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イリオモテヤマネコ的視点で見たシャドーハウス12話

本文を読む前に

この文章を読む前に、「イリオモテヤマネコってなんだ?」と思った方には、先にこちらに目を通していただけるとありがたいです。

この記事にあるように、私は長い文章を読んで今の社会の問題点やこれからの課題を知り、「より自分たちの生きやすい社会」を目指しているが故の絶望感を今の社会に対して抱いています。それを前提にしての話です。以下の文章は、それを踏まえて読んでもらえたらありがたいです。
では、よろしくお願いします。

はじめに

「シャドーハウス」は、ソウマトウが原作の漫画です。
2021年にアニメが始まり、2022年の7月に2期目の「シャドーハウス 2nd Season」が始まりました。

今年の7月、ジャンププラスで無料になっていたことをきっかけにシャドーハウスを知り、Youtubeの解説動画で1期の内容を追いながら2nd Seasonの途中からアニメを見ていました。

シャドーハウスの2nd Seasonの最終話「抗う者たち」、本当にすごい話だなと思いました。何がすごかったのかをこれから話していこうと思います。
不必要なネタバレは避けているつもりですが、説明のためにこれまで概要は話すので、ネタバレ注意です。

話の概要※ネタバレ注意


このお話の舞台は、貴族の真似をして生活する「シャドー」が暮らすシャドーハウスという館です。館は大人のシャドーが暮らす場所と、子供のシャドーが暮らす場所に分かれています。シャドーは外見が黒く、表情からはまったく感情を読むことができません。そこで、シャドー達は「生き人形」を自らの顔として従え、他のシャドーとコミュニケーションをするとき、生き人形を通して自分の表情を伝えます。生き人形はシャドーに仕えるものとして、シャドーと共に生活し、シャドーのお世話・部屋や館全体を掃除するといった労働をします。

この話の主人公は、「ケイト」という、まだ成人していないシャドーに仕える生き人形「エミリコ」です。はじめはこの2人の日常のシーンから物語が始まります。

ジャンププラスで3話までは無料で読めるようになっているので、ぜひ読んでみてください。エミリコが可愛いです。


さて、シャドーハウスではそのような日常が日々繰り返されているわけですが、お話の途中で「生き人形」は、近くの村から連れてこられ、館全体の創始者にあたるシャドー〈偉大なるおじい様〉によって洗脳された「人間」であることが分かります。
この事実はシャドーにも生き人形にも知られず、生き人形はあくまで「シャドーに仕える人形」として、シャドーは「生き人形を使ってシャドーハウスで生活する者」として"当たり前の日常"を送っています。

しかしエミリコの仕える「ケイト」は他のシャドーとは違い、シャドーハウスの謎を解き、館の常識を変えるために行動している人物でした。生き人形が人間であることを知ったケイトは、館の常識を変えると同時に「攫われ、洗脳されている生き人形を救い出したい」と考えるようになりました。

洗脳には〈偉大なるおじい様〉から生き人形に与えられる、〈すす〉の入ったコーヒーが使われます。
それに気付いたケイトは、定期的に行われる〈儀式〉でコーヒーを飲まないようエミリコに指示します。

アニメの2nd Seasonでは、コーヒーによる洗脳から一時的に解放されたエミリコが、ケイトや他の仲間と協力して、ハウスの謎をさらに解き明かしていきます。なぜシャドーハウスが人間の子供を洗脳して連れ去り、シャドーに仕えさせているのかが明らかになっていくのですが、、ここでは言うのを控えます。続きが気になる方は何かで調べてみてください。

12話の印象的だったシーン

12話では、とある大きな事件が解決した後、シャドーと生き人形が再び「いつも通りの日常」を送る様子が描写されます。

しかしエミリコは洗脳から解放されたことで、今まで自分たちが当たり前にしてきた厳しい労働に耐えがたさを感じ、洗脳されて日々の労働に辛さを感じない他の生き人形達の様子と自分のギャップに苦しんで『こんなに辛いのならコーヒーを飲んでしまった方が楽なのではないか』という思いを持ちます。

館の掃除が終わり、部屋に戻ってまた掃除、主人の世話.. とエミリコが部屋に戻ると、ケイトが先に部屋の掃除を始めていました。それを見てエミリコは、沈んでいた気持ちから一気に立ち直ります。

これは、その後エミリコが「コーヒーを飲んでしまった方が楽なのではないか」と思ってしまったことをケイトに打ち明けたあとの、ケイトの台詞です。
『生き人形としてシャドーハウスに仕える者は、コーヒーによる洗脳を解きにくくするため、人間扱いしない生活のサイクルができている。朝日の入らない部屋、箱のベッド、思考する時間を与えない仕事量、少ない睡眠時間、人間らしい気持ちを失っていくうちに命を意識しなくなり、生き人形は道具として完成する。…』

イリオモテヤマネコ的視点、発動


エミリコの「こんなに辛いのならコーヒーを飲んでしまった方が楽なのではないか」という考えは、私が自分の生きている社会の現実に絶望しているときのものと近いものがありました。「今の社会の問題点を知ることでこんなに辛い気持ちになるのなら、知らなければよかった。」という考えは、今でも時々頭をよぎります。

最後に紹介したケイトの台詞は、今の日本社会で生きる人たちにも重なって見える部分があります。過酷な生活を送っているにもかかわらず、それが多くの人にとっての「当たり前の日常」になってしまっている現状があります。

でも、この12話でエミリコは「コーヒーを飲んでしまった方が楽なのではないか」という考えを、見事に乗り越えています。それはケイトがエミリコの立場に立って考え、「少しでもエミリコの助けになるように」と行動したからです。

ここで私は、「ああ、そうか」と思いました。「学んで知り、自分の意見を持つ」だけではいけないのです。私が目を背けたくなるような現実の厳しさに直面しても、その現実を何とかしよう!と社会運動を頑張り続けられるのは、励まし合える仲間のおかげです。

仲間は多ければ多いほどいいです。1人ひとりと話しやすい関係を作るのはとても大変ですが、それぞれと話しやすい関係を作ることができれば、困っていたら助けてくれるし、困っていそうだったら何か力になれないかを考えられるようになります。これからも同じイリオモテヤマネコの仲間を大切にしていこうと思いました。

シャドーハウスの話に戻ります


ケイトとエミリコは 2nd Season の最後をこの言葉で締めくくります
『シャドーハウスは、間違っている!』

この先、ケイトとエミリコがシャドーハウスの真実を知って、どのように立ち向かっていくのか、とても気になりますね。3期待ってます!!

シャドーハウス関連のリンク

アニメの公式サイトのリンクを貼っておきます。
あと、このアニメの1期、2期のオープニング曲は、シャドーハウスの世界観に合っていて、とても素敵なのでこちらも紹介します!
ぜひ聴いてみてください!

*アニメ1期の公式サイト

*アニメ2期の公式サイト

*1期オープニング曲

*2期オープニング曲


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