神の住まう島へ -聖地巡礼編-
神島
ご存知だろうか?
伊良湖水道のど真ん中、海運の難所、激流の真ん中に、ちょこんとある島。
三島由紀夫の名作「潮騒」の舞台になった島。何度も映画化されている不朽の純愛小説の舞台だ。
その映画の舞台になった、歌島こと神島に聖地巡礼・・・
なわけがない
わたしの記事をご存知のみなさま。私が、純愛映画の聖地巡礼をするわけがない(笑)ですよね~ いや、でも神島はずっと訪れたかった島。私にとっての憧れの島なのです。
なぜか?
私の行動に影響を与えた本、椎名誠の名作『わしらは怪しい探険隊』の舞台が、ここ神島なのだ。ぜひ、潮騒とセットで読んで欲しい!(笑)
島タビ、キャンプタビをしたくなります。水曜どうでしょうタビもしたくなるはず。
つづき
あ、一応前回からの続きです。前編を読まなくても大丈夫ですが、興味のある方はどうぞ、
のんびり島時間を満喫した昼食。
鮮度抜群、手間暇かかった手料理(おまかせ定食)は、じんわり美味しかった。
喫茶軽食さざなみ
我が家は、そろって食べるのが遅い。
良く噛んで、味わって、
ふぅ、満足
店を出ると2時間が経っていた。次の船まで、のこり2時間半。あれ? 時間を持て余すと思ったら、いきなり島時間の洗礼を受けた。
よし! 島一周4km、一気に回るど~
家族タビ
『わしらは怪しい探険隊』
この「シーナ本」は、1970年代の飲んだくれた野外活動(東日本何でもケトばす会:東ケト会)の記録。初版が1982年。約半世紀の時を経て、わが学生時代の思い出とともに、当時の私と同年代の息子を連れてやってきた。というわけです。
純文学「潮騒」と、ドタバタ旅行記「わしらは怪しい探険隊」を久しぶりに再読して、気分はアゲアゲなのだ。
お店を出ると、そのまま左回りで島を巡ることに。緑の濃い林に囲まれたアスファルト道路を登る。島なのに海は全く見えない。
と思ったらすぐに、海へと下る道が現れた。
アスファルトが、コンクリート舗装に変わる。
「へへへ」
コンクリート
この意味が分かる方は、車で田舎道を走った経験のある方ですね。経験上、アスファルトがコンクリート舗装に変わった道路、その先は・・・・
やはり・・
ダートになってきました!!
というより、けものみち(笑)
青空に向かって歩いた後、その先の坂道を降りると、海岸に出ました。
古里の浜
改めて、ここが伊良湖水道の、海流の激しい場所なんだなぁと
思わせるような、波の荒さ
ひとり、波を眺める、むすこ
2019年現在、いよいよ彼の就職活動が始まる。人生の岐路、これですべてが決まるわけではないが、大きな岐路であるのは確かだ。
ここが、東ケト会がキャンプに選んだ浜。
想像していたより小さな浜だ。護岸整備のせいでやせ細ってしまったようだ。日本全国どこの島に行ってもこの惨状。島の自然な海岸線は、絶滅寸前だ。
東北地方を訪れた際も、バカでかい堤防は何をもたらすのか考えさせられた。安全に暮らすために、観光資源を捨てる。それで、生活ができるほどコトは単純ではない。
35年前の学生時代は、どこの浜で勝手にキャンプ、いや焚火をした酒宴、いや飲めや踊れやの乱痴気騒ぎをしていても、咎められることは無かった。逆に、海産物の差し入れを頂いたりなんてこともあった。いまじゃぁ、貝を採ったり、流木を燃やしたら通報される。隔世の感だ。
満足いくまで海を眺めた後は、また少し上り坂。小中学校の脇を歩く。再び整備された道になる。北側の山沿いにへばりつくように立っている民家からすると、不釣り合いなくらい広い島南の校庭。
校庭を過ぎると、島で一番のカルスト地形が現れてきた。
白い波濤と白い石灰岩、ここを垂直ロッククライミングしたんだなぁ・・そして、海女さんたちが、裸になって暖を取った場所。
あっ、ふたつの本のストーリーがぐちゃぐちゃになってますね・・
純文学と不良?文学が選んだ場所、神の住まう場所。
さらに散策路を進むと、潮騒のクライマックス、ふたりが愛をはぐくんだ場所「監的哨跡」が未だに残っています。戦争遺構が、純文学のおかげで保存されて残る不思議。
建物から外に出る。
家族三人、フェンスに手を添えながら、海をぼっと眺める。
ここはもともとは、戦争のための施設、伊良湖半島からの大砲の着弾を目視するための施設。練習場跡とでも言うのでしょうか、
遠くに伊良湖半島、そして手前の伊良湖水道を走る潮の流れが見える。こんな遠くから見ていても流れが「はやい!」
そこを、いまでは船が何隻も平和にすれ違う。
トルコのボスポラス海峡は、これよりはるかに狭い高い海峡であったなぁ・・伊良湖水道を見ながら、異国の海峡をなぜか思い出していた。むかーし見た、平和に船舶が行き来していた景色を重ね合わせたのだ。
ただ、この時は、ボスポラスを平和に行き来できなくなる時がくるなんて、想像もしていなかったが。
さて
再び歩き始める。かつては、灯台長(灯台守)家族が暮らしていた場所、今は無人(自動)になっている灯台を経て、八代神社に至る。舗装路に戻ると、島の北側の谷間、ひっそりと坂道にへばりつく集落が見えてきた。三島由紀夫が、下宿した寺田家、初江が水汲みをした場所など、映画の一場面一場面が、ロケ地として写真パネルになっている。
港に戻ってくると、まだ余裕がある。
かき氷を食べながら、鳥羽行きの船を待つとしよう。かつては、島で唯一だった時計が、トキを知らせてくれる。
変わりゆく自然と、変わらない風景、変わらない人たち
かき氷の先、港を眺めると、陽炎の先に発泡スチロールを抱えた女性が見えた。
つむじ風娘だ
(おしまい)
前回が、そしてつむじ風娘が気になる方は、コチラ