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今日の天気予報は、午後から雨。
午前中なら雨には降られないな、と予定を入れていた。

行く先は鎌倉。駅から少し離れた初めて行く場所だったこともあり、雨を避けたい気持ちが強かった。
いや、そもそも雨の日に出かけるのは好きじゃない。晴れ女を自負しているし、太陽を見ると不思議とやる気が出ることに最近気が付いたのも要因なのかもしれない。

集積所にゴミを出しに行った時、すでに微かに雨が降り始めていた。即座に、行くのやめようかな、と頭をよぎる。雨の日の外出の煩わしさと、今日行くべきかを天秤にかけている。

しかし、今日は満月なのだ。

何故かわからないが、満月だから、という理由で今日行くことに決めたのだった。私の都合で今日にしただけで、先方に変更の連絡をすれば何の支障もない予定なのだ。

そして、やはり満月だから、という理由が雨より優った。

細かい霧雨だったが、時間が経過する毎にだんだん濃度が上がってきている。傘でカバーできない下半身はかなり濡れてきたのが、スカートの重みで感じられる。

だけど、さわさわ降る雨の中を歩くのが、とてもとても楽しいのだ。あんなに億劫に感じていたのが嘘のように。

紫陽花の季節だからなのか。
鎌倉の街並みのせいなのか。

肌寒いくらいの気温も、歩を進めて息の上がった體に心地良い。

この距離を燦々と照る太陽の下歩いたらかなりキツかっただろうな。
柔らかな穏やかな雨が有難いな。
雨に濡れた樹々も美しいな。
ああ、なんて楽しいんだろう。
なんて気持ち良いんだろう。

と喜んでいたら、曲がる角を随分通り過ぎてしまっていた。

雨の散歩の楽しみを知った満月の昼前のひととき。

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