしはきかない。

「……私、腎がんになった」

両親の反応が怖い。
泣かれたらどうしよう。

「腎臓はひとつ取ってしまっても大丈夫なんろ? もしだったら母ちゃんの腎臓ひとつやるわや」
「年寄りからなんかもらわんねよ。いらねわね」

母との会話は、私もなまりが強くなります。
両親の良いところは、深く考えない、楽天的な考え方をするところです。
私もそれに似ました。

***

「トオル(兄)、翔(甥っ子)。なごみママが来たぞ。起きれ!」って、祝日の朝のまどろみを個々の部屋で過ごしていた二人をたたき起こす母。
せっかくの仕事休みなのにすまないねぇ。
翔ちゃんはいつもすぐに顔を出しに来てくれる。
兄はほぼ部屋に閉じこもって顔を見せてくれない。
「昼めし食ってけ」と言われ、母と翔ちゃんと近くのスーパーへ買い出しに行った。
昼食時、兄がのっそり二階から降りてきた。

兄に腎がんのことを言いそびれてしまった。
全然関係ない楽しい話ばかりをして過ごす。
気持ちが軽くなる。

帰る時「心配すんなや。大丈夫」って両親が見送ってくれた。
これでいい。
これがいい。
私は父と母の子だ。
心が楽になった。

~2021.11.3~

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