親知らずを抜いた
親知らずを抜いた。結構デカいやつだった。
右の奥歯のさらに奥。
そいつ自体、特に害は無かった。
歯茎を持ち上げて、これから顔を出そうと頑張っていた。
だけど、上から別のやつが生えてきた。
そいつは先が鋭くて、持ち上がった歯茎に突き刺さってきたのだ。耐えられなくなって歯医者に行った。
親知らずは不憫な奴だ。
他の歯と同じなのに、誰にも歓迎されずに「虫歯のリスクがある」とか「噛み合わせが悪くなる」とか、「なんか気になる」という理由で生えてきたらすぐ抜かれる。
抜いたあとには、そいつが居た場所に穴が残る。穴はスポンジで埋められて、1〜3時間後、麻酔が切れて痛みとスポンジの違和感が襲ってくる。
この痛みは辛い。
そこに生えていたやつが、抜かれた後まだその存在を訴えてくる。
「私は確かに此処に居たんだ。私のことを忘れないでくれ…」
分かったから、そんな形で訴えてくるなよ。
お疲れさま。
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