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24時間テレビはノーギャラにすべきか

毎年恒例の24時間テレビが終わってかなり経ちますが、あえて書かせていただきます。
24時間テレビには毎年恒例のように抗議の声があがります。

■24時間テレビが批判される理由とそれへの反論

批判者の意見としては「チャリティーなのに出演者にギャラを払っている」「障碍者を見世物にしたりなど、内容が感動ポルノ的」に二分される傾向にあります。
まあ大半はとにかく批判したいけど、言葉が見つからないから紋切り型の論調に乗っかってるだけだと思いますが。
これに関しては簡単に反論できます。
目的がチャリティーである以上、少しでも多くのお金を集めるのが至上命題。
そのためにはギャラを払って人気タレントを呼び、ボランティアやチャリティーに興味関心がある階層にコミットした放送内容にせざるを得ない。
故に人気タレント勢揃いの感動ポルノになる、そういう図式です。
番組制作費やタレントのギャラを多少払っても、それを上回る寄付金が集まれば大成功でしょう。
極端な話、24時間「募金受付中です」という一枚絵を表示しっぱなしだったらそりゃ無料で作れるかもしれませんが、それで寄付金集まりますかって話ですよ。
みんなタレントやコンテンツの意義を無視しすぎです。

■それでも私はノーギャラにしてほしい


とは言え、それでも私は「出演者はノーギャラにしろ」という意見です。
チャリティーの意義とかそんなの関係ない。
単純に私が見たいから、それだけ。
もしも24時間テレビの出演者がノーギャラになったら。
有名なプロダクションの人気タレントは画面から消え、映るのはタダでもテレビに出たい、的な人々が中心になります。
インディーズ芸人、地下アイドル、どっかの怪しげな経営者、わけのわかんない職業不詳の人など。
それを仕切る大物芸人もいないから、暗黒のアングラが24時間自由気ままに垂れ流されっぱなしになる。
都知事選の泡沫候補みたいなのが跋扈する地獄の生放送。
控えめに言って最高じゃないですか!絶対見たい。募金もしたい。

■テレビに出していい人と出しちゃダメな人

私は芸能人、および世の中の人間を「テレビに出られる人」「テレビに出てはいけない人」に二分して考える思考を持っています。
そしてテレビの面白さってのは、端的に言えば「テレビに出てはいけない人」が堂々と出てる瞬間にあると思うのです。
差別的と言われるのを覚悟で書きますが。
前者の代表例が大手芸能プロに所属するお笑い芸人やモデル、広告のモデルに使われるような主演級俳優とすると。
後者の代表例は非アイドルのアーティストやバンド、小劇団の劇団員、セクシー女優、声優、コスプレイヤー、Youtuberなどです。
後者の人々も普通にテレビに出とるやないけ、というツッコミはあるでしょうが。
まああくまで日常的にテレビの画面を独占してるわけではない人たち、ですね。
主流じゃなくて傍流。
その後者の人々に主役としてスポットが当たる瞬間を楽しみにテレビを見るんですよ。
極めて変態チックな楽しみ方ですが。
そもそも、お笑い芸人やモデルが画面を占拠するようになったのって、いわゆるカリスマ的なマネージャーの売り込みや政治力による部分が大きく。
別にテレビ局のトップの方が「君はテレビに出ていい人間」「でも君はダメ」とか仕分けてるわけじゃない。
そしてテレビに出ない側の人間、例えばアーティストなども、別口で出られる媒体や商売のシステムを構築してるんで、別にテレビに出る必要なんてないんです。
しかし世間はそうじゃない。
テレビに出てるってだけで、何か大きな存在に認められたような、世の倫理や正しさを司る存在に格上げされたような、そういう感想を抱くもんです。
そもそも芸能人なんて等しく浮き沈みの激しい人気商売なわけで、そこに正しいの正しくないの、世間に認められたの認められてないの、なんて尺度で測るのが間違い。
単にファンにお金で芸を売ってるだけで、本質的には即売やってる農家とかと一緒です。
テレビによる集団心理のマジックで、そこに正しさという別尺度が加わっただけなんです。
とは言え、あるジャンルの人たちだけがテレビに出続けることは、ある特定の思想を一般化普遍化することだと思うんですよ。
お笑い芸人がテレビに出続けることは「面白いは正義」という思想の一般化につながり。
モデルがテレビに出続けることは「おしゃれさ、美しさは正義」という思想を一般化させる。
いかんのはそれ自体ではなく、それ以外の可能性が排除されることなんです。
だから「○○というジャンルの人間は、テレビに出してはいけないのだ」という不文律を切り捨て、もっといろんなジャンルの思想が乱立した方がテレビは面白くカッコよくなると思うんです。
お前ら、共生だのダイバーシティーだのきれいごとを謳うなら、まずは「テレビに出してはいけない人間」の選別からやめろ、と言いたいです。

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