【ショートショート】『ベッドで哲学なんて』
縦書き版↓
『ベッドで哲学なんて』
もう何分が経ったのだろうか。ずっと私は躊躇ったまま君の頭を撫でるばかりだ。ティッシュペーパーをくしゃくしゃに丸めて床に放ると君はいつも私の身体に体重をかけて匂いを嗅いだりキスをしたりする。すべてを記憶にする儀式をするみたいで、それは丁寧で厳かだ。私はそんな君の儀式の贄として君の頭を撫でながら、君が噛みちぎった小さな袋のことを考える。私の頬に落ちた君の汗のゆくえについて考える。思い出せば何度だって恋をすることができる。君がどこかへ消えてし